筆者は子供のころ、自分が通っていた学校にジョン・レノンが来たことを憶えている。だが、それは正確にはいつだったのか? 1970年代のこの出来事を記録する資料はほとんど残っておらず、筆者は独自に調査を進める。その日レノンに同行していたメイ・パンもこの件に興味を示し、それが彼女たちにとって重要な1日であったことが明らかとなる──。 ジョン・レノンがやってきた! 1970年代半ばのある朝、フレンズ・セミナリーの校内放送で厳かなアナウンスが流れた。「著名なジョン・レノンさんが礼拝堂にお見えになっています。走らず、歩いて移動してください」 私たちは走らなかった。でも、走りたくてたまらなかった。 ようやく礼拝堂に到着すると、私は2年生のクラスメイトと一緒に、バルコニーの固い木製の長椅子に腰を下ろした。 マンハッタンの東16丁目にあるキリスト教クエーカー系の学校であるフレンズ・セミナリーの礼拝堂は、186
