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宇宙の狩人「プレデター」と人類との戦いを描くSFアクション『プレデター』シリーズの第4作。
メキシコでの任務中、レンジャー隊員のクイン・マッケナは謎の異星人「プレデター」と遭遇し、そのヘルメットとガントレットを手に入れる。彼はそれを自身の私書箱に郵送するのだが、彼の息子ローリーがその荷を解き、中にあったガントレットを起動してしまう。その信号をキャッチし、もうひとりのプレデターが宇宙から飛来して…。
クインの息子であるアスペルガー症候群の少年、ローリー・マッケナを演じるのは『ルーム』『ワンダー 君は太陽』のジェイコブ・トレンブレイ。
前作『プレデターズ』(2010)から8年。久しぶりの復活となった『プレデター』シリーズだが、そのメガホンを握ったのは『プレデター』(1987)に役者として参加していたシェーン・ブラック。『リーサル・ウェポン』(1987)や『ラスト・アクション・ヒーロー』(1993)の脚本を手がけ、『アイアンマン3』(2013)では監督も務めた大味バカアクション映画界の名手が、古巣に戻って来たのである。
その内容は、予想通り、いや予想を上回る迷作っぷり。初代のグロ路線に回帰しつつ、元々高くなかった知能指数をさらに引き下げ、雑なストーリー展開と倫理観ゼロの殺人/死体ギャグで観客の脳みそをふやかす。これが2018年の映画っ!?1998年の間違いじゃないの??
正直、シリーズ4作の中でもストーリーはダントツでへっぽこ。登場する2体のプレデターのうち、チビの方は人類の手助けをしにきたらしい。…その割には人殺しまくってたけど。まずこのチビプレデターが人類の側に付く理由がわからん。なにがやりたいんだコラ!!差し入れを持ってきてコラ!!なにがやりたいのか、はっきり言ってやれコラ!!と長州じゃなくても一喝したくなる。大体なんだよあの差し入れの中身は!これ『アイアンマン』じゃねーんだぞ!!
このチビプレデターと人類が協力して追っ手であるデカプレデターと対決するというのならまだ納得も出来るのだが、それをさて置いて人間同士で対立し合うのはマジで意味がわからん。だって別にスターゲイザー計画責任者のオッさんは私利私欲の為に動いていた訳じゃないんだし(そうだよね?)。なにがやりたいんだコラ!!
雑過ぎる脚本は擁護しようもないが、それがさほど気にならないのはキャラクターの魅力が強いから。『プレデター』シリーズといえば、主人公以外のキャラクターはほとんど書き割りで、ただプレデターに殺される為だけの存在であった。『プレデターズ』なんて、あんなにキャラクターが多いのに結局覚えているのはヤクザだけだもん。
しかし、今回は主人公率いる退役軍人チーム「ルーニーズ」の可愛げが物語の推進力になっている。もちろん彼らも最終的には全員プレデターにぶっ殺されるわけだが、とにかく楽しく陽気なキャラクターが揃っている為、本気で「誰も死んでほしくない!」と思わせてくれた。知らず知らずのうちに主人公軍団に肩入れしているほど魅力的なキャラが揃っているというのは、モンスター映画には大切なこと。それをクリアーしているのだから、少々の(というには大きすぎるが)プロットホールには目を瞑りたい。
という訳で、大部分の杜撰さや雑さは気にならない。むしろそこも楽しさのひとつとして捉えられる。ただ、終盤の在庫一掃処分セールの様なバトルシーンは流石に擁護不可能。これまでのギャグ路線から一変、殺伐とした決闘が始まる訳だが、画面の暗さとチャカチャカした編集のせいで何が何やらよくわからない。それまではシリーズ屈指の楽しさだっただけに、この突然の下落は残念でならない。
また、ルーニーズの抱えるPTSDを茶化している様に見えなくもないところにはかなりの危うさを感じる。ローリーの自閉症もしっかりとした調査の上で描写している様にはどうしても見えない。シェーン・ブラックに難しいことなんて求めていないんだから、不用意にPTSDとか自閉症とか扱わなければ良かったのに。楽しさ全フリの娯楽作品だからこそ、その辺りの無神経さが余計にノイズになってしまった。
上記した様に看過し難い欠点もあるが、それでもやはりこの知能指数ゼロなバカアクション路線は嫌いになれない。
この後、20世紀フォックスはディズニーに買収。シリーズ作品はディズニー政権下で制作されることとなる。ディズニーでは不可能であろう悪ノリを楽しむことが出来るという意味で、本作は今後もオンリーワンな作品であり続けるではないか。