どもども。テキストを中心とした配信サイトであるnoteが、今まで実装していた”定番”というソート機能を廃止したので、その理由について個人的に考えたことを書いていきます。note公式がある程度発信をしているので、その深堀となります。
1.”定番”とは
そもそも、この”定番”とはなんなのか。
note内の記事を検索したときに、”人気”、”急上昇”、”新着”、”定番”というソート(並び替え)ができるようになっていました。
ソート基準は不正防止のために詳しい基準は明かされていませんが、ざっくりと
”人気”は、最近見られている順番に、
”急上昇”は、急に見られるようになった順番に、
(”人気”と”急上昇”は、投稿直後の記事ほど上位にくるように感じます。)
”新着”は、投稿日時が新しい順番に、
”定番”は、長期間に渡って見られている順番に、
こんな感じの形式で検索結果をソートすることができました。
しかし、この中の、長期間に渡って見られている順番である”定番”が廃止されました(noteアプリではまだありますが)。
2.なぜ廃止されたのか
なぜ、この”定番”が廃止されたのか、理由を考えてみたいと思います。
この”定番”の廃止に関して、note公式からの声明はありません。
しかし、note公式は、もともとランキングを置かないようなサービスの思想をもって運営されていると明言されています。
その思想の理由としては、
①クリック数などでランキング化されると一部の記事に人気が収斂されて(集まって)しまう
②ランキングを上げるために過激な見出しや悪口なようなものになってしまう
③誰もが創作をはじめ、続けられるようにする
などのことが関係していると書かれています。
①に関しては、YoutubeやSNSなどを見ていると、私自身も強く感じます。
基本的に、自分がおもしろいと思うものより、皆がおもしろいと思うものがおもしろい、と感じる人が多いと思います。
0か100かの極端な話ではありませんが、YoutubeやSNSを見る理由は、コンテンツの内容よりも、そのコンテンツでコミュニケーションを取って、なんらかのコミュニティに属している実感を得ることが、実質的な目的になっている人が多いと感じます。
そして、そのコミュニティが大きれければ大きいほど、コミュニティに属している実感というものを感じやすいです(自分が知っていたり好きなものが話題になればなるほど疎外感というものは和らぐと思います)。
ですので、皆が見ているものを共有するために、よりランキング上位のものに集まってくる習性が人にはあると思います(乱暴ですが、社会性と言い換えることができるかもしれません)。
習性というと、何かネガティブなもののように聞こえるかもしれませんが、人にとってコミュニティに属していないというのはとても危険なことです。
今は技術が発展しその限りではないとは言え、基本的に、能力が高い人でも、10人20人に囲まれてボコボコにされると太刀打ちできません。絶対的に群れた方が得です。
そういった群れる人たちが生き残り子孫を残してきたことを考えると、本能的に群れること、群れていないと不安に思うことは、人全般にインストールされているのだと思います。
ですから、ランキング形式というものは、広大なコンテンツが広がっているのにも関わらず、一部のコンテンツに人気が収斂させて(集まって)しまいます。(まあ何の基準もなく、自分でチェックしていくのが面倒というのもありますが)
そして、発信する側は、そのランキングの上位にくるために、過激な見出しやサムネイルなどで釣る行為をやり始め、目にする内容がひどいものばかりになってしまいます。(②の状況ですね。サムネイルと記事名に関しては、私もよく悩みます)
しかし、ここまでの話だと、”定番”だけが廃止された理由になっていません。
他の”人気”、”急上昇”もランキング形式であるため、”新着”以外の全てを廃止しないと筋は通りません。
なぜ、”人気”と”急上昇”を残しているのでしょうか。
3.”人気”と”急上昇”が残っている理由
”人気”と”急上昇”が残っている訳、それは、③の”誰もが創作をはじめ、続けられるようにする”のが理由だと考えられます。
先ほど紹介した記事の中で、”インターネットのお陰で、誰でもコンテンを創作できるようになったが、創作を続けるのが難しい”と言っています。
そして、その原因は、”手応えや誰かに認められる機会がないこと”だと言っています。
これは事実で、実際、私も現在noteを書いていますが、反響の少なった当初は精神的にちょっとツラい時期がありました。そして、そういう時期を乗り切れたのは、読んでくれた人の何気ない感想でした。
ですから、”投稿直後の一定期間”は、ある程度ランキングにバイアスを掛けることで反響を増やし、投稿者のモチベーションを維持させる狙いで、”人気”や”急上昇”を残しているのだと思います。(”急上昇”はある程度皆が見られるように、”人気”は”急上昇”で更に見られている人が優遇されるような設計なのかもしれません)
実際、私の記事においても、Googleなどの外部サイトから(たぶん)よく見られている過去記事よりも、新しい記事の方が”人気”でソートしたときに上位にきます。
4.コンテンツのクオリティ上昇にも貢献
また、このことは、noteに存在するコンテンツのクオリティを上げることにも役立つと考えられます。
創作を続けていくうちに、コンテンツのクオリティが上がっていくのはほぼ確実だと思います。まあ、少なくとも下がることはあまりないと思います。いろいろな投稿サイトで、光るものがあっておもしろいと思う人がいても、表面的なクオリティが伴っていないと、全く伸びずに投稿が途切れることが多く残念に思うことが多いです。
また、過去記事を読んでもらおうと思うと、新しい記事を書いて読者を引き込む必要もあり(読んでもらって他の記事も読んでみたいと思わせる必要がある)、継続してコンテンツ提供をする人が有利になるので、そういう観点からもnote運営側にもメリットがあると考えられます。
また、noteは少し特別な事情もあるように感じます。というのも、記事を書く人は、割と他人の記事を読む傾向があるように(勝手に)思っています。動画と違って記事はチェックする労力がかなり低いので、私も他人の記事はよく読みます。
ですので、動画サイトと違って、投稿者を優遇することが、読者を増やすことにもなるのではないかと思います。
5.おわり
”定番”の廃止は、個人的には良い改良だと思います。”定番”で上位に挙がってくる記事が良い記事かと言われると、私はそうでもないと思っていましたし。
まあ、noteの運営がこれで成り立つのなら、という条件付きではあります。正直、その辺りの話は全く分からないのでなんとも言えません。