macOS 26 TahoeでSynologyやQNAPのNASにネットワーク共有された非ASCII文字を含むボリュームにTime Machineバックアップができない不具合はUnicodeの正規化形式(NFD/NFC)問題が原因で、macOSのSMB共有でも発生するので注意してください。詳細は以下から。
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Appleが新たにリリースしたmacOS 26 Tahoeでは、SynologyやQNAPのNASでネットワーク共有された日本語などの非ASCII文字/多バイト文字を含むTime Machineバックアップボリュームへバックアップを行うと、途中でTime Machineボリュームが見つからなくなり「バックアップディスクが見つかりません。」という警告が表示されバックアップに失敗する不具合が報告されていますが、

macOS 26 Tahoeでネットワーク共有されたボリュームへTime Machineバックアップが出来ない不具合
この記事を書いたところ、Yoshidaさんという方がSynologyサポートチームに報告し、チケットまで発行してもらったそうで(Thank you @yoshida-san)、Synologyサポートチームの調査結果によると、macOS TahoeではUnicodeの正規化形式(NFD/NFC)問題が再び発生しているそうです。

In addition, we found that when Time Machine creates a sparsebundle, the volume name is stored in Unicode NFC form. However, starting from macOS 26, Time Machine looks for the volume using Unicode NFD form. As a result, it fails to locate the volume and the backup does not start. This behavior did not occur in previous macOS versions.
Time Machine backup issues on macOS 26 Tahoe – Synology Community
macOS 26 TahoeのUnicodeの正規化形式(NFD/NFC)問題
正規化形式(NFC/NFD)問題は、Finder上で人には同じに見える「バックアップ」というフォルダ名でも、濁点を含む「バ」はNFCでは「U+30D0 (バ)」、NFDでは「U+30CF(ㇵ) & U+3099(濁点)」に、半濁点を含む「プ」はNFCでは「U+30D7 (プ)」、NFDでは「U+30D5(フ) U+309A(半濁点)」というように、システムからは別々の名前に見えてしまうため、フォルダやファイルが参照できなくなる問題で、

バックアップのNFCとNFD
- NFC : Normalization Form Canonical Composition (合成した文字)
▶ U+30D0 U+30C3 U+30AF U+30A2 U+30C3 U+30D7 - NFD : Normalization Form Canonical Decomposition (結合文字列)
▶U+30CF U+3099 U+30C3 U+30AF U+30A2 U+30D5 U+309A
Synologyのサポートチームによると、今回の場合、Time Machineがバックアップ用ディスクイメージ(.sparsebundle)を作成する際、ボリューム名がNFC形式で保存されるのに対し、macOS 26 Tahoeではボリューム名をNFD形式で探すようになったことが原因で、その結果バックアップボリュームが見つけられず*、Time Machineバックアップが作成できなくなっているそうです。

macOSでのUnicodeの正規化形式(NFD/NFC)問題は、数年おきに発生しており、最近では2023年03月にリリースされた「macOS 13.3 Ventura」で濁音(が)や半濁音(ぱ)を含んだ日本語のファイル、アクセント記号(á)を含んだフランス/ドイツ語のファイルがダブルクリックしても開けなくなり、05月にリリースされた「macOS 13.4 Ventura」まで修正されませんでした。

NFC形式の濁音(が)が含まれているファイルが開けないmacOS 13.3.1 Ventura
macOSのSMBサーバーでも同じ
また、Synologyのサポートチームによると、この問題はSynologyやQNAP、UGREEN、TrueNASのNAS製品だけでなく、macOSのSMBサーバーを利用したTime Machineバックアップでも発生するそうなので、MacをTime Machineバックアップサーバーとして運用されている方は注意してください。

We’ve observed that this issue is not limited to Synology NAS. As you also found, it occurs on QNAP devices, and even when using macOS 26 with the built-in SMB server on a Mac, the same behavior can be reproduced.
Time Machine backup issues on macOS 26 Tahoe – Synology Community
なお、macOSのSMBサーバーをTime Machineバックアップ先に指定するにはシステム設定アプリの[一般] → [共有] → [ファイル共有]をONにして、右の(i)アイコン → [共有フォルダ]のコンテキストメニューから[詳細オプション]を表示し、「Time Machineバックアップ先として共有」オプションをONにする必要があります。

Time Machineバックアップ先として共有
追記
macOS 26 Tahoeの正規化形式(NFD/NFC)に関する不具合により、NASに接続されたTime Machineボリュームにバックアップが出来ない問題についてSynologyが対処法を公開しました。

現在、macOS 26以降の環境において、バックアップ先のフォルダ名にアルファベット以外の文字(日本語など)が含まれている場合、Unicodeの互換性に関する問題により、バックアップ先が正常に使用されないという現象が報告されております。[…]この問題は、Synology NASに限定されるものではなく、他社製のNAS製品やmacos 26に内蔵されているSMBサーバーの機能をバックアップ先として使用した場合にも同様に発生することが確認されております。[…]当面の間の一時的な対策としましては、バックアップ先フォルダ名およびボリューム名をアルファベットのみで構成していただきますようお願いいたします。
Synologyのサポートチケット作成画面より
- macOS Tahoe and QNAP backups – QNAP Community
- Time Machine backup issues on macOS 26 Tahoe – Synology Community


コメント
毎年アップデートとかしなくていいから、安定化させてほしい。Windowsよりひどい。
「バックアップのNFCとNFD」との項目において、文字「プ」のNFD形式を、赤字で U+30D6 U+309A と記載しておられますが、誤記ですね。正しくは、そのすぐ上の添付画像中で示されているごとく、U+30D5 U+309A かと。