コース: プロジェクトを成功に導くには
財務分析を行う
選択肢の調査では、コストとメリットを 把握しなければなりません。 ここでは、選択肢の財務面での メリットを分析する、 一般的な手法を2つ紹介します。 財務面の分析では、正味現在価値、 略して NPV と、投資利益率、略して ROI の2つがよく使われます。 正味現在価値の利点は、 ひとつの数字で状況が分かることです。 プラスの数字は価値があることを意味し、 数字が大きいほど価値は大きくなります。 正味現在価値は、 1年ごとのプロジェクトコスト、 1年ごとの収益、予想される インフレ率を使って計算します。 少し専門的に言うと、 プロジェクト全期間での 割引キャッシュフローです。 インフレを調整しながら 毎年の価値を加算して、 正味価値または総現在価値で プロジェクトの現在の価値を計算します。 正味現在価値はプロジェクトの 価値を金銭的価値として計算するため、 正味現在価値が高いほど プロジェクトのメリットが大きく、 その選択肢を選ぶことは 理に適っていることになります。 H+ Sport の例で考えましょう。 H+ Sport には、 新しい流通センターの開設、 オンライン注文の廃止、顧客数の 削減などの選択肢があります。 どのように決めるとよいでしょうか。 各案の正味現在価値を分析すると、 ビジネスに対する財務面の 影響を理解しやすくなります。 最も大きなプラスの正味現在価値を持つ 選択肢が、長期的には 最も収益を見込めます。 それぞれの正味現在価値を分析することで、 同一条件での価値を比較できます。 選択肢の細部が異なっていても 問題ありません。 もうひとつの一般的な財務分析手法は、 投資利益率、ROI です。 投資利益率は、プロジェクトの利益と コストを比較して、 価値の増加率を計算します。 投資利益率がプラスのプロジェクトは 利益があり、マイナスだと損失が生じます。 投資利益率が高いほど、 プロジェクトは魅力的ということです。 お金はただではありません。 企業は、融資に支払う利子に基づいて プロジェクトに投資するべきかを 判断します。 これを資本コスト、 またはハードルレートと言います。 15%のハードルレートの場合、 プロジェクトが利益を出すには 15%以上の投資利益率が必要です。 15%を超えていれば収益があります。 以上が、2つの一般的な財務分析手法です。 概念が分かりやすくても、数字を揃えて 価値を計算するのは簡単ではありません。 この分野は経済専門家や会計士にサポートを 依頼することをおすすめします。 選択肢の財務面を理解することは、 プロジェクトリーダーの重要な仕事です。 代替策の総価値と相対的利益を 把握することで、プロジェクトのコストと メリットについて説得力のある決定を 下せるようになるでしょう。