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氷河期に見舞われた地球で、人類が直面する困難と家族の絆を描いたディザスターパニック。
監督/脚本は『インデペンデンス・デイ』『GODZILLA ゴジラ』のローランド・エメリッヒ。
気象学者ジャック・ホールの息子、サム・ホールを演じるのは『遠い空の向こうに』『ドニー・ダーコ』の、名優ジェイク・ギレンホール。
“氷河期もの“という一大ジャンルを生み出した災害映画の金字塔。『デイ・アフター・トゥモロー2017』(2017)に始まり『デイ・アフター・トゥモロー2024』(2023)まで、毎年のようにシリーズ作っぽいものが生み出されているが、これらは全部パチモンである。『デイ・アフター 首都水没』(2007)も『デイ・アナザー・トゥモロー』(2008)も『デイ・アフター・トゥモロー・ウォー』(2021)も全部パチモン!日本の配給会社が勝手に名前を拝借しているだけ。アルバトロス・フィルムは一度エメリッヒに全力で殴られた方が良い💥🤛🤛🤛
午後ローの常連ということもあり、この映画をテレビで観たという人はかなり多いはず。途中から観ても十分ついていける明快なストーリー、どんな映画か一発でわかる明確なヴィジュアル、次から次へと押し寄せるピンチ、どんな状況でも揺るがない親子の絆と、確かにこれはテレビで放映するには最適な娯楽映画界の幕の内弁当である。普段映画を観ない人から「何か面白い映画ない?」と聞かれた際、これを挙げれば難を逃れることが出来るだろう。
構造としては怪獣映画に似ており、人智を超えた強大な力になす術もなく蹂躙される人類の姿を容赦なく描く。拳大の雹が降り注ぐ東京や大津波に襲われるNY、巨大竜巻に飲み込まれるLAなど、ただ凍らせるだけではない地球からの多彩な攻撃は、さながら怪獣が吐き出す必殺光線のよう。同監督作『GODZILLA ゴジラ』(1998)より、よっぽど『ゴジラ』らしい映画に仕上がっている。
20年以上前の映画であるが、映像は全く古びていないどころか、現代の映画をも上回る迫力に満ちている。
セットとCGを巧みに使い分けることで表現された氷河期の世界は迫真のリアリティ。観ているだけで凍えてきます🥶周囲を凍りつかせる冷気から走って逃げるシーンには「気温の低下ってそういうことなのか…?」とか思ったりもしましたが、まぁそれは娯楽映画ですから。そんな虚実の皮膜を楽しむべし。
南極の棚氷が割れ、インドには雪が降り、鳥たちが大移動を始める。この世界が終末へと近づいてゆく様を、段階的に描いてゆく見せ方が上手い。徐々に不穏さが増してゆき、気付いた時にはもう取り返しのつかない事態になっている。このぬるっとしたフェーズの移り変わりにより、ドラマに信憑性が生まれている。
異常気象自体を止める術はないが、それでも今出来ることに全力を注ぐ人々の姿が映し出されており、お仕事映画としても見応えがある。主人公、ジャック・ホール率いる観測チームがドロドロになりながら気象モデルを作り上げる様は『シン・ゴジラ』(2016)にも通じるところがあるような…。やはりこれは、エメリッヒにとっての『ゴジラ』リベンジだったのかもしれない。
ひたすらパソコンに向かうジャックの姿は、主人公としては地味すぎると判断されたのだろうか。後半は息子と再会するため、同僚2人を道連れに何故か極寒のNYへ向かって車を走らせる。いや、行く意味っ!?そして案の定、道中のハプニングで友人が命を落とす。うーん無駄死に。
悪役不在な上、こうすれば世界を救えるという明確なゴールもない。人類に出来ることといえば南に逃げながら寒さのピークが過ぎるのを待つという、めちゃくちゃ地味で消極的な行為のみ。そんななかで主人公に見せ場を作りたいという監督の気持ちはわかるが、無理やりドラマを捻り出されても感動出来る訳がない。この主人公の特攻作戦はただのノイズである。
どうせ主人公に無茶させるなら、必死こいて図書館に辿り着いたけど息子を含めた全員が凍死していたとか、そういう無慈悲な結末を用意しておいた方がインパクトはありますよねぇ。まぁそれがハリウッド大作のオチとしてふさわしいかどうかはわかんないけど。
大統領の扱いもぞんざいで、立派な人だったんだけど特にこれといった見せ場もなく、画面外でいつの間にか死んでいる。その後、嫌味な副大統領が大統領代理に就任するのだが、普通なら主人公を邪険に扱ってきたこの副大統領の方が死ぬキャラだと思う。この裏切りは意外ではあるのだが、だからといってそれで映画が面白くなるわけでもなく、なんか変じゃね?と頭を捻らされるばかり。前半のウェルメイドなストーリー進行から一変、後半急に色々と雑になるのはある意味エメリッヒらしいと言えるのかもしれない。
地球温暖化で氷河期になるということに科学的根拠があるとは思えないし、ジェイク・ギレンホールが高校生を演じるのは年齢的に無理がある。まぁ色々と言いたいことはあるが、先にも述べたように娯楽性は十分。こういうのでいいんだよ、と言いたくなる見事なエンタメ映画でありました。
この映画が公開された時から、世界は更に温暖化が進み、もはや夏はまともに出歩けないレベルにまで気温が上がってしまった。その現実がありながら、アメリカは気候変動に対処する国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱を宣言。大手テック企業はAI開発の名の下に大量の水と電力を吸い上げ続けている。アメリカ国民がメキシコへ移住するという本作のエンディングは、移民排斥を高らかと謳う現代社会への強烈なカウンターとなっており、本作のメッセージ性は時代と共に弱まるどころか、どんどん強まっていると言えよう。先進国の人間こそ、今この映画を観るべきなのではないだろうか。
※日本語吹き替えのクオリティは文句無し。原康義、浪川大輔、大塚芳忠、小山茉美など、実力派が揃っています。……なんだけど、最後の最後に世界観とまるで合っていない吹き替え版主題歌が😅
歌っているのはmisono率いる音楽ユニット「day after tomorrow」。採用理由はお察しの通りである。……いやバカかっ!!?そんなんだから解散するんだよっ!!