すでに報じられている通り、中国で新たな法律が制定されました。ただしその重要性は、メディアが言うような「武器使用」規定にとどまりません。歴史家は将来これを、中国と国際秩序の亀裂を決定づけた文書、と位置付けるのではないでしょうか。 重要な問題点だけ、いくつか記します。 ・中央軍事委員会の指揮下にある中国海警機構(海警局+各地方の海警組織)の、中国政府内における身分規定がない。(海上保安庁が対峙する相手が、「中国」なのか「中国共産党」なのかわからない。) ・海警機構の第一の職責として「海上境界(海上界線)」を守ることと規定したが、そもそも中国の「海上境界」はトンキン湾部分以外は全域で未画定(中国が主張する「管轄海域」の50%が係争海域)。未画定のものを武力を含めた措置で守ろうとすれば、隣国との衝突を招く。 なお、中国のいう「管轄海域」とは、自国が主張している領海+EEZ+大陸棚+「九段線」内のこ