小林フェロー:今回紹介する論文は、知的財産に対する独占権(特許権など)を強化することが、実は、社会的に最適なレベルの科学的・技術的な知識の発見や蓄積を阻害し、社会全体の厚生から見て、過小な知識レベルをもたらしてしまうかもしれない、と主張する論文です。 Michele Boldrin and David K. Levine "A Model of Discovery," American Economic Review: Paper and Proceedings 2009: 99(2): 337―42.マスターくん:Michele Boldrin and David K. Levineの論文からは、どんな結論が導かれているのですか? 小林フェロー:経済学や知的財産権保護の議論での通念は、知的財産権の保護の強化は、知的革新(イノベーション)を促し、知識の集積レベルを上げる、と考えられています
コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の久保田裕事務局長が、自身をモチーフにして作られたアスキーアート(AA)の作者を探している。2ちゃんねるに投稿されていたAAを気に入っているといい、「ぜひ、作者に許諾をとって何かに利用したい」としている。 ACCSによると、「記号の集積によって作成されるAAは、絵を描くことなどと同様、表現形式の一種」であり、AAにも著作権はあるという見解だ。他人が作ったAAをまるまるコピーして利用する場合は著作権法上の「複製」に当たり、創作的な意図を含むアレンジを加えたAAの作成は「翻案」に該当するという。複製や翻案を行うためには、著作権者=AA作者の許諾が必要になるという解釈だ。 AAを利用する場合には、オリジナルを作成したAA作者から許諾をとれば利用可能だ。しかし、アニメキャラなど既存の著作物を元にしたAAの場合、既存著作物の翻案による「二次的著作物」とみ
クリエイターや一般ユーザーは日本版フェアユース導入に積極的 〜クリエイティブ・コモンズ・ジャパン、ウェブ・アンケートの集計レポートを公開〜 2009年09月15日 特定非営利活動法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(本社:東京都港区 代表者:中山信弘)(CCJP)は、本日9月15日、日本版フェアユース導入に関する一般ウェブ・アンケートの集計レポートをホームページで公開しました。同レポートは9月18日の文化庁・文化審議会著作権分科会法制問題小委員会に配布資料として提出する予定となっています。 本調査の目的と概要 現在文化庁で、著作権法の改正の1つの重要問題として、コンテンツの創作や利用に大きな影響を与える可能性のある「日本版フェアユース」の導入についての議論がなされています。 今年はこの日本版フェアユースを導入するか否かを決めるとても大事な年であるため、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
着信メロディや着うたなど、好きな楽曲を携帯電話の着信音として利用できるサービスは今や無くてはならないものになっていますが、なんと着信音を鳴らすことが著作権侵害であるという驚くべき主張が著作権団体によって行われました。 にわかには信じられない主張ですが、いったいどういうことなのでしょうか。 詳細は以下から。 ASCAP Makes Outlandish Copyright Claims on Cell Phone Ringtones | Electronic Frontier Foundation インターネットやネットワーク化された社会において市民の自由を守るために1990年に設立されたアメリカの「電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation)」が発表したリリースによると、アメリカ作曲家作詞家出版者協会(ASCAP)が連邦裁判所に対して、携帯電話のユー
デジタル化・ネットワーク化の進展に伴い、現行の著作権法のもとでは想定されていない状況が発生している。例えば、デジタル著作物は、特定の媒体を介在させずに、国境を越えてネットワーク上を転々流通し、その過程で、ユーザーの積極的関与によって著作物自体が変化していくことも多い。この結果、現行の著作権法では、必要かつ十分な権利保護や利活用促進が図られないおそれがある。 このような状況のもと、コンテンツ関連ビジネスの健全な発展のためには、内外のビジネスの状況、国際条約との調和、権利者の保護とユーザーの利便性のバランスに配慮しつつ、著作権法制のあり方を検討し、解決策を探ることが求められる。とりわけ、ネットワーク環境下におけるデジタル著作物の特質に着目した中長期的な視点からの議論が必要となっている。 一方、デジタル化・ネットワーク化のもとでの著作権法制のあり方をめぐっては、様々な意見が存在しており、明確な方
(10) 骨董通り法律事務所 はじめに 他の法律事務所には類を見ず、けれども芸術文化に耳聡ければニヤリとしてしまうような名前を持つ「骨董通り法律事務所」は、表参道駅から歩いて数分程、青山学院大学の裏手の静かな場所にありました。 事務所の中にお邪魔すると、エントランスにあるテーブルにはカルチャー誌やファッション誌が、受付の横には舞台公演や映画のフライヤーがさりげなく配置されています。会議室には外国映画の流れるモニター。まるでデザインオフィスかカフェのようなアート・ローのイメージそのままの世界が、私達を出迎えてくれました。 骨董通り法律事務所は、"For the Arts"を旗印に掲げる「法律家としての活動を通じて様々な芸術活動を支援する法律事務所」として2003年に設立されました。インタビューをさせて頂いた福井健策先生は「芸術文化法」の第一人者として活躍されており、「著作権保護期間の
コンテンツパートナーがあらかじめコンテンツIDデータベースにサンプルファイルをアップロードしておけば、ユーザーが同じコンテンツをYouTubeにアップロードするたびに照合し、権利者が対応方針を決定できるようになっている。 「コンテンツIDシステムは素晴らしく高い精度で稼動している。現在もアップデート中で、最大限の努力を払っている。ユーザーがアップロードした20秒以下のコンテンツでも、権利者のファイルとマッチングできる」とEun氏は自信を見せた。 このシステムで自社が権利を持つ動画を発見した場合、コンテンツパートナーは以下の3つの選択肢の中から行動を決定することができる。 ブロック マッチした動画は、公開される前に視聴不能になる トラック ブロックせずに、トラフィック情報などを詳細に取得する マネタイズ マッチした動画に広告などを表示し、広告収益を受け取る Eun氏によれば、現在300以上の
現在、知的財産戦略本部をはじめ、文化庁、総務省等に設置された政府系委員会及び民間の研究団体など様々なところで、知財制度や法制度を見直すことでネット上のコンテンツ流通を促進させようとする検討が行われていますが、議論の多くはコンテンツの「創造・保護」よりも「活用」に偏った内容になっています。 一方、前回(2008年3月25日開催)のJASRACシンポジウム「動画共有サイトに代表される新たな流通と著作権」では、1.死蔵されているテレビ番組等をネット上で流せばバラ色のコンテンツ・ビジネス時代が来るというのは幻想であり、ユーザーが求めているのはネットに適した新たなコンテンツやサービスである、2.ネットにおけるコンテンツの流通阻害原因を著作権や著作権者とする悪者探しからは何も生まれない、3.最大の問題はビジネスモデルが確立されていないことである等が議論され、ネット特有の新たなビジネスモデルを構築するこ
「コンテンツ大国」を目指し、デジタルコンテンツ流通促進のための法制度の議論が進む中、ネットでの流通に限り著作権者の権利を制限する「ネット法」が大きな関心を呼んでいる。だがこれに対しては、総務省の中間答申で情報通信審議会が反対の姿勢を示すなど、異論も多い。日本音楽著作権協会(JASRAC)常務理事の菅原瑞夫氏に、権利者側の意見をうかがった。 「ネット法推進者らは新たなビジョンを示していない」と語る日本音楽著作権協会(JASRAC)常務理事の菅原瑞夫氏 「ネットで稼げるビジョン」の提示必要 ――ネット法が議論になっていますが、デジタルコンテンツの流通促進のためには何が必要とお考えですか? ネット法では、著作権者の権利を制限するとしていますが、人の権利を制限することでデジタルコンテンツの流通が促進できるというのは違うと思います。 コンテンツホルダーはこれまで、テレビ、DVD、CS放送などの各ウィ
※2008年10月30日に公表された81名による提言はこちら。 現在、著作権保護期間の延長問題は、文化審議会内の「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」での審議が大詰めを迎えています。think Cでは、今後の延長問題の決着に向けての意見とともに、仮に保護期間を延長しない場合、より実効的な創作・流通支援策は何か、あるべき姿を検討して来ました。 第6回公開トーク以後、別掲のメンバーによるプロジェクトチームを発足し、4ヶ月にわたって議論を重ねて参りましたが、この程、「保護期間延長問題と創作・流通支援策に関するthink C-PT 提言案」を公表し、フォーラム内外の皆さまの意見をお伺いすることになりました。まだ議論途上のものですが、ご高覧いただき皆さまのご意見をお聞かせいただければ幸いです。 皆さまのコメントを参考に、プロジェクトチームで最終的な提言を確定し、賛同者を募った上で公表する予定
-知的財産制度を考えるブログ- 知的財産法とその制度設計について学び続けたい若造の勉強日記です。 サイトの説明や筆者の連絡先、利用のルールについてはこちらを参照ください。コメント歓迎です。 飯村判事の報告は、裁判所(正確には飯村コート)の思いが伝わる、興味深いものであった。ここに概要をまとめ、若干の考察を行う。ただし、筆者が誤って理解している可能性があることを留意いただき、正確な内容は『著作権研究』(2010年刊)に依っていただきたい。 ■報告要旨 本要旨は、報告の主眼と思われる点が強調されるよう、筆者において再構成している。 構成においても筆者の解釈が含まれている点については留意いただきたい。 著作権と一般人の行動の自由との衝突が多発するようになっている。これまでは、立法の強化が進み、また、人々の法意識が著作権を重視するようになってきたことから窺えるように、著作権を保護する方向で作用して
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