EU(欧州連合)が加盟国を拡大した2004年、アイルランドは記録的な経済成長を維持すべく、旧共産国から労働者を受け入れた。いま、当時の移民ら帰国の途につこうとしている。 ≪すでに3万人≫ ダブリンの経済社会研究所によれば、来年のアイルランドからの出国者数は、14年ぶりに入国者数を上回るとみられている。脱出組の中心は、過去4年間にポーランドなど東欧諸国から移入した17万人の労働者だ。 工場での職を10日前に失ったばかりのアルツール・カビンスキさん(30)は、「環境は非常に厳しい」とみて、電話でポーランドの雇用状況を問い合わせた。カビンスキさんのような移民が、製造業と住宅ブームを支えてきた。アイルランド経済が過去10年で2倍に成長し、西欧で最も活気ある国になったのは彼らのおかげだ。 しかし、今やアイルランドは金融市場の混乱により、20年ぶりの景気後退局面にある。過去11年で最高の失業率