ゲームにおける「レベルデザイン」とは何か？

ゲームの開発者インタビューなどには、よくレベルデザインという言葉が出てきます。ゲームの面白さを左右する重要な要素のひとつであるレベルデザインについて、インディーゲーム開発者のロバート・ヤン氏が創設した非営利プロジェクトのLevel Design Bookに分かりやすい解説が記されています。

What is level design | The Level Design Book
https://book.leveldesignbook.com/introduction

レベルデザインにおけるレベルとは、しばしばマップとも呼ばれるゲーム上の空間のことで、フォートナイトの「島」やRobloxの「障害物コース(Obby)」などがその例です。また、バスケットボールのコートや陸上競技のトラックといったスポーツの競技場や、モノポリーボード、クロスワードパズル、塗り絵なども広い意味でのレベルにあたるとのこと。

以下は、ゲーム「Halo」シリーズのマルチプレイヤーマップであるBlood Gulchとバスケットボールのコートを重ね合わせたものです。

そして、レベルデザインはゲームの空間を計画し、構築する手法です。レベルデザインには狭義のものと広義のものがあり、前者はビジュアル面を考慮しない純粋に構造的な作業を、後者は環境アートなど含めてレベル内に存在するあらゆるものを作成する作業を指します。

具体的な役割分担はゲーム開発スタジオによりますが、レベルデザイナーはプレイヤーの行動を形作ることを念頭に置いた仕事で、大規模なスタジオではドキュメントの作成、レイアウトの草稿作成、ブロックアウト(レベルの原型となる基本構造)の作成、プレイテストの観察、マップやエンカウンターのバランス調整などを受け持つことが多いとのこと。

これに対し、環境アーティストはグラフィックに焦点を当て、アートパスモデル、マテリアル、セットドレッシング、ライティングを駆使してレベルのビジュアルを洗練させるのが主な役割です。これはただ見栄えをよくするだけではなく、優れた環境アートはゲーム体験のデザイン目標をサポートし、プレイヤーのプレイイングを支援することができます。

レベルデザインのスケールはゲームによって異なり、1つの部屋の設計に数日から数週間を費やすこともありますが、広大なオープンワールド、バトルロイヤル、MMOゲームでそうするのは現実的ではありません。そのようなゲームの舞台を構築するワールドデザイナーは、家ではなく地域、場所ではなくバイオーム、インスタンスではなくカテゴリといった単位で流れや導線を考えます。

例えば、以下はフォートナイトの「プレザントパーク」というマップです。ここでは、家々の部屋のレイアウトよりも、街の全体的な配置の方が重要になります。

習うより慣れろということで、Level Design Bookはレベルデザイナーになることを目指すクリエイターに向けて、「質問サイトでマップ制作者に質問すると、『マップを作れ』とぶっきらぼうな答えが返ってくるのがお決まりになっています。この率直な物言いが失礼に聞こえることもありますが、そこには『そのうちわかるようになるから、先延ばしはやめて、さあやってみよう。もう準備はできているはず』というメッセージが隠されているかもしれません。なにせ、レベルデザイナーになるには、レベルを作るしかありません。理想的には、たくさんのレベルを作ることです」と述べました。

なお、The Level Design Bookにはレベルデザインの基本的な解説の他に、具体的な実例を交えたレベルデザインの方法論や、レベルデザインに有用なツールの詳細などが網羅的に解説されています。

The Level Design Book
https://book.leveldesignbook.com/