「福島復興の責任を貫徹する」とうたってきた東京電力ホールディングス(HD)の経営がにっちもさっちも行かなくなっている。 収益改善の柱と期待してきた柏崎刈羽原発(通称・KK、新潟県)の再稼働の見通しが立たなくなり、2024年度内に予定した再建計画「総合特別事業計画(総特)」の全面改訂を先送りした。福島第一原発事故処理にかかる巨額負担や、KK再稼働準備のための1兆円を超える先行投資などがかさむ一方、日々の食い扶持である電力小売り事業では新電力への顧客シフトが続く。 キャッシュ流出に歯止めがかからない状況で、社内からは「このままでは資金繰りが行き詰まり、破綻してしまう」と、うめく声が漏れ聞こえる。 Photo by gettyimages 原賠機構に陣取る「大物官僚OB」福島事故の廃炉や賠償、除染にかかる費用は足元で23兆4000億円と見積もられている。必要な資金は国が交付国債を発行して立て替え