ナラティヴ・セラピー・クラシックス―脱構築とセラピー マイケル・ホワイト 社会構築主義はほかの分野にも影響をあたえた。人類学や歴史学、科学哲学だってそうだろう。 事物や真理は人間の外側にあってそれを客観的に記述することが真理にいたる正しい道だと思われているところに、その記述することがいままさに「制作」していること、真理とよばれるものをつくりだしているというメタ視点をつくりだしたからだ。真理は人間から離れた場所にあるのではなく、人間社会によってつくりだされるものだ。それはたんに私たちが文化的・歴史的に真理とよばれるものをつくりだしているだけはないのかという根本的懐疑をもたらした。 その社会構築主義の心理学への影響がこのナラティヴ・セラピーとよばれるものだ。いぜんもこの道をたどって、ナラティヴ・セラピーを読んだことがあるのだが、そのときはがっくりきた。事実や物事が構築されるなら、それを捨て去れ

