前回の記事では、GDGoC TMU 2 期卒業生の Aoi Ohta さんをご紹介しました。今日は、GDGoC (旧GDSC)Osaka University 卒業生 &現役 GDG Tokyo オーガナイザーの Naoya Yoshimura さんにインタビューを行いました。
こんにちは、Naoya Yoshimura (X: @Getty708) です。2021 年 9 月から 1 年間、Google Developer Groups on Campus(旧GDSC)Osaka University の初代 Lead(代表)として、コミュニティの立ち上げと運営に携わりました。大学卒業後はソフトウェアエンジニアとして勤務しつつ、2024 年 12 月からは GDG Tokyo のオーガナイザーとしてもコミュニティ活動を続けています。
GDGoC Osaka を立ち上げたのは、大阪大学の博士後期課程 2 年で情報学を専攻していた時です。
私の活動の原点は、学部時代に遡ります。陸上部に所属し、練習に励む傍ら、部活動のレガシーなウェブサイト(ピュアな HTML と CSS)をリニューアルしたり、IT ツールを導入して事務作業を効率化したりといった経験をしました。これらの成功体験から、「せっかく IT を学んでいるのだから、IT を使って身の回りをちょっと良くしよう!」という思いが芽生えました。
当時、後輩たちが抱える悩みや課題を聞く中で、「少しプログラミングができれば、もっと楽になるのに」と感じる場面が多々ありました。そこで、私自身が感じた「テクノロジーで課題を解決する面白さ」を他の学生にも体験してもらい、共に成長したいという思いから、「身近な課題をテクノロジーで解決する」をコンセプトに GDGoC Osaka を設立しました。
GDGoC Osaka では、例えば Google Apps Script(GAS)を活用した学内業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進プロジェクトや、マーケティング戦略とソフトウェア開発を組み合わせた効果的な新入生勧誘ウェブサイト(通称:新歓サイト)の制作など、実践的な活動に取り組みました。これらの活動の詳細は、note にまとめていますので、ご興味をお持ちいただけましたら是非ご覧ください。
Google Developer Programs のコミュニティオーガナイザーが一堂に会する年末の Community Summit では、社会人コミュニティである GDG (Google Developer Group) のオーガナイザーの方々や、Google 公認エキスパートである GDE (Google Developer Expert) と直接交流する機会に恵まれ、多くの学びを得られました。特に、GDGoC での経験を活かし、その後のステップとして GDG Tokyo の運営をサポートしたり、GDGoC の枠を超えた中長期的なコミュニティ活動へと繋げることができたのは、大きな喜びでした。
活動が4年間続いていて、さらに発展していること自体が本当にすごいなと。今では Convention や合同新歓など、GDGoC Japan 全体のイベントが年々パワーアップされ、GDGoC 経由でインターンシップの機会に出会えた学生など、多くの人々を惹きつける魅力的なコミュニティへと成長してきたことを実感しています。
特に印象に残っているエピソードは、私たち(GDGoC 大阪大学)の活動を見て、「自分たちも GDGoC を立ち上げたい」と他の大学の方が声をかけてくださった時です。また、地道なことではありますが、初期に作成したドキュメントのフォーマットが、年月を経た今もなお活用されているのを目にすると、細やかながらも活動の基盤作りに貢献できたことを実感し、喜びを感じます。
GDGoC での多様な経験、例えばゼロからイベントを企画・運営したことや、様々なバックグラウンドを持つメンバーと協働した経験は、社会人となった今、大いに活かされています。特に、チームで共通の目標に向かって主体的に行動し、予期せぬ課題にも柔軟に対応する力は、日々の業務でプロジェクトを推進する際や、新しい企画を立案する場面などで役立っていると感じる瞬間が多々あります。
GDG Tokyo では、幅広いトピックでイベントを開催していますが、運営については GDGoC 時代のドキュメントなどを見返して、過去の自分たちから学びを得ています。また、イベントのトピックの勉強や情報収集にも、GDGoC の時に知った人脈が起点になっていることも多いです。GDGoC 時代の経験が、今になって生きてくるとは思いもしませんでした。 GDGoC Osaka のメンバーとそれを支えてくださった皆様に感謝いたします。
また、GDG Tokyo のイベントには、毎回非常に多くの方が参加してくださいます。イベントの主催者として、多くのトピックや最新情報に触れることで知識の幅が広がっていくことはとても楽しいです。また、運営は楽ではありませんが、参加者の方に感謝の言葉をいただくと、この活動の意義を感じます。一方で、GDGoC とはスケール感や影響力の大きさが全く違い、責任の重さを感じています。イベントのコンテンツや参加者の皆さんとのコミュニケーションなど、イベントでの体験をより良くする方法や、コミュニティメンバーの皆さんに GDG Tokyo をもっと好きになってもらう方法を日々考えています。
GDGoC のネットワークは幅広いです。GDGoC の皆さんは、このネットワークを活用して、Google Developper Expert (GDE) をはじめとする業界トップレベルのエンジニアの方や彼らの発信する情報に出会うとともに、一緒に学べる同年代の仲間を見つけてください。私のように、きっとかけがえのない時間と財産になると思います。また、GDGoC のオーガナイザーの皆さんは、ぜひ GDGoC だからこそ実現できるユニークな企画に積極的に挑戦してください。開発に真剣に取り組み、たとえ思い通りにいかなくても、多くの学びを見つけ、GDGoC らしいカルチャーを作って欲しいと思います。そして、 限られた時間である学生生活をやり切った後に、その経験を持って、ぜひ GDG にステップアップして来てください。一緒により大きなコミュニティを盛り上げましょう!
Naoya さん、どうもありがとうございました。
Posted by Reisa Matsuda - Developer Relations Team
前回の記事では、GDGoC Waseda 創立者の Rose Niousha さんをご紹介しました。今日は、GDGoC TMU 2 期卒業生の Aoi Ohta さんにインタビューを行いました。
こんにちは、Aoi Ohta(ハンドル名:marsh_mallow)です。2022 年 10 月 〜 2023 年 9 月までの 1 年間、GDSC TMU (Tokyo Metropolitan University・東京都立大学) の リード(代表)を務め、リード卒業時に「チャプター再構築部門があったら1位」という大変光栄な評価をいただくことができました。任期中の具体的な経験については、同期や後輩リードからの「具体的にどう再構築したのか知りたい」という声にお応えして、この記事にまとめています。
もともとは高専出身ですが、電気情報工学科で電気電子分野を中心に学んでいましたので、ソフトウェア開発にはほぼ全く触れることのない高専時代を過ごしていました。2021 年春に高専を卒業後は、やりたい研究があったので都立大の情報科学科に編入したのですが、やりたい研究がソフトウェア開発関係ではなかったので、相変わらずソフトウェア開発とはほとんど無縁でした。ですが、高専・大学でロボコン(NHK高専ロボコン/学生ロボコン)のチームに所属し、マイコンを用いたロボットの制御や電子回路系の担当として計 5 年ほど活動していました。ですので、ソフトウェア開発の経験は無いものの、コードを書くことや他の人と一緒になにかモノをつくることに関する経験はそれなりにある、というような状態でリードに就任しました。
GDSC TMU 初代リードから、リードになることを勧められたのがすべての始まりでした。ただ、勧められただけのままでは絶対にやっていけないと思ったので、GDSC のシステムを使って都立大を活性化させてみることをモチベーションにしようと考えて、構想を始めました。そうして最終的に考えたのが、「IT 系モノづくり民の居場所」x「分野を問わず技術系どうしの交流、協力による課題解決を可能にする」というコンセプトです。
当時私は学部 4 年生で、研究も卒論も、修士課程進学後に控えている就活もあったため、時間を無駄にすることはできませんでしたし、できる限り成功させたいと思っていました。なので、論理的に考えて成功確率が高い方法をとれるように、熟考に熟考を重ねたうえでコミュニティのコンセプトを設計しました。
「IT 系モノづくり民の居場所」としたのは、GDSC のデフォルトターゲットとなっている「ソフトウェア開発」に関するサークルが、都立大には存在しないことがわかっていたからです。都立大には情報科学科があるため、このターゲットを掲げるサークルに対するニーズが存在するのは間違いないと考えました。また、「分野を問わず技術系、モノづくり民どうしの交流、協力による課題解決が可能になる場所」としたのは、多分野をカバーする都立大のものづくり環境に可能性を感じていたからです。都立大システムデザイン学部には、分野は異なるものの、ものづくりに興味を持つ学生が多く在籍しています。私がもといたロボコン部をはじめ、技術系の部活も多数存在します。ただ、学科間の交流の機会が少ないので、皆寂しがっていました。なので、そのようなキャンパスに、どの技術分野でも関係のあるITという技術を中心とするGDSCを置けば、GDSC がハブとして機能し、多分野の学生の交流やそれぞれの思う課題の解決が可能になると考えました。コンセプトが固まった時、「この2点をおさえれば、都立大の中に埋まっているであろうニーズに応えつつ、このキャンパスのポテンシャルを最大限に引き出すための土壌をつくれる」そんな希望を胸に秘めていたのを覚えています。
そのようにして決定したターゲットを軸として、主に公式 X(旧 Twitter)でメンバーを募りました。その結果、設定したターゲット通り、情報科学科で個人開発をしている人が入ってきてくれました。また、情報科学科以外のシステムデザイン学部の他学科や、文系学部を含めた他学部からも、ソフトウェア開発や IT について学びたいという人が集まってきてくれ、交流する様子がみられました。
人数が少ないうちは、入ってきてくれた人の興味をヒアリングして、それに合うイベントや開発プロジェクト、学習コンテンツなどをコアメンバーに協力してもらいながら整備する、ということを繰り返していきました。それによって、ゆっくりとですが半自動的に、たいていのメンバーのニーズを満たすことが可能かつコミュニティとして持続可能な環境が整っていきました。
リード卒業直後から現在まで、別の学術系コミュニティの運営に参加しているのですが、SNS での広報やコミュニティ内での働きかけなどで、GDSC での運営経験が大いに役立っていると感じています。社会人も多く在籍するコミュニティであることから、GDSC の時とはまた違った困難がありますが、コミュニティの現状をとらえ、展開させたい方向を定めてアクションを起こす流れは、GDSC で経験したことをうまく応用できています。
また、リードを卒業後、ほどなくして就職活動に取り組みましたが、就職活動では、自分の強みをアピールするのに GDSC での経験をよく面接官にお話ししました。GDSC でコミュニティを構築した経験は、 “ 周囲の人の助けを借りながら、目標に向かってものごとを推進する能力 ” の証明になります。
なによりも、マイナスの状態から 2 年 3 年と続いていくコミュニティを形成することができたという事実そのものが、先ほどあげた活動や、これからの仕事のための自信の源のひとつになってくれていると感じています。あれができたんだから、これからの人生や仕事で何が起きても、周囲の人とよくコミュニケーションをとって、今や今後に必要なことを認識してそれに応えられるように努力すれば、なんとか乗り越えていけるだろう、これからも挑戦しよう、と思えています。
焦らず自分のペースで、自分の選択を信じて進んでほしい、と伝えたいです。
あのときの私は、一応動きそうな計画は立てたものの本当にそのとおりに動くのか、同期のリードたちの誰とも被らないバックグラウンドを持っている私だけど大丈夫か、そもそも本当に自分が引き受けてよかったのか、と、たくさんのことが不安でした。ですが、元から仲の良かった友人たちや先生に状況を話すことで、少しずつ協力を得ることができるようになり、その不安がだんだんとどこかに消えていきました。また、GDSC に参加したことにより、それまで見たことがなかった世界の存在を意識するようになりました。自分の技術的な経験を伝える機会や交流する機会が増えたことにより、他の人と話せる話題が増え、新たな運営系の活動を展開していくこともできるようになりました。
イレギュラーな要素の大きい選択をすることには孤独感と不安がつきものなので、全く希望が見えないならやるべきではないですし、決して無理をしすぎるべきではないですが、「実現したい」と思えるビジョンが見えたならそのまま一歩踏み出してみてもよい、と今は思えます。震えながらも一歩を踏み出す選択をした 3 年前の自分をねぎらいたいですし、感謝したいです。
Aoi さん、どうもありがとうございました。
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