今回取り上げるのは,ウィルコムの「WILLCOM D4」。電話というよりも,PHSの通信機能を内蔵する超小型Windowsパソコンである。実際の使い勝手からも,通話よりパソコンとしての利用を重視したことが伺える。そのためか,D4の内部構造はパソコンのそれに近い印象である。

 この端末の開発メーカーはシャープ。ただしハードウエアの設計には,同社が製造を委託したとみられる台湾Quanta Computer社が大きく関与しているようだ。「インターネットマシン SoftBank 922SH」や「FULLFACE2 SoftBank 921SH」といったシャープ製の携帯電話機と比べると,D4には例えば部品の選択で大きな違いがみられる。従来であればシャープ製の部品を使っていたワンセグ・チューナーなどが他社製だったり,台湾メーカー製の部品が随所に見られたりする。全体的に部品点数が多く,形状がバラバラなネジが多数ある,基板上にジャンパ線があるなど,短時間で設計した印象もあった。

 次ページ以降で,基板を中心に内部の詳しい構造を紹介する。今回の分解でも,フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ(東京都江東区)の協力を得た。なお,日経エレクトロニクスは,2008年8月25日号に分解結果を解説した記事を掲載します。

マウス・ボタン タッチ・センサ キーパッドの回路部分 メイン基板と放熱機構

赤枠で囲った写真をクリックすると,詳しい説明のページに移動します。その他の写真はクリックすると拡大します。本記事の写真は,すべてフォーマルハウト・テクノ・ソリューションズが撮影しました。

製品名 WILLCOM D4
メーカー シャープ
外形寸法 約188×84×25.9mm(専用標準バッテリー装着時。閉じた状態,突起部を除く)
質量 約460g(専用標準バッテリー装着時)
電池駆動時間 電池駆動時間 約1.5時間(標準バッテリーパックを使い,JEITAバッテリ動作時間測定法ver.1.0で測った場合)
ディスプレイ 5.0型(1024×600画素)
メモリ・カード microSDメモリーカード
カメラ 有効画素数198万(オートフォーカス)
電池 7.4V,960mAh

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