昨日に引き続き、Nick Roweの中央銀行に関する考察を紹介する。 10/31のエントリで彼は、中央銀行が資産を保有する理由について論じている。 彼は、その理由に関する誤った説明として、発行する紙幣の通貨価値を裏付けるため、という考えを槍玉に挙げている。その裏付け説の誤りとして、以下の3つを挙げている。 中央銀行の保有する資産は通常ほとんどが名目資産であり、負債である通貨と同じ単位である。ここで、物価が一夜にして倍になり、貨幣の実質価値が半分になったとしよう。中央銀行の保有する名目資産の実質価値も半分になる。つまり、通貨とその裏付けとなるとされる資産の等価性は、物価が倍増したとしても破られない。従って、裏付け理論から物価水準を導き出すことはできない。裏付け理論の主張するように、資産が通貨価値を裏付けることによって物価水準を維持できるのは、その資産が実物資産の場合のみである。しかしその場合