言語記号は現実の対象だけでなく他の多数の言語記号とも複雑かつ規則的に結びつく、という話だった。この働きは通常は自分の脳内で起こっている。ところがインターネットの言語に限っては、きわめてショッキングなことが新たに起こる。読み書きしている言語記号の一部が、リンクおよびクリックによって、インターネット上の他の多数の言語記号とも、同じく複雑な関係を勝手に編み上げてしまうことだ。これは脳内とは独立であり、しかも脳内の言語関係が目に見えないのと対照的に、インターネット言語のリンクによる結びつきはモニター上で確実に顕在化する。このことが私は何より面白い。これはまた改めて。 ただし、インターネットの言語「カレーライス」も、やはり実物のカレーライスにはリンクしない。そこは我々がふだん使っている言語と変わらない。ときにはカレーライスの写真くらいは出現するだろうが、それは言語と同じくカレーライスの記号でしかない

