空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

過去のブログや記事を消さないといけないと思った理由

 長年やっていた仕事が終了し、もうひとつ多忙の原因であった実家解体&建替の流れも一段落ついたのもあり、今かなり時間的に余裕のある状態です(シナリオをはじめとした書き物その他のお仕事随時募集しています)。
 休養できて落ち着いてきたのもあり、今のうちに長年放置状態だったブログなどを整理することにしました。そしていくつかあるブログを閉鎖。さらに一部は他に移転し、ほかは消してしまおうと考えております。
 昔のものとはいえ、書いたものを消してしまうのは惜しい気持ちはありますが、管理できないところはそうしないといろいろ不都合なことが生じてしまうと判断した為です。

消すブログ予定のブログ&記事

 自分は現在、はてなにこのブログひとつ、ライブドアブログにひとつ、さらにWordpressに記事を30以上書いているものを4つ持っております。ブログを書きたい衝動が非常に強く且つ時間もあった2000年代後半に思うがままに作っていたせいですが(さらに移転したから消したもの、十数個のエントリーで止めて消してしまったものはもっとありますが)。しかし残存しているブログについても、多忙でもう年単位で更新していない状態でした。
 そこでまずWordpressブログでもう2018年より更新が途絶えているマンガ感想や考察ブログ「空気を読まずにマンガを読む」を閉じてしまおうと考えております。開設は2009年1月、エントリー数は100程度。ただ更新は2018年で止まっており、今後更新するかというとその予定もありません。マンガの感想を書くとしても、このブログで書けばいいわけですし(実際にどうしても書きたいものがあるのですが、ずっと手つかずなのでそのうち)。
 あと同時に、このブログ含め今後も動かす予定のブログでも記事を順次見直してゆき、ある程度のものを消してゆこうと考えております。
 バズるまでいかないもののけっこう読まれたものもありますが、それでも残しておくのはデメリットが大きいと判断した理由を挙げてゆきます。


コストの問題

 まず「コストの問題」。
 サイトを維持する場合、サーバ代とドメインの維持費。個人の場合でも使わないものに毎月飛んで行くのは痛いものです。ちなみにこのブログに関しては、数年前から収益はほぼゼロに近いです。とはいっても実は消そうと思っているブログ、年に3,4千円かかる.comドメインの維持費はともかく、クラウドの従量課金ではなく、VPSサーバで他のWordpressブログとサーバを共用しているため、これひとつ消してもサーバ維持費の削減にはなりません(他のブログが軽くなるという利点はありますが)。
 しかし正直コストの問題は、今回の場合理由としてはかなり低いものになります。それに、サーバ代がかかっていないはてなブログやライブドアブログのほうもブログ自体は残しますが、記事単位で消してゆく対象にしているので。

 

最大要因であるセキュリティの問題

 一番大きな理由は、セキュリティの問題。
 現在ノネットでWordpressブログを放置することはかなりのセキュリティリスクになるのは有名です。そのため更新停止の期間中もアップデートと監視自体はしていました。しかし正直使わないものに対してそれをするのはめんどくさく、その作業を減らしたいというのもありました。あと、現行のサーバの構成自体が相当前のものなので、整理したら根本的に構築し直したいと思っています。
 しかし、古いものを残しておくことによるセキュリティリスクは、何もWordpressだけの問題だけに限らず、記事内部にもあります。


経年による危険リンクへの変化

 ブログでは多くの場合、文中などから外部にリンクを張ります。しかし時間が経っている場合、リンク先の文章、もしくはそのサイト自体が消滅しているようなケースは非常に多いです。消そうとしているブログだけではなく、このはてなブログも2006年からの記事が残っているためリンク切れが生じています。とりわけニュース記事はすぐ記事が消されてしまうため、リンクを踏んでも記事がないことがあります。また「ゲームミュージックなブログ」のほうの初期は、ゲーム情報関連にリンクしているのですが、このあたりにあった個人のゲーム関連のサイトやブログのうち、ジオシティーズやinfoseek系ではサービス自体が終了してしまっているので、かなりのリンク切れがあることが予想されます。
 しかしただリンク切れなら不格好ではあるものの(今はあまりSEOにも影響しないようなので)まだいいのですが、そのリンク先のドメインが失効で取られてしまい、妙な広告のサイト、もしくはフィッシングサイトや詐欺サイトなどにリンクしてしまっているケースがあることが問題です。これは今まで落選もしくは引退した政治家サイトのドメインが失効によりアダルトサイトに取られ、政党のサイトにそれが残っていたためにアダルトサイトにリンクしてしまったようなことがありましたね。また私もWikipediaのあまり更新されていない項目の参考リンク先が、フィッシングサイトに変わっていたようなケースを見たことがあります(さすがに見逃せないのでその時修正しておきましたが)。
 必要なページであればそれらをチェック、修正して残しておきますが、全部は手間がかかりすぎるので、残しておく意義が少ないと判断したものはページ毎消してまうということにしてしまいます。


情報の変化による誤認防止

 さらに記事の面でのリスクも存在します。それは「昔に書かれたものは、今と情報が変化している」という可能性があります。書いた当時正確であったことでも、状況が変わり、今見ると間違いになってしまうケースがあります。
 例えば、当時はそれが正しいとされていたものが、今までの間に間違いであることが指摘され、そちらが正しいとされた場合、その文章は間違いを記しているということになります。とりわけ何かの刑事裁判について、地方裁判決もしくは高裁判決で有罪と出たものについてその時点で書いたら、最高裁で逆転無罪となるケースとなった場合、その記事は無罪の人を有罪と扱っていた記事となります。
 もちろんそれは今の情報を示すものではなく昔に書かれたもので、読み手もそう認識すればいいのですが、テキスト記事、いや動画などを含めても「インターネットではそれがいつ書かれたものなのかの認識が抜けやすい」という欠点があります。もちろん更新した日付は書いてあるものは多いですが、読み手が意図しないとそれは見逃してしまうことも多いです。実際SNSでは過去の情報がさも最近のソースのように伝聞され、結果として誤報として広まってしまうようなことはよく起こっています(このあたりについては、そのうち改めてしかり書こうと思います)。
 つまり、管理や修正が出来ないままそれを残しておくと、本人としては悪気は一切なくとも誤報のソースとして広まってしまう可能性があるため、追記をできないなら消した方がよいのでは、となるのです。

 

古いものを保存するのに向いてない現状のインターネット

 このように、もう管理修正出来ないものに関しては残しておくほうがデメリットが大きいと判断したのが、思いきって消そうと考えている理由です。 

 近年、昔から存在したあらゆるWeb サービスが終了しております。例えばニュースサイトやブログ、ホームページサービスなど。規模は違いますが、それらが閉鎖される理由も語ってきたところと重なるところは多いのではないでしょうか。営利且つ大規模である場合サーバの負担は大きく、しかもそこがセキュリティ的に問題を起こしそうなのに収益を生み出しそうにないなら、もったいなくてももう閉じてしまうしかないという決断をせざるを得ないのでしょう。とりわけブログやホームページサービスは、そこを運営していた人が更新を辞めていて管理されていない状態でも、運営のほうから中身に手を加えるわけにはいかないので。

 

 かつて(2017年なのでもう8年前)、このような記事を書いたことがあります。

 それは、大昔、それこそネット黎明期はインターネットは情報がいつまでも残り、その記録力が力だったと思っていた時期がありましたが、それは違っていたという話。そして今はもう、「インターネットは(アーカイブなど保存自体を意図しない限り)過去作られたものを保存するのに向いていない」と言ってよいでしょう。黙っていても一応はどんなものでも残る紙媒体と大きく異なってしまいますが、これは紙と電子というより、オンライン媒体とオフライン媒体(単体として楽しめるよう作られたもの)の差でしょう。

 もちろんこの状況はすでに気づかれており、アーカイブを目的にしたサイトやデジタル図書館みたいなものが必要も訴えられています。しかし前述のようなコストやセキュリティの問題の他、さらに他人のものを動かす場合著作権が大きな問題となります。

■参考

 

 

 インターネットが普及したのが1990年代半ば。それ以降、ネットにしか残っていない情報や創作物というのは多数あります。しかし現在、それらが徐々に消えてゆくとしたら、この90年代半ばから先というのは、後世から研究など必要性が生じて改めて見ようとしても、かなりの部分が空白になっている可能性は高いでしょう。しかし残念ながら「現状のインターネットとしては」もう過去のものは消える前提で、それらのうち何を工数やコストをかけて残すかという選択になってしまうのでしょう。