既にご存知の通り、JavaScriptの関数は値です。
JavaScriptのすべての値は型を持っています。関数は型は何でしょうか?
JavaScriptでは、関数はオブジェクトです。
関数をイメージする良い方法は、呼び出し可能な “アクションオブジェクト” とみなすことです。私たちはそれらを呼び出すだけでなく、オブジェクトとして扱うこともできます: プロパティの追加/削除、参照渡しなど。
“name” プロパティ
関数オブジェクトには、往々にして使用可能なプロパティが少ししかありません。
例えば、関数名は “name” プロパティとしてアクセス可能です:
function
sayHi
(
)
{
alert
(
"Hi"
)
;
}
alert
(
sayHi.
name)
;
// sayHi
もっと面白いことに、名前を割り当てるロジックはスマートです。 割り当てに使用される関数にも正しい名前を貼り付けます。:
let
sayHi
=
function
(
)
{
alert
(
"Hi"
)
;
}
alert
(
sayHi.
name)
;
// sayHi (works!)
デフォルト値を通して行われた代入でも動作します:
function
f
(
sayHi
=
function
(
)
{
}
)
{
alert
(
sayHi.
name)
;
// sayHi (works!)
}
f
(
)
;
仕様では、この機能は “contextual name(文脈上の名前)” と呼ばれます。関数がそれを提供しない場合、代入ではコンテキストから見つけ出されます。
オブジェクトメソッドも名前を持っています。:
let
user =
{
sayHi
(
)
{
// ...
}
,
sayBye
:
function
(
)
{
// ...
}
}
alert
(
user.
sayHi.
name)
;
// sayHi
alert
(
user.
sayBye.
name)
;
// sayBye
しかし、正しい名前を把握する方法がない場合があります。そのようなとき、name プロパティは次ように空になります。:
// 配列の中で作られた関数
let
arr =
[
function
(
)
{
}
]
;
alert
(
arr[
0
]
.
name )
;
// <empty string>
// エンジンには正しい名前を設定する術がないので名前はありません
実際には、ほとんどの関数は名前を持っています。
“length” プロパティ
関数パラメータの数を返す別の組み込みのプロパティ “length” があります。例えば:
function
f1
(
a
)
{
}
function
f2
(
a,
b
)
{
}
function
many
(
a,
b,
...
more
)
{
}
alert
(
f1.
length)
;
// 1
alert
(
f2.
length)
;
// 2
alert
(
many.
length)
;
// 2
ここで、残りのパラメータはカウントされないことが分かります。
length
プロパティは、他の関数上で動作する関数で内省のために使われることがあります。
例えば、下のコードでは、ask
関数は質問するための question
と、呼び出すための任意の数の handler
関数を受けます。
ユーザが答えたとき、handler を呼びます。私たちは2つの種類の handler を渡すことができます:
- 引数なし関数の場合、肯定的な回答の場合にのみ呼ばれます。
- 引数を持つ関数の場合は、いずれのケースでも呼ばれそこから答えを得ます。
この考え方は、肯定的なケース(最も頻繁に変わるもの)のための単純な引数なしのハンドラ構文があるが、汎用のハンドラも提供できるということです。
handlers
を正しい方法で呼ぶために、私たちは length
プロパティを調べます:
function
ask
(
question,
...
handlers
)
{
let
isYes =
confirm
(
question)
;
for
(
let
handler of
handlers)
{
if
(
handler.
length ==
0
)
{
if
(
isYes)
handler
(
)
;
}
else
{
handler
(
isYes)
;
}
}
}
// 肯定的な解答では、両方のハンドラが呼ばれます
// 否定的な解答では、2つ目だけが呼ばれます
ask
(
"Question?"
,
(
)
=>
alert
(
'You said yes'
)
,
result
=>
alert
(
result)
)
;
これは、いわゆる ポリモーフィズム(polymorphism) と呼ばれる特定のケースです – 引数を型に応じて、または私たちの場合は length
に応じた扱いをします。このアイデアはJavaScriptライブラリで使用されています。
カスタムプロパティ
我々は、独自のプロパティを追加することもできます。
ここでは、合計の呼び出しカウントを追跡するための counter
プロパティを追加します:
function
sayHi
(
)
{
alert
(
"Hi"
)
;
// 何度実行したかカウントしましょう
sayHi.
counter++
;
}
sayHi.
counter =
0
;
// 初期値
sayHi
(
)
;
// Hi
sayHi
(
)
;
// Hi
alert
(
`
Called
${
sayHi.
counter}
times
`
)
;
// 2度呼ばれました
sayHi.counter = 0
のような関数に割り当てられたプロパティは、関数の中でローカル変数 counter
として定義 されません 。言い換えると、プロパティ counter
と変数 let counter
は2つの無関係なものです。
私たちは、関数をオブジェクトとして扱うことができ、その中にプロパティを格納することが出来ます。しかしそれはその実行には影響を与えません。変数は関数プロパティを使うことはなく、逆も然りです。これらは単なる2つの並列した言葉です。
関数プロパティは時々クロージャを置き換えることができます。例えば、関数プロパティを使うために、チャプター 変数スコープ、クロージャ のカウンターの例を書き換えてみます。:
function
makeCounter
(
)
{
// 次の代わり:
// let count = 0
function
counter
(
)
{
return
counter.
count++
;
}
;
counter.
count =
0
;
return
counter;
}
let
counter =
makeCounter
(
)
;
alert
(
counter
(
)
)
;
// 0
alert
(
counter
(
)
)
;
// 1
count
は今や外部のレキシカル環境ではなく、関数の中に直接格納されています。
クロージャを使うよりも悪いのでしょうか?それとも良いのでしょうか?
主な違いは、count
の値が外部変数にある場合、外部コードはそこへアクセスすることはできないということです。ネストされた関数だけがそれを変更することができます。:
function
makeCounter
(
)
{
function
counter
(
)
{
return
counter.
count++
;
}
;
counter.
count =
0
;
return
counter;
}
let
counter =
makeCounter
(
)
;
counter.
count =
10
;
alert
(
counter
(
)
)
;
// 10
なので、どちらを選ぶかは私たちの目的次第です。
名前付き関数式(Named Function Expression)
名前付き関数式、または略して NFE は名前を持つ関数式の用語です。
例えば、一般的な関数式を考えてみましょう:
let
sayHi
=
function
(
who
)
{
alert
(
`
Hello,
${
who}
`
)
;
}
;
…そしてそれに名前を追加しましょう:
let
sayHi
=
function
func
(
who
)
{
alert
(
`
Hello,
${
who}
`
)
;
}
;
追加の "func"
の名前の役割は何でしょう?
最初に、私たちはまだ関数式を持っていることに注意してください。function
の後に名前 "func"
を追加しても、関数宣言にはなりません。なぜなら、それはまだ代入式の一部として作成されているためです。
このような名前を追加しても何も破壊しません。
関数は依然として sayHi()
で利用可能です。:
let
sayHi
=
function
func
(
who
)
{
alert
(
`
Hello,
${
who}
`
)
;
}
;
sayHi
(
"John"
)
;
// Hello, John
そこには、名前 func
に関して2つの特別なことがあります:
- 関数の内側から関数を参照することができます。
- 関数の外側からは見えません。
例えば、下の関数 sayHi
は、who
が提供されていない場合、"Guest"
で自身を再度呼びます。:
let
sayHi
=
function
func
(
who
)
{
if
(
who)
{
alert
(
`
Hello,
${
who}
`
)
;
}
else
{
func
(
"Guest"
)
;
// 自身を再度呼ぶために func を使用
}
}
;
sayHi
(
)
;
// Hello, Guest
// しかしこれは動作しません:
func
(
)
;
// Error, func は未定義(関数の外からは見えません)
なぜ func
を使うのでしょう?単に sayHi
ではダメなのでしょうか?
実際には、多くのケースでは次のようにできます:
let
sayHi
=
function
(
who
)
{
if
(
who)
{
alert
(
`
Hello,
${
who}
`
)
;
}
else
{
sayHi
(
"Guest"
)
;
}
}
;
そのコードの問題は、sayHi
の値が変わるかもしれないと言うことです。関数は別の変数になり、コードがエラーを吐くようになるかもしれません。:
let
sayHi
=
function
(
who
)
{
if
(
who)
{
alert
(
`
Hello,
${
who}
`
)
;
}
else
{
sayHi
(
"Guest"
)
;
// Error: sayHi is not a function
}
}
;
let
welcome =
sayHi;
sayHi =
null
;
welcome
(
)
;
// Error, 入れ子の sayHi 呼び出しはこれ以上動作しません!
関数が外部のレキシカル環境から sayHi
を取得するために起こります。ローカルの sayHi
がないので、外部変数が使われます。そして 呼び出しの瞬間、sayHi
は null
です。
関数式に入れることができるオプションの名前は、この種の問題を解決するためのものです。
コードを直すためにそれを使ってみましょう:
let
sayHi
=
function
func
(
who
)
{
if
(
who)
{
alert
(
`
Hello,
${
who}
`
)
;
}
else
{
func
(
"Guest"
)
;
// 今はすべて問題ありません
}
}
;
let
welcome =
sayHi;
sayHi =
null
;
welcome
(
)
;
// Hello, Guest (ネスト呼び出しは機能します)
名前 "func"
は関数ローカルなのでこれでうまく動作します。それは外部のものではありません(外部からは見えません)。仕様は常に現在の関数を参照することを保証します。
外部コードは依然として変数 sayHi
または後の welcome
を持っています。そして、func
は “内部の関数名” であり、自身を呼び出すためのものです。
ここで説明された “内部名” の機能は関数式でのみ利用可能で、関数宣言では利用できません。関数宣言に対して、もう1つの “内部” の名前を追加する構文はありません。
信頼できる内部名が必要なときには、それは関数宣言を名前付けされた関数式の形に書き換える理由になります。
サマリ
関数はオブジェクトです。
ここでは、私たちはそれらのプロパティをカバーしました:
name
– 関数名です。関数定義で与えられたときだけでなく、代入やオブジェクトのプロパティに対しても存在します。length
– 関数定義での引数の数です。残りのパラメータはカウントされません。
もし関数が関数式として宣言され(メインコードフローではない所で)、名前を持っている場合、それは名前付けされた関数式と呼ばれます。その名前は再帰呼び出しなどをするために内部で自身を参照するために使うことができます。
また、関数は追加のプロパティをもつ場合があります。多くの知られているJavaScriptライブラリはこの機能を最大限に活用しています。
それらは “メインの” 関数を作り、それに多くの “ヘルパー” 関数を付与します。例えば、jquery ライブラリは $
という名前の関数を作ります。lodash ライブラリは関数 _
を作ります。そして、 _.clone
, _.keyBy
や他のプロパティを追加します(これらについてもっと知りたい場合は、docs を参照してください)。実際には、グローバル空間の汚染を少なくするために、1つのライブラリで1つのグローバル変数のみが与えられます。 これにより、名前の競合が発生する可能性が低くなります。
したがって、関数は単独で有益な仕事をすることができ、プロパティには他の機能も備えることができます。
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