復興や平和への願い、空に向け 仙北市「紙風船上げ」準備進む

 秋田県仙北市西木町上桧木内の小正月行事「紙風船上げ」が2月10日、市紙風船館隣の紙風船広場で行われる。地区は昨年8月の記録的大雨で住宅や農地の多くが水に漬かり、深刻な被害が出た。住民らは大雨被害からの復興や平和への願いを込めながら、紙風船の制作に取り組んでいる。

 今月20日、地元の桧木内中学校(本道法順校長、16人)の体育館に生徒が集まり、色塗りを終えた紙風船の側面4枚を貼り合わせて和紙で上部の口に封をする作業を行った。上桧木内紙風船上げ保存委員会副会長の鈴木保栄さん(46)らの指導を受けて、隙間ができないように丁寧に貼り付けていった。

 下部の口に竹製の輪を取り付けた後、鈴木さんがガスバーナーで熱風を送ると、紙風船が膨らんで立ち上がった。完成した紙風船とともに記念写真を撮った生徒や教員からは拍手が沸き起こった。

 桧木内中では紙風船作りが恒例行事となっており、今年は2個を打ち上げる。うち1個には「復興祈願」の文字を書いた。

 生徒は昨年12月から、紙風船に書く文字や絵について話し合ってきたといい、生徒会長の阿部れなさん(2年)は「大雨で被害を受けた人たちの生活が元に戻ってほしいという思いを込めた。協力して作った紙風船をたくさんの人に見に来てほしい」と話した。

 阿部さんは地域で続く紙風船上げの行事について、「自分たちの紙風船だけでなく、他の人が作ったものを見るのも毎年の楽しみ。人口は少ないが、紙風船上げのように楽しいことはたくさんあると伝えたい」とも語った。

 今回、初めて紙風船を打ち上げるのは県遺族連合会。同会青年部員の阿部明雄さん(67)が紙風船上げ保存委員会の会長を務めていることが契機となった。戦争の記憶を後世に伝える「平和の語り部事業」の一環として行事に参加する。

 19日には、戦没者の孫世代らでつくる青年部の4人が上桧木内地区の多世代交流施設「山鳩館」を訪れ、平和への思いを込めて紙風船を作った。「戦没者の慰霊と恒久平和を願う」「秋田県遺族連合会」などの文字を下書きした後、一字一字丁寧に色を塗った。

 青年部長の佐藤勝也さん(58)は今も世界では戦争が続いているとし、「人間は忘れると同じ過ちを繰り返す。紙風船を見に来てくれた人たちに戦争があったことを忘れないでと伝えたい。戦没者や亡くなった遺族にも、自分たちの活動を空から見守っていてほしい」と語った。

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