BRUDER

メニュー 検索する
閉じる

古典?哲学?いやいや… 五輪を機に「イタリア文学」を読む

友人からでも、家族からでも、書評でも、課題図書でもない「オススメの本」を読んだことはありますか? 「文喫 六本木」副店長の濱中諒太朗さんにBRUDER読者をイメージした一冊を選んでもらいました。

「見えない都市」/イタロ・カルヴィーノ

イタリア文学と聞くと、重厚な古典や哲学的な作品を思い浮かべる人も多いかもしれません。イタロ・カルヴィーノ『見えない都市』は、そうした先入観を軽やかに裏切る一冊です。今回は、「都市」を主役に据えた、少し不思議な読書体験をご紹介します。

本作に登場するのは、現実には存在しえない数々の都市。マルコ・ポーロが皇帝フビライ汗に語って聞かせる形で、奇妙で幻想的な都市の描写が連なっていきます。しかし、そのどれもが完全な空想に留まらず、都市の構造や人々の振る舞い、あり方など、どこかで見たことのある景色とふと重なる瞬間が訪れます。

ページをめくるうちに、読者は物語を「読む」というより、夢の中で都市やマルコ、フビライの姿を遠くから眺めているような感覚に包まれます。筋を追う読書ではなく、漂うように読み進める時間そのものが、この作品の魅力です。

再読するたび、心に残る都市が変わるのも本作ならでは。読む時期や心境によって、同じ都市がまったく異なる表情を見せる一冊です。

「見えない都市」イタロ・カルヴィーノ(河出書房新社)/¥1,078(税込)

<関連記事>教科書には載らない歴史の裏側 「本能寺の変」を物語でひも解く

COOPERATION

文喫 六本木 副店長/ブックディレクター 濱中諒太朗

2020年日本出版販売入社。企業内ライブラリーや商業施設のブックディレクションを手掛け、2023年より文喫 副店長として企画選書や展示など、本のある空間プロデュースを行う。好きなお菓子はギンビスのアスパラガス。

Edit : Hiroto Goda

閉じる