劇場公開日 2025年7月11日

顔を捨てた男のレビュー・感想・評価

全110件中、1~20件目を表示

4.0現実の捉え方の違いで分かれた人生の明暗

2025年7月12日
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鑑賞方法:映画館
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ニコ

5.0どこまでいっても寄る辺のない心の迷宮

2025年8月31日
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村山章

4.0「エレファント・マン」から45年、映画と私たちは進歩したのか?と問いかける

2025年7月20日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

知的

人の外見の好き嫌い、また内なる嫌悪感や差別的感情についての難題を突きつけてくる映画だ。ただしけっして社会派のまじめなドラマというわけではなく、サスペンスとダークなユーモアと不条理さのバランスが絶妙な娯楽作になっている点もいい。

主人公エドワードの序盤の外見は容易に「エレファント・マン」(1980年のデヴッド・リンチ監督作)を想起させる。一方、新薬の効果で古い異形の“外面”が崩れて中から新しい(セバスチャン・スタンの)顔が出現するシーンは、「ザ・フライ」(1986年のデヴィッド・クローネンバーグ監督作)の変身シーンの逆バージョンのようだと感じた。「2人のデヴィッド」の80年代の名作に通じる趣は、スーパー16ミリフィルムで撮影された映像の質感によって補強されている。

脚本も手がけたアーロン・シンバーグ監督は、生まれつき口唇口蓋裂があったため矯正手術を何度も受けたことを明かしている。そうした実体験に基づき、外見やアイデンティティをテーマに映画を作っており、長編第2作「Chained for Life」では神経線維腫症1型の当事者であるアダム・ピアソンを主演に抜擢。シンバーグ監督はこの第3作でもピアソンをオズワルド役で起用し、脚本開発段階から助言を得て当事者の視点を盛り込んでいったという。

イングリッド(レナーテ・レインスベ)が書いた舞台劇に、「醜いものを忌み嫌うのは人間の本能だ」という台詞がある。また、序盤に映る啓発ビデオでも、「“恐れ”は獣への警戒心から生まれた」「我々は原始的な脳の反応を制御できません」と説明される。そうした本能に基づく感情を理性や知性で制御するのが文明人としての進歩というわけだ。「エレファント・マン」から45年が経ち、多様性やインクルージョンといったお題目は語られるようになったものの、映画やドラマの中でアダム・ピアソンのような当事者が重要な役で登場することはまだ少ない。また世界的な傾向としても、主に民族や人種の点で昨今、多様性尊重への反動が広がりつつある。「顔を捨てた男」を観ると、私たち人間の理性は本当に進歩しているのか、と問われている気がする。

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高森郁哉

3.5面白い

2026年1月23日
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これ面白かった〜!

エドワード(セバスチャン・スタン)は顔の変形で自分に自信がなくて、隣に引っ越してきた劇作家志望のイングリットに好意を持ちつつも自分の気持ちを伝える事ができない。ある日、画期的な薬で新しい顔を手に入れた彼は、エドワードを殺しガイに生まれ変わる。見た目は変わったので周りから好奇の目で見られることは無くなったけど、中身は変わってないから特に誰かに好かれることもない。彼は俳優志望で変形した顔がネックだったのもあるけど、演技もそこまで上手くないし人を引きつける魅力がないんだよね。

そんな時に、昔の自分に似た顔を持ちながらも、明るく堂々と生きる男オズワルド(アダム・ピアソン)が現れる。オズワルドは人間的にも魅力に溢れていて、ますますガイの心は蝕まれていく。

「顔さえ普通だったら、自分の人生は違っていたはず」って思ってたのに、蓋を開けてみれば似たような顔のオズワルドの方が人に好かれてやりたい事やって楽しそうに見えるわけ。ハンサムな顔を手に入れても上手くいかないガイを見て、なんか人生ってそんなもんだよな…って感じた次第。

そういえばエドワードの頃に出くわした隣人の男性が女性と手を繋いでいて、明らかにエドワードより幸せな人生を送っているように見えたのに、彼は首を吊って自殺しちゃうんだよね。結局は見えるものが全てではなく、幸せか不幸かなんて蓋開けてみなければわからないって事だよね。

ガイのこの先の人生が少しでも幸せなものになればいいよな〜って思いつつ、自分も普通の幸せを大事にしていきたいなって思いましたよ。オススメです。

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ゆみな

3.5見た目より中身❓中身より見た目⁉️

2026年1月21日
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捨てた顔そっくりのオズワルドに取り憑かれて、自分を見失う男
それをセバスチャン・スタンが二役のようにリアルに演じて、
トランプ大統領の伝記映画「アプレンティス」とはまた一味違う
繊細な演技でした。

色々と勉強になり身につまされる映画でした。
かなり不気味な顔のエドワード(セバスチャン・スタン)は、
ある日新しい治療法により、美しい顔を手に入れます。
ハンサムになって、エドワードは「死んだ」ことにして不動産会社で、
ガイと言う名前で新しい人生を幸せにスタートしていました。
しかし間もなく、過去の醜い自分そっくりの
オズワルド(アダム・ピアソン)が
現れて周囲に好印象を持たれて行くようになる。
それに従ってエドワードは、自分を見失って行く。

●隣人の劇作家イングリッド。
たった一人醜い自分を受け入れてくれたイングリット。
でも不意にその手をそっと握っただけで、
イングリッドはパッと反射的に身を避けて帰ってしまう。
なのにオズワルドに触れられても全く気にしない・・・とか、
オズワルドと演劇仲間の話しに加われない面白みのないエドワード。
おどおどして社交性がないのとオズワルドの前では、どうも引け目を感じる。
オズワルドは常に友人たちの輪の中心にいる。
エドワードはやがて嫉妬に狂って、奇声を挙げたり暴力行為で刑務所にまで
入る羽目になる。
◆驚いた事。
オズワルドを演じたアダム・ピアソンさんは、特殊メイクでも、
仮面でもなく自前のお顔・・・だった事。
ぶっちゃけた気持ち。
私はオズワルドの顔は、直視できないと思います。
いくら話術が巧みでもお金持ちでも、良い人でも、
無理だと思う。
ただし人間的に、
★オズワルドは素晴らしいと思う。
容姿のハンディにも負けない強さ、
前向きで常に明るくプラス思考で決して落ち込まない。
対してエドワードは
■臆病、
和食のメニューが決められなくて、オズワルドに揶揄われていたけど、

★イングリッドから離れろよ‼️とも、思うけれど、

顔を捨てた時に、今までの人間関係も全て作新すべきだった。
でもイングリッドはエドワードには母親のように大事な、
ただ一人醜い自分を受け入れてくれた女性だったんですね。

「エレファントマン」そっくりのお顔でした。
エレファントマンの主人公は自分の顔を見せ物にするしか、
生きる術(すべ)が無い時代の、とても心の美しい青年でした。

「サブスタンス」にもちょっと似てるるだけど、デミ・ムーアほど悲惨な
ラストではなかったですね。
A24の映画は目の付け所は新鮮だけれど、ラストが弱いかも。
「やられたー、すげえー、感動した‼️」
というラストの衝撃がない。
面白いけれど、どこか物足りないのでした。

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琥珀糖

3.5自分を捨てた男

2026年1月19日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

驚く

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近大

4.5高みの見物を許してくれない作品

2026年1月3日
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やるせない作品だった。
この映画は、観客に、単純に誰かを憎んだり、憐れんだりさせない。つまり、分かったつもりになって、安心して高みの見物をさせることを許してくれない。

もちろん、「ルッキズム」に関わり、明らかな差別をかましてくる人物や、単にポリコレの視点から表面的な対応をし、裏では全く別の顔を見せる分かりやすい人物たちも登場する。けれど、それらはみんな今作では第三者。
主要な登場人物たちに関しては、誰にもその明快さがなく、様々なシチュエーションの中で、その人物の意外な一面が次々と浮かび上がってくるので、自分の気持ちがあちらこちらに引っ張られて落ち着かない。

新春一作目としては、中々に重たかったが、感動ポルノとは一線を画した、A24らしい良作。

<ここから、内容に触れます>

・劇中での「タイプライター」の扱い方が無茶苦茶うまい!
主人公の好意の象徴というだけでなく、「文字を打つという実用性とインテリアとしての存在」というのは、そのまま「人間性と外見」の象徴に置き換えられる中で、彼女に一度も使われずに、簡単に「あげようか?」と言われてしまう切なさ。
いっそ捨てられた方がスッキリするのに、いつまでも彼女の家に残り続けているのを見ると、観ているこちらも、ぐるぐると色んなことを考えさせられる。

・あの皮膚科医は、なぜ彼のマスクを作ったのか。医学的な進歩のためというよりは、使用前と使用後の比較によって得られる富や名声を求めるいやらしさがチラつく。「ルッキズム」と「経済」の結びつきが嫌な感じ。

・エドワードは、どうしてあの瞬間に、嘘をついてまで、別の人生を生きようと決めたのか。同様にイングリッドは、なぜ、エドワードが創作のヒントになったことについて隠したのか。
どちらも、他人に「自分のなりたい自分を見せること(=顔またはマスク)」を優先させてしまったところが共通している。
その「なりたい自分」という顔またはマスクに自分を合わせようとした結果、エドワードはオズワルドに自分の人生を奪われることになり、イングリッドも経済的には成功したかもしれないが、作家活動から離れることになって、変なカルトグループの餌食にハマった。
「ルッキズム」とは、「虚飾=自信のなさ」の裏返しなのだろうか。

・ラストのオズワルドが発する容赦ない一言に、やるせなさが更に膨らんだ。

※一つ目のレビューから長くなりましたが、ここまで読んでいただいた皆さま、本年もよろしくお願いします。

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sow_miya

3.5【”素顔のままで。”今作は特異な顔の男が隣室の劇作家の女性に惹かれ、特殊な手術でハンサムになるも自身に似た自分に自信がある特異な顔の男の登場により、自身を失って行くシニカルブラックコメディである。】

2025年12月30日
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怖い

知的

斬新

■特異な顔を持つ俳優志望のエドワード・ラミュエル(セバスチャン・スタン)。アパルトメントの隣室で劇作家を目指すイングリッド(レナーテ・レインスヴェ)に惹かれながらも、自分の容姿に自信が無い彼であるが、彼女はそれを気にせずに彼と親しくなる。
 エドワードはそんな彼女の態度を見て、外見を劇的に変える治療を受け、ハンサムな顔を手に入れる。エドワードは別人として人生を歩みだすかのように見えるが、彼の前に、同じく特異な顔を持ちながら、堂々と明るく振る舞うオズワルドが現れた事で、彼の運命は狂って行くのである。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・大変にシニカルで、ブラックで、サスペンス要素も有りながら、イロイロと考えさせられる作品である。

・特異な顔を持つ俳優志望のエドワード・ラミュエルが、隣室のイングリッドと親しくなった事で自信を持ち治療を受けハンサムになるも、彼は周囲の視線が気になり、相変わらずオドオドと暮らしている。果てはエドワードを死んだ事にしてガイ・モラーツと名乗り、イングリッドの演劇に且つての自分と同じ異形のマスクを着け出演するのである。

・そこに、且つての自分と同様な異形の顔の男、オズワルドが現れる。彼はエドワードと違い、自信に溢れユーモアもある皆に好かれる男として登場する。

・イングリッドは、エドワード・ラミュエル(ガイ・モラーツ)よりも、オズワルドを選び、彼を自身の演劇に起用し、その後共に生活までするのである。
 一方、エドワード・ラミュエル(ガイ・モラーツ)は不動産業者として成功するが、オズワルドを妬み、且つての自分の顔のマスクをしながら接客し、首になるのである。

・更に、自棄になったエドワード・ラミュエル(ガイ・モラーツ)は、イングリッドの劇にマスクを付けて乱入し、舞台を無茶苦茶にするも舞台装置が崩れて来て、両手両足を骨折し、イングリッドとオズワルドに慰められながら、憮然とした表情で共に食事をするのである。だが、彼は手が使えずに彼らが楽しそうに食事する姿を見ているだけなのである。
 自棄になった彼は、自分のリハビリをしてくれている男をナイフで刺し獄中に、一方イングリッドとオズワルドは幸せな生活を送るのである。

・時は経ち、老いたエドワード・ラミュエル(ガイ・モラーツ)は、イングリッドとオズワルドとレストランで食卓を囲むのである。二人の子が巣立ったイングリッドとオズワルドは、カナダで悠々自適の生活をする事を語るが、独り身のエドワード・ラミュエルは、彼らの話を恨めしそうに聞いているのである。

<今作は特異な容姿の男が隣室の劇作家の卵の女性に惹かれ、特殊な手術でハンサムになるも自身に似た自分に自信がある特異な顔の男の登場により、自身を失って行くシニカルブラックコメディなのである。>

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NOBU

3.5醜いと嗤われた人にしか分からない深淵。

2025年11月2日
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泣ける

悲しい

難しい

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デブータ

4.0原題の A different manの意味をすごく感じた映画

2025年10月24日
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主人公と相対した人間性を持つオズワルドとの対比が、すごく見応えがあった。

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まるこ

5.0この映画が言いたかったこと。それは・・・🥋

2025年10月3日
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幸せ

顔が奇形化する病気のために消極的な人生をおくるセバスチャンスタンが、病院で顔を直して新しい人生を歩んでると、目の前に自分の前の顔に似た男が現れるという話。

ルッキズムを扱った映画ということで「サブスタンス」にも似た話かなと思ってましたが、こちらは観客に、エドワードみたいに見た目を気にして消極的な生き方でいいの?オズワルドみたいに見た目関係なく、よりよい人生をおくるにはどうしたらいいの?というメッセージ性が感じられ、とても面白かったです。

と、書きましたが…。

ご覧になったほとんどの方は、そのメッセージを見逃し、この映画が何を言ってるのかよくわからないかと思いました。いや、むしろわからなくて当然だと思います。。

この映画が言いたかったこと。

それは「柔術をやれば自信がついて人生が変わる!」(爆)

いや、柔術やってない人わかんないって😛

冒頭にマンションの住人がエドワードに「柔術とか格闘技やれば?」みたいに言ってきて、だいぶ話が進んでオズワルドが自己紹介するとき「柔術やってる」と回収。ガイが舞台で暴れて事故った時、柔術やってるオズワルドは無傷で回避できるのも、護身や危険回避こそが柔術の考え方の根底にあるから。ラストに日本食レストラン行くのも柔術の源流の国、日本に対する敬意かなと好意的に感じました。

👉柔術とは。

現在、世界的に柔術(JIU-JITSU)という場合、ブラジリアン柔術を指します。こちらは元は講道館柔道の前田光世が海外諸国に柔道を普及するために世界を渡り歩き、最終的にブラジルの地で暮らし、カルロス・グレイシーに教えたところから始まった格闘技です。最初はグレイシー柔術と呼んでいましたが、やがてグレイシー以外に分派、拡大し、ブラジリアン柔術もしくは、柔術という呼び名となりました。

元々、柔術は武士が刀を無くした際の格闘術として日本で生まれたもので、打撃技、投げ技、関節技などを含み今でいう総合格闘技のイメージに近いものでしたが、嘉納治五郎がスポーツ化するために、柔術から打撃技など危険な行為を除き発明したのが今の講道館柔道になります。前田光世も嘉納治五郎も元々は柔術の技術がバックボーンにあったわけです。

つまり、今の柔術(JIU-JITSU)は、柔道が柔術として元々もっていた技術、いわば武士の魂をタイムカプセルのように保持したまま、現代に伝える格闘技とも言えるわけです。

👉柔術の力。

成り立ちは実践重視な格闘技ですが、護身を重要なコンセプトにし、弱い人のための格闘技でもあり、やると知らないうちにフィジカルも強くなりますが、ボディコミュニケーションで自分や他人をコントロールする面白さ、そこには知恵の輪のようなパズルみたいな要素もあり、何歳からでも始められる格闘技です。

👉柔術で自分に自信がつく。

今行ってる道場でも通い始めて半年から一年もすると男子も女子も顔つきが変わる方、たくさん見てます。どこか表情がキリッてなるんですよね。

この映画も午前中に柔術道場でさっぱりしたあとに観たタイミングだったので、え?って声出ちゃいましたが😆

明日も練習がんばりまーす。

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minavo

4.5タイトルなし

2025年9月23日
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私は最悪の彼女、懐かし。いろいろな要素が入ってる分、複雑な映画。主人公が暗すぎるし悪いやつじゃないけど、性格の問題だった。

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Emiri

4.0苦しい

2025年9月7日
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終始苦しい展開でしたが観て良かったです

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ランキル

4.5濃密、凄い没入感

2025年9月1日
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悲しい

興奮

ドキドキ

苦しい、えげつないシーンもあり、体力が必要。
全然楽しくないのに、囚われて身動き出来ない。
抑圧されてきたエドワードのはじけっぷり、打ち砕かれていく様が痛々しい。
私も同じ地平にいるんだ。

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アメリカの友人

4.0ルッキズムの皮肉に満ちた寓話

2025年8月22日
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悲しい

斬新

 かつての「エレファント・マン」を想起させる設定だが、本作はその一歩先を行く物語だった。
 ”エレファント・マン”ことジョン・メリックはサーカスの見世物として悲惨な人生を歩むが、彼に比べると本作のエドワードは周囲からの奇異の目を気にしながらも、それなりに普通の日常生活を送っている。彼が住むアパートの管理人、仕事仲間、バーの客たちは彼を見ても気味悪がる様子を見せない。そういう意味では、19世紀末頃を舞台にした「エレファント・マン」とは明らかに時代の違いも感じた。

 ただ、そうはいってもエドワード本人は自身の容姿に対するコンプレックスに苦しみ、友達も恋人も作らず孤独と不安に駆られている。周囲がどう見ようと、本人の中では”普通と違う”ことに苦しみ、ジョン・メリックと同様に常に疎外感を感じているのだ。

 そんなエドワードは実験段階の治療でハンサムな男に生まれ変わり、不動産会社の営業マンとして新たな人生をスタートさせる。高級マンションに住み、恋人もできて成功の美酒に酔いしれる。ここから本作は「エレファント・マン」から一歩先を行く物語になっていく。

 そこでキーマンとなるのがオズワルドという、かつてのエドワード同様、顔に大きな障害を持った男である。彼はエドワードと正反対で、自分の外見を気にすることなく、陽気で社交的で誰からも愛されている。エドワードの持っていないものをすべて持っているのだ。

 以前の自分のように醜い容姿をした彼が幸せそうな人生を送っているのを見て、きっとエドワードはこれまでの人生を否定されたような気持になったのではないだろうか。外見ではなく内面が魅力的であれば愛される。それを体現するオズワルドを見て、エドワードの心は打ち砕かれたに違いない。
 カラオケで美声を響かせて聴衆をうっとりさせるオズワルド。それを羨望の眼差しで見つめるエドワードの表情が印象的だった。

 人間的魅力は外見ではなく内面にこそ宿る。これはルッキズムに対する痛烈な皮肉とも取れる。個人的には最近観た「サブスタンス」を連想した。ただ、「サブスタンス」のデミ・ムーアが最後まで若さと美貌に憑りつかれていたのに対し、今作のエドワードはそこまで暴走しなかったのはせめてもの救いである。そこは両者、似て非なる所である。

 監督、脚本は本作が長編3作目の新鋭ということである。自分は初見となるが、余白を残した演出が時折見られて中々面白いと思った。

 例えば、エドワードの部屋の天井にできた水漏れによる穴。これは日が経つにつれてどんどん大きくなっていく。ドラマ上これが特に機能するような場面はないのだが、エドワードの孤独のメタファーと捉えれば中々シュールで面白い。

 終盤のエドワードの行動も、どういう感情から起こしたのか説明されない。かなり突然だったので驚いてしまったが、自暴自棄的に見えるこの行動にもきっと何か真意があるはずだ。オズワルド=かつての自分をバカにされたことによる怒りだったのかもしれない。

 一方、ラストシーンの意味については今一つよく分からず、後になって調べてようやく分かった次第である。確かに途中で何度か伏線は張られていたが、少し分かりづらいと思った。画面をよく見ていないと気付かない人も多いのではないだろうか。

 ちなみに、このラストシーンでも見られたが、カメラが度々がズームインする場面がある。ちょっと作為的という気もしたが、インパクトを与えるという意味では中々面白い効果を上げていると思った。

 キャストでは、エドワーズを演じたセバスチャン・スタンの巧演が素晴らしかった。前半は特殊メイクをしているため、ほとんど彼だと気付かない容姿をしている。先入観をなくして純粋に彼の演技力を堪能できた。舞台がニューヨークということもあろう。劇中でも指摘されていたが、ウディ・アレンよろしく猫背でオドオドした演技は新鮮だった。

 また、オズワルド役のアダム・ピアソンも印象に残った。彼は実際に神経線維腫症を患っており、本作の外見そのままの素顔ということである。
 尚、彼は同監督の前作で主演を務めたということらしい。残念ながら、日本未公開作なので観ることは出来ない。ただ、彼のような個性派俳優を続けて映画に登場させていることから、この監督は何かしら一貫したテーマを持っているような気がした。

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ありの

3.0レナーテさん

2025年8月16日
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が良いです。私は最悪の人ですね。

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michi

1.5顔を捨てた男

2025年8月15日
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設定がブッ飛んだ、良くも悪くもA24色の映画でした。
『シビル・ウォー』もそうでしたが、なんかしっくりこないA24。
本作も特に無いです。
観ても観なくてもイイ作品。

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映画館難民

3.5後半のトントン拍子で軽くなってしまう

2025年8月15日
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鑑賞方法:映画館

顔面アトピー持ちの自分としては手術前迄の描写はなかなか刺さるものがあり、俳優の演技を含めてかなり良かった。ただ術後の流れはやや出来レース的な感じで、あんまりだったかな。色々と過程の省略が多い印象。

しかしながら中盤の部屋での変化シーンは生々しく、素朴なリアリティを感じた。

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石岡将

2.0トッツィーに軍配。

2025年8月14日
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中途半端。
これは顔の話しかなあ。
小劇場の役者と役柄の話しに滞留蛇行し、
誰にも感情移入出来ずに幕。
何処か似て今もテーマが錆びないトッツィーに軍配。
芥川の鼻でもなし、クロネバでもリンチでもなし。
もっと喜劇か悲劇かどちらかに強く寄せていれば。
役者陣も皆が演り損。

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きねまっきい

4.0外面(ルッキズム)か、内面(性格)か、究極の選択を投げかける映画。

2025年8月13日
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難しい

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チャキオ
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