本読むうさぎ

人間と名乗るには未熟なうさぎ。考えるとは生きること。生きるために書いています。

うさぎの本棚 GWに読んだ本3選

今週のお題ゴールデンウィーク振り返り」

今年はじっくり本を読むことができた。

読み終えたもの、読んでいるもの、これから読みたいものを残しておく。

 

ある行旅死亡人の物語  武田惇志/伊藤亜衣

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兵庫県尼崎市のアパートで高齢女性の遺体が見つかった。現金3,400万円、星型のマークのペンダント、数十枚の写真を残し、そして右手の指をすべて欠損していた。

身元不明の女性はいったい何者なのか、なぜ多額の現金を所持し、指を失ったのか、どんな人生を歩んだのか。

誰にも看取られず、見送られることのなかった行旅死亡人の生きた証を取り戻すまでを描いたノンフィクション。

うさぎがこの世を去った後、うさぎが生きていたことを思い出してくれる人はいるだろうか。時に笑ったり、涙ぐんだりしてくれるだろうか。墓前に手を合わせてくれる人はいるだろうか。墓に入ることはできるだろうか。

うさぎは人のことをどれだけ覚えているだろうか。おそらく、もう二度と会うことのない人、会えない人は十指に余るほどいるだろう。これからもそういう人は増えていくだろう。いなくなった人たちのことを思い出して、笑ったり、涙ぐんだりできるだろうか。

そんなことを考えた。

 

 

桜とは何か 花の文化と「日本」  佐藤俊樹

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春と言えば桜、桜と言えば春。

歓迎と門出を祝う花として、日本で長年愛されてきた桜。

なぜ桜は特別な花として扱われるようになったのか、なぜ人は桜に魅了されるのか。

梶井基次郎桜の樹の下には』では、桜の美しさを信じられない男が登場する。彼は不安だった。なぜ桜はあんなにも生命力に満ち、見事な花を咲かせるのかを信じられないという。男は言う、「俺には惨劇が必要だ」と。

なぜ桜は「さくら」と言うのか、桜を愛でる文化はいつ頃始まったのか、昔と現代で、人々が見ている桜ははたして同じなのか。

桜に思いを馳せる割に、桜のことを知らなすぎる。男は桜の美しさに惨劇を求めた。うさぎは、何を求めているのだろう。

 

 

さみしい夜にはペンを持て  古賀史健

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勉強も運動もできず、周りから「ゆでタコジロー」と揶揄されるタコの中学生、タコジロー。

ある日学校をサボった彼はヤドカリのおじさんと出会う。悩みを打ち明ける彼におじさんは日記を書くよう提案する。

なぜ人は文章を書いたり読んだりするのか。

「思う」と「考える」はどう違うのか。

自分のことを好きになれるのか。

答えのない問いに答えを作りだす。そうすることで人は気持ちを整え、考えを託してきた。

うさぎにとって、書くとはどのような意味を持つのかを考えながら読んだ。