たまに18歳未満の人や心臓の弱い人にはお勧めできない情報が含まれることもあるかもしれない、甘くなくて酸っぱくてしょっぱいチラシの裏。RSSによる簡単な更新情報を利用したりすると、ハッピーになるかも知れませんしそうでないかも知れません。
の動向はもえじら組ブログで。
宣伝。日経LinuxにてLinuxの基礎?を紹介する漫画「シス管系女子」を連載させていただいています。
以下の特設サイトにて、単行本まんがでわかるLinux シス管系女子の試し読みが可能!
恥ずかしながら、(アメリカのDEIへの揺り戻しでのトランプ旋風、みたいなのとは別の話で)欧米でアファーマティブアクションが廃止されていっているということは把握していなかった。
以前に、アファーマティブアクションのアメリカ英語表現がpositive discrimination(肯定的な差別)だと知って、それ以降「差別・不公平解消のためなのだから」で思考停止して無条件に推進するのはよくないのだなと思うようにはなった部分はある。
ただ、今存在している「男女比が偏りすぎてて参加しづらい、行っても女性特有の事情への理解がなくて辛い」という問題、困っているという人自身による訴えを無視する気にはやはりなれない。
問題を早急に解消し状況を是正する良い方法を他に思いつかないことから、「女子枠」のようなアファーマティブアクションの「マイノリティ枠」は、状況の変化を踏まえた終了(都立高校の男女枠が、元は女子差別解消のための物だったのに、現代では逆に女子差別になっていたという件のように)を常に意識しつつ、ひとまず肯定する、という立場を僕は今まではとってきた。
しかし、理系分野での論文でまで「逆効果だ」と言われると、その立場すらも取りづらさを感じる。
理想的には、人々の意識が少しずつ変わっていき、その結果として差別がなくなるのが一番いいソフトランディングだ、というのは分かっている。短期間で急激に何かを変えるハードランディングは、どこかに皺寄せが生じて禍根を残す、というのも分かる。
ただ、「時間をかけてのソフトランディング」という理想は、差別を受けていないマジョリティ・強者側にとってはひたすら都合が良い一方で、今まさに不合理な差別を受けているマイノリティ・弱者側には「ただ我慢しててください、今の世代での解消は諦めてください」と言っているに等しく、それ自体が強者の理屈の押しつけではないか、と僕には感じられる。
なるべく早急に不合理を解消することはできないのか、と僕は思ってしまう。
自分が属するソフトウェア開発者コミュニティでは、性別その他のあらゆる差別を許さないCode of Conduct(行動規範と訳される)を自主的に掲げることが流行っていて、圧倒的多数を占める男の側にも「差別を解消していこう」という動きがある。そういう領域でまで、軋轢を増やすリスクを負ってマイノリティ枠を敢えて設ける必要性は、そこまで強くなさそうとは思う(それでも気後れする人や、セクハラを懸念する人はいて、女性のみ参加可能なイベントやカンファレンスといった形の保護的なやり方はまだ必要なのだろう、と僕は思っている)。
しかし、そうでない、差別を温存したい勢力の方が支配的な集団において、集団の自浄作用で差別解消の取り組みが進むことにまでは、僕はどうにも期待を持てずにいる。
それこそ男女雇用機会均等法のように、上から強権的に押しつけて枠を作りまでしないと変わっていかないのではないか? という気がしてならない。
そして、「アファーマティブアクションは逆効果だ」という言説は、そのような差別を温存したい人たちにばかり悪用されていくのではないか、という気がしてしまう。
そういう疑念が拭えなくて、「マイノリティ枠」へ反対する人自身がマジョリティに属しているのを見ると、「これって、差別反対と言っておかないと決まりが悪いからポーズを取ってるだけで、本当は差別を減らしたくないんじゃないの……?」と思ってしまう。自身がマイノリティに属している人が反対しているのを見ても、「過剰適応してるってことはないのか……? 名誉白人や名誉男性になってしまってないか……?」と思ってしまう。そういう偏見・先入観を僕は持ってしまっている。
なので、冒頭の2つの記事を書いた人が「マジョリティに属しつつ、マイノリティ差別解消に積極的に取り組んでいて、且つマイノリティ枠に反対している人」だということを認知して、戸惑い、僕自身の持つ先述の通りの強い偏見・先入観を自覚させられた。
委員としての男女共同参画推進実績:
- NENENENE@研究 (@SUKANEKI_STI) May 22, 2025
・市の保育士給与助成金を継続へ
・育児講座を男性にも積極実施へ
・男女双方のDV対策を計画に明記
・市のセクハラ対策推進へ
・「男女」にとどまらない性的マイノリティ含むインクルーシブ環境の実現へ(青線は私の提案が丸ごと採用)
などなど。。。 pic.twitter.com/8gQ2SLgEZb
そして、じゃあそういう人を偏見で見ていた僕自身は、何か差別解消につながる事を実際にできているのか? 偏見をぶつける資格はあったのか? ということを考えてみるに、残念ながらそう多くのことはできていないと感じる。
まず、女性ITエンジニアをお飾りでなくプロフェッショナルな技術者として描く、ということを意識した解説漫画を10年以上連載してみてはいるけれど、その点が世に何か影響を与えている実感はない。
「読んだ」「コマンド操作を覚える役に立った」という声を頂くことは何度かあった(それは本来の役割を果たせてたということで、大いにありがたいのは間違い無い)けれど、女性ITエンジニアの描き方については、「オシャレで良い」といった肯定的な声もあったけれど、(恐らくは、中年男性作者である僕が自分の好みを込めて若い女性のキャラを描いているという事実について)「キモい」といった否定的な声もあったように記憶している。
「シス管系女子」というタイトル付け(「草食系女子」のようなフレーズにヒントを得た命名だった)自体が、「女性ITエンジニアが普通にプロフェッショナルとして働く」様子を描く物のタイトルとして相応しく感じられない、却って女性を特別に一段低く見ているタイトルのように思われる時代となったと感じ、新装版で「ITエンジニア1年生のためのまんがでわかるLinux」と改題したけれど、これもマッチポンプといえばマッチポンプで、元々世の中にあった差別的なものを「減らすのに寄与した」わけではない。
Firefox用アドオンのTree Style Tabでは、コンテキストメニュー再現にあたって既成のメニュー提供ライブラリーでキーボード操作に対応した物を見つけられず、アクセシビリティ観点でマシな物をと思ってわざわざライブラリーを自作した。TSTのGUIを音声で操作する人がいると知って、実際にそのためのツールを自費で購入して、検証しながらアクセシビリティ面での改善を図ってみた。また、書字方向が右から左の言語圏の人からの要望を受けて、アラビア語版Firefoxで検証しながら、全体に渡って手を入れてRTL対応を改善してみたりした。これらは、マジョリティの自分の用途だけを指向していては陥ってしまうマジョリティ優遇・マイノリティ冷遇を解消した、と言える事例だと思う。
しかし、擬似メニューはFirefox本体の改善で早々に無用になったし、報告を元にした改善も、報告者の人以外に具体的な声は皆無なので、実際どれだけ意味があったのかは分からないままでいる。多大なコストをかけて無意味な事をしただけに終わってしまっているのかもしれない。
そういった「成果の無さ」を鑑みるに、結局何もしてないくせにSNSやブログで言葉でだけ威勢のいいことを言っている、という誹りは免れ得ないと感じる。
それどころか、冒頭の記事の言説を素直に受け止めるなら、否定されるべきアファーマティブアクションを度々肯定して、却って世界を悪くする方に加担していることになる。
良い影響のないことばかりして、悪い影響のあることばかりして、これでは、自分がありたかった形とはまるで正反対ではないか。
オチはなく、ただ落胆だけ。
ゲームセンターのプリクラコーナーではずいぶん昔から、女性客だけで楽しくやっている所に男性客が割り込んでナンパや迷惑行為をすることが問題となっていて、「プリクラコーナーは女性専用」「男性のみのグループは利用禁止」という感じの対応を取っている店舗が多いそう。自分も、友人達と盛り上がった後に「記念にプリクラ撮ろう!」となってゲーセンに行ったらそういう注意書きがあって、幸い女性参加者がいたため事なきを得た、ということや、男性だけのグループで「あーこのグループじゃ入れないな」と諦めた、ということがあった。そのような店舗の対応が「差別」だ、みたいな話題がちょっと前にXで盛り上がっていたらしい。
それで見かけたこちらの投稿。
俺はそもそも「差別」そのものを絶対悪にするのは無理があると思っているので、別に理由があるならプリクラに男だけの利用を禁止するのも仕方ないしそう決めた店側を簡単に悪とは言わないが、せめて「差別である」という心づもりではいてほしいんだよな
— 荒ぶる小学生いがらっしー (@takamura804) March 2, 2025
読んで、僕が色々なことについて差別とか差別性とかを述べる時の感覚に一部近い物を勝手に感じて、色々思ったことを今の自分なりに言葉にしたので、Xで垂れ流した物を編集しながらこちらにまとめてみる。
(日本語版はこちら)
I recently released version 4.0 of Tree Style Tab (TST) add-on, which provides vertical and indented tab bar UI for Firefox.
The significant change in this version is the performance improvement in responsiveness and CPU/RAM usage, particularly in cases with a very large number of tabs.
Here is reference data regarding resource usage related to TST, measured using about:memory
in my development environment (Windows 11, Firefox 122.0.1, 536 tabs), immediately after Firefox started and restored the last session, and after TST was fully initialized:
TST 3.9.22 | TST 4.0 | Reduced RAM usage between TST 3.9.22 and TST 4.0 | |
---|---|---|---|
Main process | 10.87MB | 6.62MB | 39.1% reduced |
Extensions process | 143.92MB | 83.35MB | 42.1% reduced |
I feel that the responsiveness has greatly improved when opening tabs and collapsing/expanding the tree. You may feel this effect even more if you have thousands of tabs or if Firefox's processes live for an extended period.
There are some compatibility issues with customization by user style sheets and/or helper addons. I have already researched and updated known helper addons, but there may still be some broken behaviors.
Most of improvements in this version are based on a development project sponsored by the Waterfox. Thank you very much, Alex!
先だって、Firefox用の縦型&ツリー表示タブバーアドオンであるTree Style Tab(以下、TST)のバージョン4.0をリリースしました。 このバージョンではサイドバーパネルの設計を大きく変更し、タブの数が多い場面での動作パフォーマンス(消費メモリー、CPU消費、体感速度)が大幅に向上しました。 参考値として、作者環境(Windows 11、Firefox 122.0.1、タブの数536個)で、Firefoxを起動しセッションを復元した直後、TSTも初期化完了した時点でのabout:memoryで計測したTST関連リソースの消費メモリー量は以下の通りとなっていました。
TST 3.9.22 | TST 4.0 | TST 3.9.22→TST 4.0の消費メモリー削減割合 | |
---|---|---|---|
メインプロセス | 10.87MB | 6.62MB | 39.1%減 |
拡張機能プロセス | 143.92MB | 83.35MB | 42.1%減 |
自分の主観的には、タブを開いた時やツリー開閉時などのもたつきも軽減され、体感的な快適さは大きく向上した印象があります。 タブの数が数千個に及ぶような状況や、Firefoxのプロセスが長期間生存する状況では、メモリー消費量の点でも体感的な速度の点でも、もっと顕著に効果が表れるのではないかと思います。
この改善のために、今バージョンでは前の版に比べて、CSSでのカスタマイズやヘルパーアドオンとの互換性が一部損なわれています。 既知のヘルパーアドオンについては問題無さそうなことを一通り確認済みですが、僕の把握していない物は動かなくなってるかもしれません。
なお、後述しますが、今回のTSTの改善はWaterfoxプロジェクトからの支援によって実現されました。 この場を借りて、プロジェクト主催のAlexさんに感謝の言葉を述べさせて頂きます。 改めて、ありがとうございます!
Android版Firefox(開発コード名Fenix)用のアドオンを作る上で必要になる、実機での確認の仕方について。 一通りのことはDeveloping extensions for Firefox for Android | Firefox Extension Workshopに書かれていて、それをWindows 11上で実際に自分でやってみたという記録。
注意点。
まず必要なソフトウェアをインストールする。
Path
にC:\Program Files\nodejs\
を登録しておく。(Node.jsのインストーラが自動で設定してくれるかもしれない。ちゃんと確かめてない。)Path
にC:\Users\piro\AppData\Roaming\npm
を登録しておく。(Node.jsのインストーラが自動で設定してくれるかもしれない。ちゃんと確かめてない。)cmdline-tools
フォルダーを、C:\Program Files\android\sdk
に置く。
Path
にC:\Program Files\android\sdk\cmdline-tools\bin
を登録しておく。platform-tools
フォルダーを、C:\Program Files\android\sdk
に置く。
Path
にC:\Program Files\android\sdk\platform-tools
を登録しておく。JAVA_HOME
にC:\Program Files\Java\jdk-21
(パスは実際にインストールしたJDKのバージョンに依存する)を登録しておく。必要な物が揃ったら、adbでの接続を試みる。
adb start-server
を実行してadbのデーモンを起動する。adb devices
を実行する。ここまでの手順が成功していれば、接続しているAndroid端末のデバイスIDが以下の要領で列挙される(数字は例示用のダミー)。
List of devices attached
856392147208461 device
cd
して、web-ext run -t firefox-android --adb-device (先程調べたデバイスID) --firefox-apk org.mozilla.fenix
を実行する。アドオンの側に問題がなければ、これでアドオンがAndroid Firefoxに読み込まれる。
Xに書いた事のまとめ・増補版。
「マイクロアグレッション」に関する香川県の啓発ポスターについての、労ったり褒めたりしてもダメとかどうしたらいいんだよ どうせ触れなかったら「配慮が足りない!」とか言うくせに
というコメントを見かけた。
マイクロアグレッションとは、発話者当人に差別の自覚はなく、ともすれば言われた側にも「差別された」といった明確な被害意識はなかったりすらするけれど、言われた側はなんとなく釈然とせずモヤる、という類の「日常の中にある、社会的・歴史的に見て差別性がうっすらある言い方や接し方」のことだ。という理解の仕方を僕はしている。
これまでも度々書いてると思うけど、僕はこの種の「誉め言葉と思って言ったのに、マイクロアグレッションだと言われる」類の指摘に「どないせえちゅうねん」と途方に暮れる側の一人だった。
正直に言えば、「こっちはこれだけ気をつけてるつもりなのに、これ以上を要求されるなんて、なんてめんどくさい!」という感覚はあったと思う。
先のコメントをした人が僕と同じ戸惑いを感じているのかどうかは分からないけど、僕は、「よかれと思って言った言葉で泣かれ、その相手との縁を絶対切られたくなかったので本気で反省する」というクソダサ経験をするまで、心の底では「よかれと思って言うたのに、何が悪いねん」という自己正当化の思いを捨てきれていなかったな、と今から当時を省みて思う。
反発心がなくならない間は、僕は、理屈では分かったつもりでも本心では腑に落ちてなかったのだと思う。
当時の僕に、人を泣かせずにその事を理解させ得ただろうか? なんとなく、無理そうな気がする。そのくらい、パラダイムの大きな転換を要する事だったように思う。
エッセイ漫画家さん、過去1番共感できない漫画を描いて炎上する【ぬこー様ちゃん】というまとめを見た。人から金を借りて、返す段になって「返したくねーなー」「うわっこいつ(※貸主)、何も言わず受け取るんかよ(※当然です)」と感じる、という件の作者に対して、 「クズ」「最低」等々非難の嵐となっている様子がまとめられたものだ。
まとめられた反応は散々だけど、自分はこの「作者の気持ち」が分かる方だ。
相手を舐めている、世界のすべては自分のためにあると思っている、自分をもてなさない相手に出会うと不機嫌になる……そういうタイプ。
言語化すると「なんて傲慢なんだろう」と思えるのだけど、自分自身ではそれを「当たり前」と思っているから、特段「悪意」があるわけでもない。
悪意も自覚もなしにこう考える人間がいるのだと、我が事として実感しているから、僕は今は他者の善意や返報性に期待しすぎずにいられてるんだと思う。
僕という人間は、ハードウェア的にはそういうクズで、ソフトウェアエミュレーションで社会性を保っている。という自己認識でいる。
むしろ、自分がそうだから「クズに見える人も、やりよう次第で社会的に振る舞えるようになれて、社会の中で問題を起こさず共存できるのだ」と信じられているのだと思う。
「まんがでわかるLinux シス管系女子」1巻と2巻前半にあたる部分を収録した増補改訂新装版の「ITエンジニア1年生のための まんがでわかるLinux」について、後書きでは少し触れてたんだけど、恐らく旧版読者だと思われる方の 「時勢に合わせた感じなのかなあ」というコメントを見かけたので、改めて書き記しておきます。
端的に言うと、これは作者の自分から改題を申し出ました。
「なぜ自発的にOSSやってるの?」という問いへの答えは十人十色だと思うけど、自分の場合は「ヴィジランティズム」が一番大きいんだと思う。