『クライテリオン』のために、藤井聡、柴山桂太の両先生と「脱移民」を主題に鼎談しました。その中の、僕の冒頭部分の発言だけ収録します。続きは本誌でどうぞ。 僕が「日本は移民に耐えられないだろう」と書いたのは、今の日本は未熟で幼児的な社会なので、他者との共生は不可能だろうと思ったからです。こうした市民的に未熟な社会に移民が入ってくると、すぐに世論は外国人排斥に傾いて、極右政権ができる。僕はそれに対して危機感を感じて、野放図に移民を入れることに反対したんです。 今すでに三百八十万人の外国人が日本で暮らしています。これからもっと増える。人口の一〇%に達するのも時間の問題です。しかし、彼らをどうやって受け入れて、共生するのかについての議論は進んでいない。外国人が増えると社会不安が増大するのは、受け入れ側の日本人の市民的な成熟が足りないからであるというシビアな現実認識が欠如している。 外国人をめぐる議論