こんにちは!マネーフォワード SMB開発本部 QA部の鈴木(@rin2_)です。 少し時間が経ってしまいましたが、2025年2月19日に開催したQAイベント「QA Night〜海外拠点と共に成長する組織の取り組み〜」の様子をレポートします!当日は多くの方にご参加いただき、本当にありがとうございました!
- イベント概要
「CQOが語る、これからのシフトレフトのテストとその人材戦略」
QA Nightは、弊社マネーフォワードCQOである高橋寿一氏によるセッションから始まりました。
マネーフォワードでは、海外組織との連携を重視し、AIを活用したテスト自動化(単体・API)を推進しています。限られたリソースの中で、実行コストの高いシステムテストは避けたい傾向にあります。そうしたことからコード網羅率を重視した方針で活動しています。
この方針に基づき、QA/SDET人材にはコミュニケーションと技術スキルが求められているといった内容で講演が行われました。会場の皆さんが熱心に耳を傾け、関心の高さがうかがえるスタートとなりました。
「論文で紐解く生成AIとユニットテストの行く先」
2番目のセッションは、ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズの山田泉樹氏により行われました。
ソフトウェアテストにおける生成AIの活用に関する最新の研究動向が紹介されました。
102本の関連論文を分析した結果、テストケース作成やバグ修正での利用が多い一方、テスト計画や設計といった初期段階での活用は少ないことが示されました。また、ユニットテストの自動生成方式として、テンプレート、探索、機械/深層学習、そして生成AI(LLM)が比較検討されていたことが説明されました。
特にLLMを活用したユニットテスト自動生成に関する研究が複数紹介され、それぞれの特徴や課題が説明されました。例えば、Java向けのChatUniTestは構文解析に基づき高品質なテストケース生成を目指していますが、実用面では課題が残ることが説明されました。
また、ChatGPTを活用した研究では、生成されたテストの正確性や実行可能性に課題があるものの、実行可能なテストの品質は人間が書いたものと同等であると評価されていることが示されました。エージェント技術を用いたPython向けのユニットテスト自動生成システムも紹介されました。
Meta社では、既存のテストを改善するためにLLMを活用したTestGen-LLMを活用し、一定の成果を上げていることが示されました。JetBrains ResearchのTestSparkは、IDE上でLLMとSBST(Search-Based Software Testing)を切り替え可能なユニットテスト生成プラグインとして、開発者の使いやすさを追求しています。
まとめとして、ソフトウェアテスト領域への生成AIの進出は加速しており、QAエンジニアの働き方は変化するものの、管理・判断といった新たなスキルが求められると述べられていました。
マネーフォワードとソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ、宮崎大学との共同研究も紹介され、実用レベルのユニットテスト自動生成を目指した取り組みが報告されました。最新の研究動向に、参加者の皆さんも熱心に耳を傾けていました。
「巨大グローバル企業の開発現場から見たモダンQAの役割とスキル」
3番目のセッションは、Amazon.com Services LLC 植月啓次氏によるセッションでした。今回はなんとアメリカから、深夜にも関わらずオンラインでご登壇くださいました!貴重なお話を本当にありがとうございました!
巨大グローバル企業の開発現場におけるモダンQAの役割とスキルについて解説していただきました。QAエンジニアには、ビジネスドメイン知識、ソフトウェア開発方法論、QA方法論に加え、論理的思考、コミュニケーション、リーダーシップ、コンピュータサイエンス、ソフトウェアエンジニアリングといった幅広いスキルが求められることが説明されました。近年、製品ライフサイクルの短縮化に伴い、継続的な改善と迅速なリリースが重要視される中で、QA活動もより効率的かつ効果的である必要があります。グローバルな開発現場のリアルなお話に、皆さん引き込まれている様子でした。
資料では、QAに関連するシステムの例として、品質パイプラインの構築・運用、ベータテスト設計・運用、リリース後の品質メトリクス監視システムなどが挙げれました。また、QAエンジニアの採用面接では、テスト設計、テスト自動化設計、ライブコーディングといった実践的なスキルが評価されることが示唆されました。
結論として、現代のQAエンジニアには、ソフトウェアエンジニアとしての基礎力を高めることが重要であり、製品ライフサイクルにフィットしたQA、QAのシステム化(自動化)、そして開発方法論への深い理解が求められている、というお話で本セッションは締めくくられました。
「Driving Quality, Innovation, and Growth」
最後は、弊社マネーフォワードのQAマネジャーのHenry Cao氏 による、マネーフォワード ベトナム拠点での品質保証活動についてのセッションでした。
ベトナム拠点のQA部門は、品質、イノベーション、成長を推進することを目標に、高度なQA技術の活用、品質プロセスの強化、キャリア成長の促進に注力しています。
具体的な取り組みとして、品質指標、テスト実行状況、開発状況などを可視化するGrafana品質ダッシュボードの構築、APIを活用したデータ収集とバックエンドサーバーでの処理、データベースへ格納し、そこから得られる開発に関する知見を活用して、意思決定の改善を推進しています。
また、テストピラミッドに基づいたShift-left Testingを実践し、早期に欠陥を検出し、製品品質の向上を図っています。ユニットテストとAPIテストを重視し、必要不可欠なE2E/UIテストも維持することで、最適なテスト範囲と効率性を確保しています。
こうしたことで、主要なリポジトリ全体で75%から80%以上のコードカバレッジを達成することを目標としており、現状のカバレッジ分布も示されました。
Shift-left TestingとQAプロセスの標準化導入後、社内で検出されるバグは大幅に増加し、外部から報告されたバグは大きく減少しました。過去数ヶ月間の重要なインシデントはわずか数件であり、品質向上への取り組みの成果が示されました。
さらに、テスト管理、単体テスト、コード品質、APIテスト自動化、E2Eテスト自動化、非機能テスト、TestOpsといったQA技術、Playwrightなどのツールも活用しています。AI技術も活用しており、テスト自動化の効率化や品質向上に役立てています。
マネーフォワード ベトナム拠点の具体的な取り組みや成果に、多くの刺激を受けた方も多かったのではないでしょうか。
所感
平日の夕方開催にも関わらず、会場には約50名もの方々にお集まりいただき、QAへの関心の高さを改めて感じました!ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!
セッション終了後の懇親会では、登壇者も交えて軽食を片手に話の花が咲き、部署や会社の垣根を越えて交流を深める貴重な時間となりました🍕🍻
今回のイベントが、皆様の今後のQA活動のヒントや、新たな気づきに繋がっていれば、これほど嬉しいことはありません。
マネーフォワードでは、今後もQAに関する情報発信やイベントを企画していきますので、ぜひご注目ください!各種イベント、ブログなどでも情報を発信していきますので、チェックしていただけると嬉しいです。
また、マネーフォワードではエンジニアやQA、SDETなどのポジションで積極的に採用を行っています。
もし興味を持たれた方がいらしゃいましたら、採用ページをご覧ください。
イベント会場でお会いできる日を楽しみにしています!👋