マスク氏のDOGE、米政府で「グロック」利用拡大 利益相反の恐れも

米実業家イーロン・マスク氏が率いる政府効率化省(DOGE)のチームが、情報分析のために対話型AI(人工知能)「グロック」の利用を拡大している。写真は21日、ホワイトハウス執務室で撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)
[23日 ロイター] - 米実業家イーロン・マスク氏が率いる政府効率化省(DOGE)のチームが、情報分析のために対話型AI(人工知能)「グロック」の利用を拡大している。関係者3人が明らかにした。利益相反を規制する法律に違反しかねない上、慎重な取り扱いを要する米国民の情報がリスクにさらされる可能性がある。
グロックは、マスク氏が2023年に立ち上げた企業xAIによって開発された。関係者のうち2人は、国土安全保障省でグロックが未承認だったにもかかわらず、DOGEのチームが複数の同省当局者に利用を指示したと語った。
技術や政府倫理の専門家5人は、政府情報の機密性が高い場合、このような取り扱いはセキュリティーや個人情報の関連法に違反する恐れがあると指摘。連邦政府でグロックを利用することで、他のAIサービス事業者に対して競争上不当に優位な地位を得る可能性もあると説明した。
関係者2人によると、連邦政府職員のグロック利用が正式に認められた場合、マスク氏の企業に利用料を支払わなければならない。
ブッシュ(子)元大統領の倫理顧問を務めたミネソタ大のリチャード・ペインター教授は、マスク氏がグロック利用決定に直接関与した場合、利益相反規定に違反する可能性があるとの見解を示した。一方、DOGEのスタッフがマスク氏の関与なしにグロックの利用を進めた場合、倫理的には問題があるものの、利益相反には当たらないと述べた。
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