「押下」は「おうか」と読み、IT業界などではボタンを押す意味などでよく使われるという。 この言葉の初出はいつごろなのだろうか、と調査を開始してまず突き当たるのが「読み」の問題である。 すなわち「押下」にはいくつかの読みがある。 送り仮名が「押下げる」「押下ろす」などであれば「おしさげる」「おしおろす」とわかりやすい。 しかし「押下して」ならば、「おしおろして」「おしくだして」「おうかして」のいずれの可能性もあるのだ。 たとえば明治6年の『医道日用綱目』の「押下す」、『童蒙窮理問答』の「押下らしむ」、『窮理日新 発明記事』の「押下し」など。 いずれも「押下」に「おしくだ」とフリガナが振ってある。 同じく明治6年の『訓蒙窮理図解』の「押下れ」は「おしさぐれ」か。 明治7年の『広益英倭字典』では「push down」を「押伏ル。押倒ス。押下(さげ)ル」と訳している。 明治10年の『理学教程講本』
