コスメプロセスプランナーが紹介する化粧品のつくり方

化粧品(コスメ)を作りたい!!を応援するための情報発信をします

お菓子とコスメって、一緒に売ってもいいの?

〜包装と衛生の視点でちょっと気をつけたい話〜

こんにちは、らむねです。

 

先日、とある化粧品企画の相談で、こんな質問をいただきました。

 

「お菓子と一緒にコスメをセットにして販売しても大丈夫ですか?」

 

こういうギフトセットのアイデア、実はとてもよく見かけます。

 

ちょっとしたプレゼントやイベント商品などにもぴったりで、お菓子と小さな化粧品を組み合わせた企画はとても魅力的です。

 

 

でも、食品と化粧品という“カテゴリが違うもの”をセットにして販売するとなると、実は気をつけなければならないポイントがいくつかあります。

 

 

今回は、薬機法・食品衛生法の観点包装設計(パッケージ)のポイントを中心に、食品と化粧品を一緒に販売するときに注意したい点を、わかりやすくまとめてみました。

 

 


 

1. 食品と化粧品、一緒に売っても大丈夫? 

 

まず最初にお伝えしたいのは…

 

✅ 食品と化粧品をセットで販売すること自体は、法律で禁止されているわけではありません。

 

ただし、その前提として、

 

 

という、それぞれ異なる法律のルールにきちんと従っている必要があります。

 

 

つまり、両方の商品が個別に適切に製造・包装・表示されていれば、一緒に箱に詰めて販売することは基本的に問題ありません。

 

 

とはいえ、「ルールを守っているつもり」でも、ちょっとした見落としや包装設計の甘さが、思わぬトラブルや行政指導につながることもあります。

 


 

2. 食品衛生法の視点から見た注意点

 

食品衛生法には、化粧品と一緒に売ってはいけないという規定はありません。

 

しかし、「衛生上の配慮」と「消費者に誤解を与えない表示」の2点が大事です。

 

 

✅ においや成分の移行リスクがないか

  • 香りの強い化粧品(リップやバスソルトなど)が、食品と直接隣接していると、におい移りや成分の付着が問題視されることがあります。

 

  • 個包装が不十分な場合は、「衛生面で不適切」として指導される可能性があります。

 

✅ 表示が混乱していないか

 

  • 食品の成分や賞味期限、化粧品の全成分や製造販売元など、それぞれの表示義務項目が確認できること。

 

  • 外装が化粧品と食品をまとめて包んでいて、中身が見えない・表示が読めない状態であれば、改善指導の対象となります。

 

つまり、「セットで売ること自体はOK」でも、その売り方に工夫と配慮が求められるということです。

 


 

3. 香りって、実際に移るの?

 

移ります!!

しかも、意外と簡単に

たとえば、よくあるトラブルとしては

 

  • 柔軟剤の隣に置いていたカップ麺に、柔軟剤の香りがうつっていた

 

  • 化粧品とお菓子を一緒に詰めたら、飴にリップの香料がついていた

 

これは「香気移行(こうきいこう)」と呼ばれる現象で、香料などの揮発性成分が包装資材を通り抜けて他の製品に移動してしまうことを指します。

 

見た目にはしっかり密封されているように見えても、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などの軟包材では、香料を完全に遮断できないこともあります。

 

このため、香りに敏感な食品(チョコやクッキーなど)では、香気移行による風味劣化のリスクが高まります。

 


 

4. 食品と化粧品、包装の構造と注意点

 

🍬 キャンディ・グミ(ピロー包装)

  • 包装構成例:OPP//CPP
  • 特徴:透明で軽くヒートシール性に優れるが、香りバリア性は弱め

 

🍫 チョコレート

  • 包装構成例:PET//蒸着PET//PE
  • 特徴:酸化や香りの移りを防ぐ高バリア設計

 

🍜 袋麺・スープ

  • 包装構成例:ナイロン//PE など
  • 特徴:湿気や酸素にある程度強いが、香気はやや通しやすい

 

🍛 レトルト食品

  • 包装構成例:PET//アルミ箔//ナイロン//PP
  • 特徴:完全密封に近い構造で、あらゆる影響を防ぐ

 

さらに、化粧品の容器構造もポイントになります。

  • チューブやボトル、スティック型などは、使用性や保存性を考慮して設計されています。

 

  • キャップなどで一応密閉されていますが、「容易に取り出せる構造」であるため、完全な密閉性とは異なる点に注意が必要です。

 

特に香料を含む製品では、容器の構造や材質によって香気移行が起こる可能性があるため、個包装や仕切りなどの工夫が必要です。

 


 

5. 安心してセット販売するためのポイント

チェック項目 内容
✅ 個包装 食品・化粧品ともに未開封の状態であること
✅ におい対策 香り移行が起きないよう、仕切り・別袋などで工夫する
✅ 表示確認 食品と化粧品それぞれに法定表示があり、外から確認できる状態

 

まとめ:見た目の可愛さ+安心の設計を

 

お菓子とコスメのセット販売は、プレゼントや季節限定商品としても人気があります。

 

一方で、香気移行や表示の不備などがあると、食品としての信頼性が下がる可能性があります。

 

 

見た目のかわいさや企画性だけでなく、包装の機能や衛生面での配慮も、商品価値のひとつといえます。

 

これからセット販売を企画する方にとって、今回の内容がヒントになれば嬉しいです。


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化粧品OEM視点で考える「容器選定」のポイント ~化粧水容器の選び方を実例で解説~

こんにちは、「ラムネ」です。

化粧品業界に身を投じてから、だらだらと15年以上たちました。

OEMの裏側を知ってるからこそ伝えられる情報を、現場のリアルな目線でブログに書いています。

 

今回のテーマは「容器」。

 

化粧品の容器を選ぶときって結構大変なんです。

そんな容器選びについて今回は紹介します。

 

 


化粧品容器の基本的な4つの役割

化粧品の直接容器(中身と直接触れる容器のこと)には大まかに下記のような役割があります。

 

  • 保管性:中身を光や空気、異物から守り、劣化や乾燥から防ぐ役割
  • 可搬性:中身を使用者や販売者などが持ち運べるようにする役割
  • 使用性:適量を快適に取り出す(吐出口、開閉方式など)役割
  • デザイン性:ブランドや商品の世界観を視覚的に表現したり、法定表記を表示する役割

化粧品の容器は、単なる”入れ物”と言うだけでなく、製品の機能性と価値を高めるためには重要な要素の一つなのです。

 

 

今回は化粧水用の容器を選択する場面を例に考えてみましょう。

 


容器選定で最初に考えるべきこと

最も基本的でありながら重要なポイントが、「中身との相性」です。

 

たとえば、化粧水の場合には以下のような点を考慮します。

  • 配合成分(例:香料やアルコール)が容器を劣化させないか

  • 内容物が揮発しやすくないか

  • 酸素や光に敏感でないか

これらを事前に想定し、加速試験や密封性試験などで事前検証を行うことで、リスクを最小限に抑えることができます

 


香気成分と容器の相性

特定の成分を多く含む処方では、容器の材質や形状によっては香りが透過したり容器が凹んだりすることがあります。

オレンジ油やペパーミント油などは容器のヘッドスペースの空気中の酸素を自身の中に溶かし込んでしまうという特性がありますが、これが原因で容器の凹みが発生したりする場合があります。

 

対策としては以下のようなものがあります。

  • 厚めの樹脂ボトルにする

  • 凹みがわかりにくい形状のボトルを使う
  • 香料に強い材質(PETよりHDPEなど)を使う

  • ガラスボトルに変更する

 

凹みが分かりにくい形状のボトルというのは、予めくびれがある容器や、四角形のボトルなどが該当します。

 

 


印刷方式と形状によるコストの違い

 

つづいては、容器の形状が印刷方式に与える影響も重要です。

デザインが素敵だからと言って印刷やラベル貼り等の工程の事を考えずに形状を選択すると、後で後悔してしまうことも良くあります。

 

化粧水を入れるボトル容器の形状は簡単に分類すると次のようなものがあります。

化粧品容器には商品名を印字したり、デザインを施したり、法定表記を印刷またはラベルで貼付けしたりします。この工程の時に容器の形状がとても重要です。

 

シルクスクリーン印刷の特性

化粧品でよく用いられるのが「回転シルクスクリーン印刷」です。
これは円筒状の容器を回転させて一気に印刷する方式で、コスト効率が高く、見栄えも良いのが特徴です。

一方、角型やオーバル型のボトルでは、裏表で別の工程となり、印刷コストが2倍近くになるケースもあります。

詳しい仕組みはこちらで紹介されています:
👉 回転シルクスクリーン印刷とは?|販促品ドットコム

 

● ラベル貼りでもコスト差が出る

ラベル貼りをする場合も同じく、容器を回転させながらラベルを貼り付ける機械を使用します。

容器が角形だと、接着店が一定の場所に定まらないの回転している容器に貼るのが難しいことは容易に分かるかと思います。

そのため、手で貼る作業が必要になりコストが上がります。

 

 


吐出口の大きさと中身の粘性

吐出口の設計も非常に重要です。とくに中身が高粘度の場合は、中身がなかなか出てこないこともありますので、以下のような工夫が必要になります。

  • 吐出口を大きめに設計する

  • スクイズ性のある柔らかいボトルを採用する

  • ミストポンプやドロッパポンプをを使うことで利便性を向上

また、ヒンジキャップ(ワンタッチキャップ)は、使いやすさとコストの両面で評価されており、片手操作やキャップの紛失リスク低減にもつながります。

 

 


売り場・販路によって変わる最適解

販路によっても、最適な容器は異なります。

  • 実店舗向け:棚に並べやすく、スペース効率が良い形状(高さ・幅)

  • 信販売向け:ポスト投函や軽量化に対応できる薄型容器

  • 高級品向け:ガラスや金属素材で高級感を演出

実際には、棚の高さ制限や横幅制限、物流コストなどを総合的に見て、容器を選定していく必要があります。

 

まとめ:容器選定は戦略そのもの

容器選定は、ただの“入れ物”選びではありません。

・中身との相性
・ユーザー体験
・印刷方式とコスト
・流通や棚割り
・ブランド表現とトレンド

これらすべてを複合的に考えて、「その商品のための最適な容器」を導き出す必要があります。

 


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頭皮臭・足臭もOKに!?化粧品コピーの裏技をご紹介!

 

ラムネです!

今日は、デオドラント制汗剤について、ちょっと違った視点からお話ししてみようと思います。
市販の「汗を防ぐ」「においを抑える」アイテムって、夏の必需品ですよね。
でも、実はあれ……化粧品ではありません

正確には、「医薬部外品」の中でも腋臭防止剤(えきしゅうぼうしざい)というカテゴリーに分類される製品です。


医薬部外品」ってなに?化粧品とどう違うの?

化粧品にちょっと似てる「薬用〇〇」という言葉、よく見かけますよね。
あれも「医薬部外品」の一種ですが、重要なのは、効能効果として表現できる範囲が違うということ。

たとえば薬用化粧品なら、「肌荒れを防ぐ」「ニキビを防ぐ」などの表現と合わせて、化粧品としての使用感や美しさを訴求することも可能です。
ですが、腋臭防止剤のような「医薬部外品」では、国が認めた効能効果以外は謳えません。

つまり、「腋臭防止剤」はワキのにおい対策としてしか販売できないんです。


「足のにおいが気になる人向け」って書いちゃダメ?

そうなんです。
「足のにおい対策に!」って書いたらNG。
「頭皮のにおいに効く!」もNG。

たとえ同じ成分を使っていたとしても、それが認められていない効能であれば、書くことはできません。
「え?足も臭いけど…」という声が聞こえてきそうですが、このあたりの効能表現のルールは、かなり厳格なんです。


でも実証すればいいんでしょ?→コストの壁

「じゃあ足のにおいへの有効性を実証すればいいんじゃない?」
その通りです。
実際に試験を行って効果があると証明できれば、そういう表現も可能になります。

でも……この実証試験が、めちゃくちゃお金がかかるんです。
被験者を集めて、においのスコアを測って、使用前後で統計的有意差があるかを証明して……と、
中小企業にはなかなか難しいハードルなんです。

そのため、化粧品業界では、「過去に承認された範囲で商品をつくろう」という、いわゆる前例主義が主流になっています。


制限があるからこそ、アイデアが光る

でも!ここからが今日一番お伝えしたいポイントです。

たとえ効能表現が制限されていても、化粧品ならではの「香り」に注目することで、面白い商品展開ができるんです。

たとえば──
「気になる加齢臭対策に」
※香料によるマスキング効果

という表現は、化粧品なら合法的に使えるんです!


「香料によるマスキング効果」を使った面白表現

こんなふうに、香りのチカラを活かせば、ワキ以外のにおい対策も、ちょっとユニークに表現できます。

  • 「寝起きの頭皮臭対策に!」頭皮ローション
    → 養毛料などに香料を配合し、朝のリフレッシュに
  • 「帰宅後の足のニオイにさよなら!」フットミスト
    精油の香りで爽やかにリセット!
  • 「首まわりのムレが気になる季節に」首用リフレッシュローション
    → 汗ばんだ場所をふき取って、ふんわり香る癒し系

こうした工夫で、効能は謳えなくても“体験”を売ることができるんです。


まとめ:制約のなかにこそ、自由がある!

今日お話しした「医薬部外品と化粧品の違い」、そして「香りで演出するマスキング表現」。
ルールの中でどこまでクリエイティブになれるか?
これは商品企画の腕の見せ所です。

「臭いが気になるから対策したい」というニーズに対して、どう表現し、どんな体験を届けるのか。
これからの商品開発のヒントになれば嬉しいです!


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スキンケアは“Spotify”になる? 〜AI×IoTが変える化粧品の未来予想図〜

こんにちは、ラムネです。

 

最近、AIとかIoTとか、未来っぽい言葉がいろんなところで聞かれるようになってきましたよね。

コスメの世界でも、その波が着実に押し寄せてきているのを感じます。

 

そこで今回は、そんな「AI×IoT×スキンケア」の可能性について、
僕が最近妄想していたことを、連想のままにつづってみたいと思います。

 

ちょっと話があっちこっち飛ぶかもしれませんが、
僕と一緒に未来のスキンケアの姿を想像してもらえたらうれしいです。

 


 

◆ スキンケアが“毎日変わる”時代?

 

最近では、肌の状態をスマホで測って、
その日の気温や湿度、ストレスや睡眠の影響まで考慮して、
その瞬間にベストな美容液を自動調合してくれるIoT機器も出てきました。

 

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)っていうのは、
家電や機械がネットとつながって、いろんなことを自動で判断・制御してくれる仕組みです。

 

資生堂の「Optune(オプチューン)」や、ロレアルの「Perso(ペルソ)」なんかがその代表例ですね。

※Optuneは現在サービスは終了しているようです。

 

 


 

◆ でも、どれも似てくるんじゃない?

 

最初は「すごいなあ」と思って見ていたんですが、あるときふと気づきました。

 

「これって、どのブランドもやることやアプローチが、似てくるんじゃないか?」

 

というのも、肌の水分量や油分バランス、気温・湿度などの環境要素をもとに、
AIが「今日のあなたにはこれ」と処方を組む――というロジックは、
技術が進めば進むほど、差がつきにくくなっていくんじゃないかと思ったんです。

 


 

◆ そうなったら、どこで差をつけるの?

 

そこで僕の頭の中に浮かんできたのが、スマホ

 

スマホが世に出たころは、「画質がいい」「CPUが速い」といったスペック勝負だった気がします。

 

ですが今は、iPhoneでもAndroidでも、 「まぁどれ選んでも不満はない」 っていう状態だと思います。

 

じゃあみんな、何で選んでるのか?

使いやすさとか、世界観とか、ブランドへの共感だと思います。

 


 

◆ スキンケアIoTも、スマホと同じ未来をたどる?

 

これと同じことが、スキンケアIoTでも起こるんじゃないか?と思ってます。

性能が横並びになってくると、最終的に重要なのは

「中に何を入れるか(=処方)」

「誰が設計したか(=思想や世界観)」

などになるのではないかと思ってます。

 

つまり、IoT機器自体は“プレイヤー”に過ぎなくて、中に入れる処方こそが“コンテンツ”になるわけです。

 

 


 

◆ そして辿り着いたひとつの妄想:「Spotify化」

 

ここで僕の妄想が飛躍しました(笑)

 

「スキンケアって、Spotifyみたいになるんじゃないか?」

 

Spotifyは音楽のサブスクで、
気分や時間帯、天気に合わせていろんなプレイリストを選びますよ。

 

スキンケアでも――

  • 今日の肌状態や生活リズムを見て、
  • 「夜はしっかりバリア強化処方を」「朝はツヤ重視の軽め処方を」
  • 好きな美容家のメソッドや医師監修のプログラムを“選んで再生”する

 

そんなスキンケアの“プレイリスト化”が、実現する可能性もあるよねぇって・・・。

 


 

◆ 「処方」が“商品”になる時代

 

そうなると・・・未来では、ブランドや専門家が


「肌の状態に応じてこう切り替えると効果的ですよ」

 

という施術アルゴリズムを作って、
それをユーザーがサブスクで選んだり、ダウンロード購入したりするようになるかもしれません。

 

処方は知識財産(=ソフトウェア)として売られ、
IoT機器はそれを“再生”するだけの存在に。

 

つまり、ハードじゃなくて、ソフトに価値がある世界。

 


 

◆ でも、ちょっと立ち止まって考えてみた

 

ここでひとつ、大事な現実に目を向けておきたいと思います。

 

僕らの業界ではおなじみですが、薬機法(やっきほう)という法律があります。
これは、化粧品の安全性や広告表現、製造販売ルールを定めた法律です。

 

現行の薬機法では、
「異なる製造販売業者の化粧品を混ぜ合わせてはいけない(簡略化していってますが・・・)」というルールがあります。

 

つまり、Spotify的に「いろんなブランドのカートリッジをミックスして自分だけの処方に♪」というのは、現行の制度ではNGなんです。

 

 


 

◆ それでも、できることはある

 

とはいえ、希望がないわけじゃありません。

  • 1社内で多様な処方を展開して選べるようにする
  • 特定ブランドが他社のIoT機器と提携して処方ライセンスを提供する
  • 混ぜないけど“連続して切り替えて使う”プログラムを提供する

法律を守りながらSpotifyっぽさを取り入れる方法は十分にあると思っていますし、技術進化に合わせて法規制が変わってくることもあり得ると思っています。

 


 

◆ そして、もうひとつの連想:「AIが共感される存在になる?」

 

さらにさらに連想が進んで――
今は人間が処方を設計して、それをIoT機器が再生するという構図ですが、

 

「もしかして将来、AIそのものが“信頼される存在”になるんじゃ?」

 

たとえば――

  • 「このAI、本当に私のことわかってる」
  • 「この子に肌を任せてると安心する」

そういう“AIとの信頼関係”が、コスメのブランド価値になる――
そんな未来も、遠くはないのかもしれません。

 


 

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どうぞよろしくお願いします。

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OEM営業が見た「なぜ企業は新商品を出すのか?」4つの背景

 

こんにちわ。ラムネです。

よく「新しい商品を作りたい」という相談が年間を通じて多く寄せられます。
しかし、依頼の裏には必ず「理由」があります。
今回は、OEMとして実際に携わった事例をもとに、企業がなぜ新商品を必要とするのかを掘り下げてご紹介します。


 

 

1. OEM視点で見た「新商品が必要とされる理由」

 

◆ ケース1:定番商品の売上低下 → テコ入れとしてのリニューアル

  • 背景: 売上の鈍化や、レビュー・クレームによるブランド鮮度の低下。
  • 依頼内容: 処方の刷新、香りやパッケージ変更、機能追加など。
  • OEM対応: 「成分コンセプトは同じままで使用感をアップ」「原価は抑えつつ見た目を変える」などの提案。
  • 学び: 既存商品の延命ではなく、再活性のための“攻めのリニューアル”が必要なタイミングがある。

 

◆ ケース2:販路の変化に対応した新ライン開発

  • 背景: EC展開に加え、百貨店・バラエティショップ・ドラッグストアなど販路が拡大。
  • 依頼内容: ターゲット層に合わせた価格帯や香り・容器の変更。
  • OEM対応: 同じ処方ベースで複数バリエーションを用意し、販路別に対応。
  • 学び: 同じ商品でも“売る場所”が変われば、見せ方・価格・設計が変わる。

 

◆ ケース3:社会的背景への対応(マスク、SDGs、敏感肌など)

  • 背景: 社会の変化(マスク生活、エシカル志向、ナチュラル志向)により新たなニーズが発生。
  • 依頼内容: 敏感肌対応/クリーンビューティ/アレルゲンフリーなど。
  • OEM対応: 原材料のトレンド動向を踏まえた提案や、敏感肌パネルでの使用評価など。
  • 学び: 「世の中の空気感」を読むことが、次の商品づくりに直結する。

 

◆ ケース4:原材料の認知向上を目的とした商品開発

  • 背景: 特定のオリジナル原料(例:ハーブ抽出物、精油など)の認知を高めたいという素材メーカーの狙い。
  • 依頼内容: その原料を配合した製品をOEMで開発し、展示会やPR活動の“実演サンプル”とする。
  • OEM対応: 使用感の良さを引き出す処方設計や、物語性のあるパッケージ提案。
  • 学び: 商品は「売るため」だけでなく、「伝えるため」にも作られることがある。

 

 


2. どの案件にも共通する“本質的な動機”

表向きの理由は違っても、すべての案件に共通していたのは
「現状を変えたい」「未来に進みたい」という企業の意思。


商品開発は、“モノづくり”であると同時に、“企業の挑戦”でもあります。
だからこそOEMの役割は、単なる製造ではなく企画パートナーであることが求められます。

 

 


3. おわりに

新商品を企画するとき、企業には必ず「理由」があります。
売上回復のため、ブランド再構築のため、新たな市場への挑戦のため――。


だからこそ、OEMとしてその背景辿り着きたい未来を正しく理解することは、単なる製造以上の価値を提供するうえで欠かせません。

 

 

私自身、かつてこんな失敗をしたことがあります。


お客様から非常に完成度の高い開発依頼をいただき、「そのまま作ればいい」と安易に考えてしまったのです。


ところが、実際に提案した内容は、すでにラインナップに存在していたり、過去に廃盤になったものだったり、他社が展開していた類似品だったりと、狙いからズレたものになってしまいました。

 

この経験を通じて痛感したのは、企画が具体的であればあるほど、背景を読み取る力が試されるということ。


「なぜその商品を今つくるのか?」

 

に向き合う姿勢が、OEMパートナーとしての信頼を左右すると実感しています。

 

企業が新商品を生み出す瞬間には、必ずストーリーがあります。
それを共に紡いでいけるOEMでありたい――。
そんな思いで、これからも商品開発に向き合っていきたいと思います。


 

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社会貢献とコスメ開発は両立できるのか? ―ある原料商社の企画メモから考える―

 

こんにちは、(ラムネ)です。

コスメの開発をしていると、ふとこんな疑問が浮かびます。

 

「自分たちの仕事は、社会のためになっているんだろうか?」

 

この疑問に答えるヒントをくれたのは、とある展示会で出会った企業の方でした。

 


海外の村と、私たちの原料開発がつながる?

その企業は、海外の農村地域で育てられた植物素材を仕入れ、
日本国内で販売することで、現地の雇用や収入を支援しています。

まさに、社会課題の解決をビジネスで実現する「ソーシャルビジネス」

 

「なるほど、こういう形で“つくること”が社会貢献になるのか…!」

 

そう思ったと同時に、こんな疑問もわいてきました。

 


「社会にイイ商品」は、消費者に選ばれるのか?

 

いくら“社会にいいこと”をしていても、
「社会貢献しているから買ってください」というのでは、通用しない現実があると、僕は思っています。

 

僕はこれまで数多くの製品開発に関わってきました。

最近では「エシカル」や「SDGs」といった言葉もよく聞きますが、
消費者にとって本当に大事なのは、こういうことだと思っています。

  • 肌に合うかどうか
  • 機能性があるか
  • 使い続けたくなるかどうか
  • 納得できる価格かどうか

 

つまり、「社会貢献してるから」じゃなくて「欲しいから」選ばれるものをつくることがまずは前提だと思っています。

 

 


「一票」の感覚と、ものづくり

ここで少し視点を変えてみます。

僕自身が思っていることなのですが、多くの消費者は「商品と社会とのつながり」を実感できていないのではないでしょうか?

 

それは、まるで選挙の投票のような感覚に似ていると思います。

 

「たかが自分ひとりの一票で、社会の何かが変わるだろうか?」

 

正直なところ、一つひとつの選択が社会に影響していることはとても実感しにくいとおもっています。

でも、僕は思うんです。

 

もし、商品一つひとつが「この一票」のように、社会とリンクしていることを感じられたら――
それは、すごく希望のある未来なんじゃないか。

 

 

一人ひとりが商品を通して社会とのつながりが実感できる商品を作ることができたら、自分の行動が・自分の存在が意味があるものと思えてくるのではないでしょうか。

 

僕たちの「つくる」という行為が、そんな橋渡しのきっかけになれたら嬉しいです。

 


プロセスが価値になる時代に

この考え方は、IT評論家・尾原和啓さんの著書
『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』にヒントをいただきました。

 

尾原さんはこう語っています:

「今の時代、商品やサービスの機能はすでに飽和していて、性能の差だけで選ばれることは少なくなっている。
そのため、何を作ったか(=アウトプット)よりも、どう作ったか(=プロセス)にこそ価値が移ってきている」

(尾原和啓『プロセスエコノミー』幻冬舎

 

まさに今、原料の背景や製造の物語そのものが“商品力”に変わる時代なのだと思います。

 


原料は、社会を動かす“点火剤”

先も書きましたが僕は原料と取り扱うお仕事をしていますので、直接スポットライトが当たるような立場ではないかもしれません。


でも、化粧品の「はじまり」を選ぶことができる。

そして、未来を照らす原料を“選び、届ける”役目を担えます。

一つの原料が、ひとつの製品を変え、
その製品が、ひとつの選択を変え、
その選択が、少しずつ社会を動かしていく。

 

僕はそんな「小さな点火剤」のような存在にもなれりのだなぁ。と・・・


 

まとめ:社会性は、商品力と共にあってこそ

社会にいいことをする。それはとても尊いことです。

欲を言えば、使う人が喜び、納得して、

「自分も社会の一部なんだ」と感じられればなお良いと思います。

 

社会貢献と、商品としての魅力。

このふたつを、どちらかではなく両立していく。

それが、これからの「ものづくり」で追及すべき点なのではないでしょうか。

 


◆ 最後にちょっとだけお知らせ

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「これ、作ってみたい!」
「もっと話を聞いてみたい!」

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僕はふだん、

  • 化粧品の原材料・容器・包装材料の取り扱い
  • 製品企画や薬事相談などのご対応

も行っています。

化粧品メーカーの皆さま、ぜひお友だちになってください。


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どうぞよろしくお願いします。

未来のパーソナライズドコスメ

パーソナライズドコスメの未来

~『アルファピュール BC12』で叶える、わたしだけのトリートメント~


先日、CITE JAPAN 2025という化粧品の展示会に行ってきました。

ひさしぶりに現場で原料を見て、話を聞いて、テンションが上がる1日でした。

その中で、「これからのコスメの形を変えるかも…!」と感じた原料がありました。


◆ アルファピュール BC12って?

名前はアルファピュール BC12

三洋化成工業さんが開発した、粉末タイプのカチオン界面活性剤です。

水と混ぜるだけで、その場でトリートメントになる粉。

……これ、すごくないですか?


◆ 加熱も冷却もいらない

この原料は加熱も冷却も不要です。

つまり、今まで当たり前だった製造工程の

「温めて → 混ぜて → 冷やして → ゲル化して…」

という流れを、すっ飛ばせます。

製造にかかるエネルギーや設備コストが、ぐっと減らせます。

地球にもやさしい。現場にもやさしい。

これぞ、サステナブル素材。

展示会ブースでは、スタッフの方がその場で水と混ぜてトリートメントを作ってくれました。

本当に一瞬で、トロ~っとしたαゲルが完成。

「……まじで混ぜただけ?」って驚きました。


◆ 僕(ラムネ)が感動した理由

この原料、便利なだけじゃありません。

新しいコスメ体験——つまりパーソナライズドコスメの可能性が広がるんです。

  • 旅行・出張用
    粉だけ持っていけば、現地の水でOK。軽い・コンパクト・便利!
  • 美容室や店舗での即席トリートメント
    お客さまの髪質に合わせて、調合してその場で提供。
  • 香りや美容成分を選べる体験型アイテム
    “自分だけのトリートメント”が簡単に作れる!
  • 使用時だけ水を加えるスタイル
    輸送効率アップ、廃棄削減。まさにエコロジー

素材そのものが、新しいユーザー体験を生む。

そんな可能性を感じました。


◆ プレスリリースはこちら

三洋化成工業『アルファピュール BC12』リリースページ


◆ 最後にちょっとだけお知らせ

このブログでは、コスメに関する最新情報や原料トレンド、検定や商品開発に役立つヒントなどを発信しています。

この記事を読んで、

「これ、作ってみたい!」
「もっと話を聞いてみたい!」

そう感じた方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

僕はふだん、

  • 化粧品の原材料・容器・包装材料の取り扱い
  • 製品企画や薬事相談などのご対応

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これからも、“楽しい学び”を大切に更新していきます。

どうぞよろしくお願いします。