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Berkshire Hathawayのウォーレン・バフェット氏が株主総会で引退を表明した。ここでは普段はバフェット氏の発言はあまり取り上げていないのだが、最後ということと、重要な発言があったことから、今回は取り上げてみたい。 バフェット氏のグローバルマクロ戦略 バフェット氏は言わずと知れたバリュー投資の雄である。だが、バフェット氏の投資は、実際には単に割安な株を買って長期保有するだけではない。 特に、近年はマクロ情勢を考慮した投資も多かった。最近では三菱商事や三井物産など日本の五大商社に投資をしたことで有名だが、重要なのはこの投資が2020年8月であることである。 2020年の夏と言えば、コロナ初期である。現金給付は発表されていたが、経済はむしろまだ停滞しており、インフレについて話している人はほとんどいなかった。 だがこの時から動いていた人物が2人居た。Bridgewaterのレイ・ダリオ
今回の記事では、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者レイ・ダリオ氏の著書から、米国株の歴史的パフォーマンスについて解説している部分を紹介したい。 株式の長期下落相場 日経平均がバブル崩壊後20年以上回復しなかったことはよく知られている。 結局、この下落相場が止まったのは2013年のアベノミクスによる量的緩和以降ということになる。何が株価を動かしてるのか、非常に分かりやすいチャートである。 さて、ここの読者なら知っているだろうが、多くの個人投資家に恐らく知られていない事実がある。過去100年ほどで、米国株にも同じような時期が2度あったということである。 1929年世界恐慌 ダリオ氏の著書からその2度の下げ相場を紹介しよう。まずは『巨大債務危機を理解する』で解説されている1929年の世界恐慌と、そこから始まる米国株の長期下落相場である。 世界恐慌が1929年だったことは広く知ら
フォン・グライアーツ氏: ドルからの資金逃避で上昇したゴールドはもう二度と下落しない、シルバーはこれから暴騰する Von Greyerzのエゴン・フォン・グライアーツ氏が自社配信動画で金相場と銀相場の長期見通しについて語っている。 株安と金価格の高騰 株価が下落する中、金価格が高騰している。金価格のチャートは次のようになっている。 物凄い上がり方である。年始からもう20%以上上がっている。 金価格上昇の原因 金価格が上昇している理由は、ドルからの資金逃避である。 始まりはウクライナ戦争だった。アメリカがロシアに対してドル資産の凍結を行なったのみならず、対ロシア経済制裁に加わらない無関係の国に対してドルを使った経済制裁をちらつかせたため、ドルを持っていればアメリカの都合で資産凍結されると考えたBRICS諸国や中東諸国の中央銀行が、米国債を売ってゴールドを買い始めた。 その辺りの事情はジョニー
世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がBloombergによるインタビューと自身のブログでトランプ政権による関税と最近の金融市場の混乱について語っている。 関税と景気後退 株式市場が下落している。世間では株安の原因はトランプ政権の関税だと言われており、アメリカの関税が景気後退を引き起こすことが懸念されている。 アメリカの株価指数であるS&P 500は次のように推移している。 ダリオ氏は、関税の実体経済の影響について次のように述べている。 景気後退になる可能性はある。 景気後退とは、2四半期連続で経済成長がゼロを下回ることで、現状ではそうなる可能性は十分ある。 しかしダリオ氏は同時に次のように続ける。 だが2四半期ほど経済成長がゼロかややマイナスになることなど誰が気にするだろうか? わたしはそれよりももっと大きな要因について心配している。そちらの方がよほど深刻
引き続き、ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを長年運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏のCNBCによるインタビューである。 今回は米国経済と米国株について語っている部分を取り上げたい。 米国経済の見通し 前回の記事では、ドラッケンミラー氏の金利に対する見方を取り上げた。 ドラッケンミラー氏は去年のアメリカの利下げ開始の時から金利上昇を予想しており、それが的中した今も米国債の空売りを続けているという。 ドラッケンミラー氏、米国債の空売り成功、アメリカの財政危機を警告 米国債には悲観的な見方をしているドラッケンミラー氏だが、アメリカ経済についてはかなり強気である。 ドラッケンミラー氏は次のように述べている。 アメリカ経済は興味深い状況にある。失業率は4%と非常に低い。GDP成長率は3%だ。 わたしはこの業界に49年いるが、この政権交代は史上もっとも反ビジネス的な政権から
世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がCNBCのインタビューで、アメリカの債務危機について語っている。 金利上昇と債務危機 前回の記事では、Soros Fund Managementのドーン・フィッツパトリック氏がヨーロッパの債務危機を警告していた。彼女はイギリスやフランスが国債の大量発行で国債の買い手不足に陥ると予想している。 ソロスファンド: ヨーロッパは来年までに債務危機に陥る だが債務危機が近いのはヨーロッパだけではない。むしろアメリカの方が本命である。 アメリカではヨーロッパよりも金利が上がり、米国債には多額の利払いが発生しており、国債を更に発行しなければならないのに、インフレで中央銀行が国債買い入れ出来ない今、米国債の買い手はいるのかということである。 恐らく一般の人の多くは政府債務がGDPの100%を超えようが、それほど気にしていないだろう。だ
2025年4月の株価下落でブラックマンデーという言葉を出している人もいるが、そういう人々には1987年のブラックマンデーはまったくもってこんなものではなかったということは言っておかなければならない。 だが、1987年のブラックマンデーが何故起こったのかを知っている投資家の一部は、当時の状況と近い状況が2025年に再現されつつあるということに気づき始めているかもしれない。 普通ではない金利上昇 筆者が何を懸念しているかと言えば、金利である。株安の状況下で金利が上がり始めた。 アメリカの長期金利は次のように推移している。 前回の記事で述べた通り、これこそがトランプ政権が関税を延期した理由である。 トランプ政権が関税を延期した本当の理由は株価の下落ではない 株安になれば景気減速を織り込んで金利は普通下がるもので、リーマンショックの時にも金利が上がるなどということはなかった。この金利上昇をどう考え
トランプ政権は話題となっていた関税政策について、中国以外の国に対して90日の猶予期間与え、その間の関税を10%に引き下げることを発表した。 関税と株安については何度も報じているが、この関税の延期で状況がどう変わったかを説明してゆきたい。 トランプ政権の関税延期 関税が延期されたことについて、記者会見の場に立ったのはスコット・ベッセント財務長官である。 今回の関税延期をドナルド・トランプ大統領に進言したのもベッセント財務長官だと言われており、トランプ氏も世界的なヘッジファンドマネージャーであるベッセント氏の進言だから聞き入れたのだろう。 トランプ相場の株価暴落はベッセント財務長官を甘く見た投資家への罰 ベッセント財務長官は記者会見の場で次のように言っている。 1週間前、わたしはここですべての国に対し、反撃するな、そうすれば報われる、と言っておいた。 われわれのところに来て交渉したい国に対して
アメリカの財務長官でジョージ・ソロス氏のSoros Fund Managementを運用していたヘッジファンドマネージャーでもあるスコット・ベッセント氏が、タッカー・カールソン氏のインタビューで関税などトランプ政権の経済政策について語っている。 ベッセント財務長官と国債市場 株式市場が荒れている。世間ではそれはトランプ政権の関税が原因だと言われているが、株安の本当の理由はそうではないということを以下の記事で解説しておいた。 トランプ相場で株式市場が暴落している本当の理由 トランプ政権の本当の意図に最初に気づいたのは、かつてベッセント財務長官が運用を任されていたSoros Fund Managementを現在運用しているドーン・フィッツパトリック氏である。 フィッツパトリック氏は以下の記事で、世界有数のヘッジファンドマネージャーであるベッセント氏が、株価ではなく金利を気にしているということを
前回の記事に引き続き、2025年春の株式市場の大幅下落を特集する。 トランプ相場で株式市場が暴落している本当の理由 今回の記事では、ドナルド・トランプ大統領の金融市場に関するブレーンとなっているスコット・ベッセント財務長官に焦点を当てて今回の株安を解説したい。 ベッセント財務長官の観点 アメリカでは大幅な株安となっている。いつもの株価下落では政治家たちは何をすれば良いのか分かっていないというのが通例だが、今回はいつもの株安とは違うことが1つある。政権内に本物の金融のプロフェッショナルが存在していることである。 ここの読者にはお馴染みだが、ベッセント財務長官はジョージ・ソロス氏のSoros Fund Managementの運用を任されていたヘッジファンドマネージャーで、資産運用業界では世界的に著名な人物である。 今回の記事では、株価予想のプロフェッショナルであるベッセント財務長官の視点から株
米国株を中心に株価が大幅に下落している。世間ではトランプ政権の関税が原因だと言われているが、この下落相場の本当の原因は関税ではない。 この記事では2025年の株安の本当の理由を解説してゆく。 急落する米国株 米国株が下落している。株価はドナルド・トランプ氏が大統領選挙に勝利した去年11月から一時上昇していたが、その後2月の高値から一気に20%近く下落することになった。 アメリカの株価指数であるS&P 500のチャートは次のように推移している。 著名なヘッジファンドマネージャーでもトランプ相場で株安を予想する人はほとんどいなかった。 しかし財務長官でヘッジファンドマネージャーのスコット・ベッセント氏がかつて運用していたSoros Fund Managementの現CEOであるドーン・フィッツパトリック氏だけは、相場を知り尽くしたベッセント氏を擁するトランプ政権は株安を「許容」する、という興味
トランプ政権の関税によって株価が急落しているが、ドナルド・トランプ大統領が株価急落に対してコメントしているので紹介したい。 米国株下落 久々の株価急落である。コロナ後にバイデン政権が大量の資金をばらまいたため、米国株は何年もこれほどの下落を経験していなかった。 トランプ氏: 現金給付でインフレを引き起こしたのはバイデン氏だ S&P 500のチャートは次のようになっている。 トランプ大統領は当初、この株安についてほとんど反応を示さなかった。前回のトランプ政権では株価を重視したこととは対照的である。 ドーン・フィッツパトリック氏は、1ヶ月前の時点でそれを予想していた。彼女は次のように言っていた。 ソロスファンド: トランプ政権は株価下落を気にしない (2025/3/9) 投資家たちが過小評価しているのは、前回のトランプ政権ではトランプ氏は株価を気にしていると誰もが思っていたし、それは事実だった
引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のThe Insightful Investorによるインタビューである。 今回はアメリカの政府債務と年金などの問題について語っている部分を紹介したい。 アメリカの政府債務 今年に入って著名ファンドマネージャーらはこぞって政府債務と財政赤字の話をしている。コロナ後の金利上昇で、ついに莫大な政府債務に多額の利払いがついてしまったからである。 利払いがついていない時には、債務がどれだけ積み上がっても問題がないように見えた。だがついに金利が上がってしまった。ここからが地獄である。 レイ・ダリオ氏: 財政赤字継続なら米国債はショッキングな状況に ガンドラック氏: 米国の財政赤字がドル暴落と米国債デフォルトに進化するまで人々は懲りない アメリカの公式の政府債務はGDPの100%を超える。だがこの数字には、年金など政府が実際に支
引き続き、アメリカの財務長官で、Soros Fund Managementの運用をしたこともある世界的なヘッジファンドマネージャーでもあるスコット・ベッセント氏の、All-In Podcastによるインタビューである。 今回はベッセント氏がイーロン・マスク氏のDOGE(政府効率化省)による政府支出削減について語っている部分を紹介したい。 DOGEによる政府支出削減 前回の記事でベッセント氏は、DOGEによる政府の無駄削減を支持し、ワシントンのお金の流れについて次のように述べていた。 ベッセント財務長官: イエレン元財務長官は意図的な国債発行で金利を操作していた ここから10マイル以内のエリアからアメリカのGDPの25%が毎日支出される。ワシントンでは誰もがその一部をかすめ取ろうとしている。 政府支出とはそういうものだ。人々のためという名目で、別の誰かから許可なく取り上げられたお金がばら撒か
引き続き、All-In Podcastによるスコット・ベッセント財務長官のインタビューを紹介する。今回は財政赤字の削減について語っている部分だが、それを見て筆者が考えたことも共有しておきたい。 米国債の利払い ここの読者には、アメリカの財政赤字が大問題であることは周知の事実だろう。コロナ後の金利上昇によりアメリカの莫大な政府債務には巨額の利払いが発生しており、米国政府はその国債の利払いを新たな国債発行によって賄っている。 アメリカの利払い費用はコロナ後に急上昇している。 このまま借金の利払いを借金で返す状況を続けていると、債券市場に米国債が溢れ返り、買い手不足に陥った米国債は下落を避けられない。 レイ・ダリオ氏: 財政赤字継続なら米国債はショッキングな状況に この状況は優れたヘッジファンドマネージャーならば誰もが理解している。 財務長官ベッセント氏 さて、これまでならば、例えばリーマンショ
引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏の自社配信動画である。 今回は米国の株式市場の長期的な見通しについて述べた部分を紹介したい。 米国株の上昇と金利の低下 いまだに多くの人々が、米国株は永遠に上がると思っている。しかし1989年に日本でバブルが崩壊するまで、日本人は日本株が永遠に上がると思っていたし、中国人は数年前まで不動産は永遠に上がるものだと思っていた。 だが実際には永遠に上がる資産クラスなど存在しない。事実はと言えば、単に人々は長期上昇相場が終焉を迎えるまで、それが永遠に続くと信じ続けるというだけのことである。 米国株については何が言えるか。ガンドラック氏が以前指摘していたのは、米国株が長期的に上昇し続けるのは金利低下局面に限るという事実である。彼は次のように述べていた。 ガンドラック氏: 米国株が上がり続けた過去数十年の相場はもう帰ってこない
引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のトニー・ロビンズ氏によるインタビューである。 今回はアメリカの債務問題がどのように解決されるかについて語っている部分を紹介したい。 政府効率化省 アメリカの債務問題は、ここの読者には周知の事実である。コロナ後の金利上昇によって大量の米国債に多額の利払いが発生しているが、米国政府はそれを新たな借金によって賄っている。 レイ・ダリオ氏: インフレと通貨安のリスクを考えれば政府がデフォルトするかどうかは問題ではない トランプ政権は一応この問題を認識しており、財務長官に任命された元Soros Fund Managementのスコット・ベッセント氏は、財政赤字をGDPの3%まで下げることを目標としている。 ベッセント氏: 米国の債務問題にはアメリカの覇権がかかっている 実際に赤字を削減しようとしているのは、イーロン・マスク氏
引き続き、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏の新著『国家はどのようにして一文無しになるのか?』(仮訳)の紹介である。 今回はダリオ氏が先進国の金融政策の行方について語っている部分を紹介したい。 国家にも寿命がある ダリオ氏は前著『世界秩序の変化に対処するための原則』の時から国家の興亡についての歴史研究をやっている。前回の記事では、ダリオ氏は国家が成長し大国になってから徐々に負債を増やしてインフレで破綻してゆくまでの国家の一生について説明していた。 レイ・ダリオ氏: アメリカが破綻しそうかどうか調べる方法 ダリオ氏によれば、人間にも若者と年寄りがいるように、国家にも若者と年寄りがある。世界の大国は元々は実力で経済成長をしていたが、徐々に負債に頼るようになり、最終的には負債でも成長を保てなくなって衰退してゆく。 国家が繁栄から衰退の歴史的なサイクルの内、今どこ
世界最大のヘッジファンドBridgewaterのレイ・ダリオ氏が自身のブログで新著『国家はどのようにして一文無しになるのか?』(仮訳)の内容を紹介している。 国家の寿命 これはダリオ氏の前著『世界秩序の変化に対処するための原則』でもテーマになっていたことだが、国家には繁栄して衰退するまでのサイクルがある。 前著では、アメリカの前に覇権国家だった大英帝国やオランダ海上帝国などが成長して衰退するまでの段階を詳しく説明していた。 今回の著書でもダリオ氏は次のように言っている。 長期の債務サイクルの進行は、病気や寿命までの各段階の進行のようなもので、それぞれの段階に異なる兆候が見られる。 だから兆候を見ればサイクルが何処まで進行し、次にどうなりそうかが大体分かる。 人間と同じように国家にも寿命があるとダリオ氏は言っているのである。そして、歴史上すべての覇権国家が繁栄して衰退していったように、今の覇
DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が今年初めての動画配信でアメリカの金利と財政問題について語っている。 米国株下落の理由 年末年始から、株式市場がやや不安定になっている。米国株のチャートは次のようになっている。 ガンドラック氏によれば、その原因はFed(連邦準備制度)の利下げと金利の関係だという。 ガンドラック氏は次のように述べている。 Fedが最初の利下げを行う前までは、金融市場は2025年に1.5%の利下げを織り込んでいた。それが今では今年1回(訳注:0.25%)強の利下げしか織り込んでいない。 それはここ数週間株式市場がハッピーではない理由の1つだ。株式市場は大きな利下げを期待していたからだ。 Fedが9月に利下げを開始して以来、当初は大きな利下げを期待していた市場だが、その期待もしぼんでしまった。 しかも更に重要なのが長期金利、つまり10年物米国債の金
世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、自身のブログで新著『国家はどのようにして一文無しになるのか?』(仮訳)の内容を解説しているので、引き続き紹介してゆく。 衰退に近づく先進国 ダリオ氏のテーマは政府債務と、それに伴うインフレや通貨安である。それは前著『世界秩序の変化に対処するための原則』で、歴史上の国家が大国に成長してから債務増加とインフレで衰退してゆく様子を解説した頃から変わっていない。 だが新著は、そのタイトルから分かる通り、国家の興亡の段階のうち衰退のフェイズに焦点を当てていることが分かる。 何故衰退に焦点を当てているかと言えば、ダリオ氏はコロナ後のインフレでアメリカや日本などの先進国がその段階に近づいたと感じているからである。 レイ・ダリオ氏: 日本経済は最悪だ、米国の政府債務は5年以内に破綻する 政府債務は問題ないのか 問題の根源は政府による政
世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、自身のブログで新著『国家はどのようにして一文無しになるのか?』(仮訳)の内容を解説しているので、引き続き紹介してゆく。 ダリオ氏の新著 前回の記事で述べた通り、コロナ後のインフレを早々と予期し、インフレになる前に歴史上のインフレの研究を纏めた著書『世界秩序の変化に対処するための原則』を書いたダリオ氏が、新たな本を発表した。 レイ・ダリオ氏の新著: 基軸通貨を持つ世界一の大国でも政府債務増加で破綻する その名も『国家はどのようにして一文無しになるのか?』である。 これまで歴史上国家がどのように成長して大国になり、そこから債務の増加とインフレによって衰退していくのかを説明していたダリオ氏が、今度は衰退の段階にだけに焦点を当てた本を出そうとしている。 それは何故かと言えば、先進国経済がまさにその衰退の段階に近づいているからで
世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がLinkedInの自身のブログで新著を発表しているので内容を紹介したい。 ダリオ氏が新著発表 ダリオ氏と言えば、コロナ初期に先進国政府が現金給付を決めた時、多くの人々が現金給付の危険性を無視した中で、ダリオ氏は淡々とインフレ政策の研究を進め、歴史上の大国のほぼすべてが債務とインフレによって衰退していったという歴史的事実を著書『世界秩序の変化に対処するための原則』に纏めたことで有名である。 そしてその後世界はダリオ氏の予言通りインフレに見舞われたことは今や誰もが知っている。 そのダリオ氏が新著を発表している。その名も『国家はどのようにして一文無しになるのか?』(日本語版はまだなので筆者仮訳)である。 ダリオ氏は新著のテーマとして、以下の論題を挙げている。 政府債務の増加には限界はないのか? 政府債務の増加が止まらない場合、
引き続き、Von Greyerzのエゴン・フォン・グライアーツ氏の自社配信動画である。今回は紙幣の価値下落、つまりインフレと通貨安から資産を守るための手段としてゴールドだけでなくシルバーについて語っている部分を紹介したい。 紙幣の価値が下がってゆく これまでの記事では、フォン・グライアーツ氏は通貨の価値の長期的下落について語っていた。現代において各国の中央銀行が紙幣印刷を行い、コロナ後においてはそれを政府が現金給付という形でばら撒いて、それで世界的なインフレが発生した。 フォン・グライアーツ氏: 本当のインフレは政府統計よりも酷い、紙幣の価値は下がり続ける だがそれは今だけの話ではない。歴史上、あらゆる通貨は政府によって価値が下げられてきた。あらゆる国で金貨や銀貨は政府によって貴金属の含有量が恒常的に減らされてきたが、それは現代において中央銀行が紙幣を好きに印刷していることと同じ話である。
フォン・グライアーツ氏: 2025年のインフレは2年前よりも深刻な銀行危機を引き起こし、中央銀行は量的緩和を再開する 引き続き、Von Greyerzのエゴン・フォン・グライアーツ氏の自社配信動画である。今回はインフレは2025年以後も継続すると予想するフォン・グライアーツ氏が、その経済への影響について語っている部分を紹介する。 インフレとゴールド 前回の記事では、フォン・グライアーツ氏は政府発表のインフレ率の数字が本当に正しいのかということに疑問を呈していた。 フォン・グライアーツ氏: 本当のインフレは政府統計よりも酷い、紙幣の価値は下がり続ける フォン・グライアーツ氏によれば、インフレとはものの価値が上がることではなく、誰もが持っている紙幣の価値が下がることであり、Bridgewaterのレイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で検証したように、歴史上すべての通貨は政府に
Von Greyerzのエゴン・フォン・グライアーツ氏が自社の動画配信で年始から飛ばしている。コロナ後のインフレは十分に人々の生活を圧迫しているが、グライアーツ氏は政府が発表しているインフレ率の数字はそもそも正確ではなく、実際の状況はもっと酷いという。 政府債務とインフレ コロナ後のインフレの原因は、中央銀行が紙幣を印刷し、それを政府が現金給付という形でばら撒いたことである。 トランプ氏: 現金給付でインフレを引き起こしたのはバイデン氏だ 政府が借金を増やし、それを中央銀行が紙幣印刷でまかなっているという状況である。 フォン・グライアーツ氏は次のように述べている。 債務が爆発的に増加している。財政赤字はすべての国でどんどん増えてゆくだろう。だから債務も更に増える。そしてそれがインフレに繋がる。 そして人々は「ものの値段が上がっている」という。しかしそれは違う。フォン・グライアーツ氏は次のよ
前回の記事では中央銀行による紙幣印刷とビットコインなどの暗号通貨の関係について記事にした。 ミレイ大統領: ビットコインは中央銀行という詐欺行為に対する自然な反応 なので今回の記事では足元のビットコイン相場について少し所感を述べてみたい。 ビットコイン価格上昇の原因 ビットコインは上昇相場にある。短期的な理由としてはドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選挙で勝利したことが挙げられる。トランプ氏はビットコインを中央銀行の準備通貨とすることを議論している。つまりは世界最大の中央銀行がビットコインを買うということである。 また、トランプ氏はSEC(証券取引委員会)のトップに親ビットコインのポール・アトキンズ氏を選んだことから、トランプ氏の勝利によってビットコインに追い風が吹いているのである。 だがこの記事で筆者が言いたいのはそうした短期的な動きよりも、ビットコインの長期的な上昇相場が何によって動
政治家のインフレ政策によって引き起こされたアルゼンチンのハイパーインフレを押さえ込み、中央銀行の廃止を目標としているアルゼンチンの大統領であり、オーストリア学派の経済学者でもあるハビエル・ミレイ氏がビットコインについて語っているインタビューを見つけたので紹介したい。 中央銀行は詐欺 ミレイ氏は、政治家によって引き起こされたハイパーインフレの最中に選出された大統領で、インフレを引き起こしていた政府支出を大幅削減し、民間部門の負担を取り除いて自由に経済活動をさせることで、インフレの抑制と経済成長を両立した人物である。 ミレイ大統領、政府支出を削減してハイパーインフレを打倒した方法を語る ミレイ氏のインタビューだが、のっけから飛ばしている。ミレイ氏は次のように始めている。 まず理解すべきことは、中央銀行は詐欺だということだ。 ここではミレイ氏のインタビューを何度も紹介しているが、今見ても政治家の
引き続き、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイダリオ氏の著書『世界秩序の変化に対処するための原則』から、通貨は歴史上どのように価値が下がっていったのかについて説明している部分を紹介したい。 通貨の価値とニクソンショック すべての通貨は長期的に価値を減らされてゆく。それは通貨がゴールドやシルバーで出来ていた頃から変わらない事実である。硬貨に含まれていた貴金属の含有量は政府によって徐々に減らされ、通貨が紙幣となった今でも中央銀行は紙幣を印刷してその価値を薄め続けている。 レイ・ダリオ氏: すべての通貨は最終的に価値を落とされて死ぬという歴史的事実を認識すべき 近代では、その大きな転換点となった出来事こそが1971年のニクソンショックである。 通貨は、歴史的にはまず貴金属を含んだ硬貨となり、その後貴金属を銀行に預けた時の預かり証が紙幣として流通するようになった。 紙幣がゴー
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