花をいけてみたら変わること

「華道」とかしこまらずに、ただ花をいける楽しさを皆さんと共有できれば嬉しいです

先週のお稽古:26 May、1 Jun 2025

先週はT.M.さんとU.N.さんのお二人と、S.I.さんがいらっしゃいました。早速ご紹介します。

 

まずT.M.さんの作品ですが、こちらは直線と曲線をテーマにした構成です。

フトイの直線と、カラーの曲線の掛け合いが効いていますね。トルコブルーの花器と黄色のカラーの組み合わせもバッチリです。Tさんはこれが自由花2作目ですが、しっかりとテーマの意図を汲み取って、素敵な作品になりました。花型と同様に自由花もこの調子で頑張ってください。

T.M.さん:フトイ、カラー、ギボウシ

 

続いてU.N.さんの作品です。こちらもモダンに仕上がりました。空間分割がとてもお上手です。懐紙を二つ折りにしたような形状の花器と、フトイで描く菱形の関係性が面白いですね。カラーも何かを語りかけてくるようなニュアンスがあり、おしゃれです。

U.N.さん:フトイ、カラー、ギボウシ

 

 

6月に入り、S.I.さんのお稽古は「動きを表現」がテーマです。

さてここでクイズです! 皆さん、この作品から何を連想しますか? チ・チ・チ・・・笑。

S.I.さん:丹頂アリウム、ガーベラ、ヒマワリ、ブラックリーフ

こちらは「吹き散る」をイメージしていけられた作品でした。なるほど、突風に煽られて舞い上がった様子でしょうか。アリウムのうねりを上手くいかしましたね。

今回の課題はまず「動詞」を思い描き、そこからイメージを膨らませて作品に展開させるというものです。いきなり連想ゲームを持ち出しましたが、実際には「見た人がどう感じるか」をことさらに意識するよりも、まずはいけ手自身が感じたイメージをいけばなでどう表現するかに集中しましょう。その後で周りの人の感想に耳を傾けて、それをヒントにフレッシュな視点で自分の作品を振り返ると、たくさんの発見があるはずです。

 

 

6月に入り、これから傘の出番が多くなりますが、元気にジメジメ梅雨を乗り切りましょう!

 

 

 

 

先週のお稽古: 25 May 2025

自宅教室、お二人がお見えになりました。

 

初めにS.I.さんの作品からご紹介します。今回は二作おいけになり、一作目は「緑を見つめる」をテーマに取り組まれました。

以前「葉ものでいける」というお稽古をされましたが、その際はブラックリーフのような褐色の葉ものや、キキョウラン、ドラセナゴッドなどの斑入りのものも素材として扱うことができました。対して今回はあくまでも「緑」がテーマですから、これらは対象外になります。逆に緑色の素材であれば、ビバーナムやカーネーションのような花もの、枝ものも取り入れることができます。

緑色のカラーバリエーション、形や大きさ、質感など、素材の持つ特徴をいかして、魅力的な作品を目指します。

S.I.さん:ルスカス、モンステラ、テマリソウ

織部焼(?)の緑の花器に合わせました。モンステラ、ルスカスの光沢のあるグリーンの間に質感と色合いの異なるテマリソウを置き変化をつけています。また、モンステラの"面"、テマリソウの"塊"、背高く立てたルスカスの"線"という異なる要素の組み合わせも面白いですね、素敵です。

 

イタリアンルスカス、カラー、カスミソウ、テマリソウ

二作目は自由花です。白地に赤紫が目を引くカラーと、薄紫に着色したカスミソウというシックな組み合わせで、横長に構成しました。

左に流したイタリアンルスカスと床面との緊張感は上手く表現できたと思うのですが、花器の中の構成は少し手を抜いたかな?という気がしないでもありません。テマリソウが一輪ポツンと置かれているのが少々唐突で、浮いて見えます。一作いけた後で、「テマリソウが残っているし、(もったいないから)入れようか」というのが見え隠れします・・・苦笑。

"引き算"はいけばな作品の出来を左右する大事な作業ですが、今回は"足し算"の難しさが出ましたね。

ともかく、続けて二作、頑張りました。お疲れ様でした!

 

 

もうお一人、T.Y.さんには四方正面の盛花をいけていただきました。

一歩間違えると寂しい雰囲気になりそうな色の組み合わせでしたが、カラーの鮮やかな赤紫を上手に見せつつ、カスミソウは軽やかさの演出に利用して、360°しっかりと入りました。

簡単そうに見えて実は難しい花型なのですが、綺麗に仕上げましたね。真上から見ると一層華やかで素敵です。

T.Y.さん:イタリアンルスカス、カラー、カスミソウ

 

先週のお稽古:22、23 May 2025

久しぶりのお稽古紹介です。今月は連休があり、その後も教室のお休みが続いたため、約一月ぶりのお稽古になりました。

 

まずはT教室のお二人から・・・。

Yさんは第一応用傾真型の盛花です。芍薬はまだ蕾の状態ですが、花びらのピンクがうっすらと顔を出していますので、もう間もなく大輪の花を咲かせることでしょう。ゴージャスさが魅力の芍薬ですが、控えめな蕾もまた品が良く、素敵ですね。主枝、従枝ともにしっかりと入りました。

Yさん:トサミズキ、芍薬、小菊

 

次にTさんの自由花です。所々赤みが挿したトサミズキと、チラリと見える芍薬のピンクが上手く調和しています。黄土色の花器との相性も良いですね。同系色でまとめた色使いがこの作品の見せどころではないでしょうか。

なんだか眺めているうちに、渋いお茶と和菓子が恋しくなってきます、笑。

Tさん:トサミズキ、芍薬

 

 

 

最後は自宅教室 Sさんの作品です。

マリーゴールドをマッスにしたオレンジ色の塊が印象的ですね。その脇に反対色のグリーンと赤紫を合わせています。花器もブルーグリーンという組み合わせで、先ほどご紹介したTさんと同様に、こちらも色使い(反対色)がポイントのように思います。大人の雰囲気が漂う作品ですね。甘味というよりは、ウイスキーのロックが似合いそうです、笑笑。

Sさん:マリーゴールド、ルスカス、ブラックリーフ

 

 

第15回草月会東京西支部 草月いけばな展

先週末、立川の国営昭和記念公園にて草月会東京西支部展が開催されました。

家元の眼にも鮮やかなダイナミックな作品をはじめ、第10期支部長を務められた塚本草昌先生の大作、同門の先輩・後輩の作品のほか、野外展・SOUSOUメンバーの素敵な作品が並び、大盛況でした。

勅使河原茜 家元作品

 

第15回草月会東京西支部 草月いけばな展

「緑輝き 風薫る」

会期:2025年5月9〜11日

会場:国営昭和記念公園「花みどり文化センター」(立川)

家元出品のもと東京西支部展が開催されます | いけばな草月流

 

 

本草昌:ドウダンツツジ、トクサ、モンステラ、着色オガラ

 

私自身は今回も塚本先生の助手として参加させていただきました。

歴代支部長は特A席という別格扱いなのですが、当然のことながら花席が広い分だけ、それに見合った花材の手配や作品構成が必要となり大ごとです。経験豊富な先生方だからこそこなせる、名実ともに”特別にA級な"花席で見応えがあります。

 

 

 

続いて、塚本先生にご指導をいただく同門の、村松瑞虹さん、下山昌有さん、五本木昌広さんの作品をご紹介します。

村松瑞虹:バンダ蘭、オクラレルカ、ハラン、ミリオンバンブー、ヒペリカム

 

下山昌有:ヒマワリ、ハラン *初出品*

 

五本木昌広:ドウダンツツジ、リョウブ、シャクナゲ



 

毎年秋に実施される野外展で共に汗を流すSOUSOUメンバーの作品も素敵でした。

左:北村嶺世、右:石原融

 

左:岩崎生翠、右:森山流湖

 

 

皆さま、本当にお疲れ様でした!!

国営昭和記念公園「花みどり文化センター」



昨日のお稽古:28 Apr 2025

4月最後の生徒さんはTさんとUさんのお二人です。花材は梅花空木と芍薬の2種、紅白でとても上品な組み合わせになりました。

 

Tさんには第三応用を傾真型でいけていただきました。いけているうちに手の温もりでどんどん蕾が膨らみ、あっという間に花が開いてしまいました。とてもゴージャスです。

今回の梅花空木はとても品質が良く、元気な葉と蕾がびっしりとついています。さすがに賑やか過ぎるかな?ということで、枝先を中心に葉を落として軽くしました。三方正面の型なので両サイドからの見え方もポイントになりますが、きちんと綺麗に仕上がりましたよ。

Tさん:梅花空木、芍薬

 

続いてUさんの自由花です。こちらも芍薬が満開になりましたね。まさに作品の主役という存在感です。花器に描かれた丸い模様に芍薬の円が重なって、うまく連動しました。花器の口元を開けたところも緊張感があって良いと思います。シンプルですが、要所要所に気配りが感じられる作品です。

Uさん:梅花空木、芍薬

 

芍薬は蕾が固いままで、うまく開花させられないことがままあります。お稽古花材で予めセットになっている場合にはどうしても当たり外れが生じてしまいますが、店頭で花を購入する際には、開花の兆しがある(少し膨らんで花びらが見えている)蕾を選ぶと良いですね。

花を咲かせる方法としては、1. 余分な葉を落とす、2. 蕾についた蜜を拭き取る、3. 蕾を優しく揉んで刺激を与える、4. 両手で蕾を包み、はぁーっと暖かい息を吹きかける・・・などがあります。しっかりと水切りをすることはもちろんですが、湯揚げも有効とされています。

季節の花、芍薬を是非ご自宅で楽しんでいただきたいと思います。

 

 

 

今週のお稽古:24、25 Apr 2025

ゴールデンウィーク前の今週はお稽古が続きました。T教室のT.T.さん、Y.A.さんと、自宅教室のT.Y.さんの作品をご紹介します。

 

まず、T教室のT.T.さんの自由花です。立ち上がりがとても綺麗な作品です。ルスカスの塊を足元に置き、そこから真っ直ぐに立てたバラを両手で優しく包み込むような格好でキバデマリを添えました。空間分割が絶妙で素敵です。

T.T.さん:キバデマリ、バラ、ルスカス

 

続いてY.A.さんには第一応用立真型を添え木留めでいけていただきました。割りを入れるにはギリギリの太さで心配しましたが、上手くいきましたね。真と副で作る大きな空間をしっかりと見せて、とても大らかな作品に仕上がりました。この調子で頑張ってください。

Y.A.さん:キバデマリ、バラ、ルスカス

 

 

最後は自宅教室のT.Y.さんです。こちらは株分けの作品に挑戦していただきました。

クラレルカで作る幾何学模様が長方形のシンプルな花器に合っていますね。ヒマワリとアリストロメリアとを分けたことで、ピンクと黄色の2色の対比がより強調されたように思います。工夫を凝らして構成された作品です。

T.Y.さん:ヒマワリ、アリストロメリア、オクラレルカ

 

 

三者三様の表現で、拝見する側もワクワクしました。今月もお疲れ様でした!

 

 

 

一昨日のお稽古:21 Apr 2025

自宅教室、Sさんのお稽古作品をご紹介します。

今回は草月のオリジナル鉄花器を使用した床上がり作品です。この花器はお教室を閉じた大先輩から譲り受けたものなのですが、艶消しの黒で塗られた鉄の重厚感とすっきりとしたフォルムが特徴で、どんな花を合わせてもよく映えます。

 

まず、シジミバナを大きく三方に展開し、中心にえんじ色の糸菊を置いて引き締めています。細い脚の花器にシジミバナの波打つ線がよく合っています。挿し口が狭いのでどうしても口元が込み入ってしまいますが、なんとか頑張って整えましたね、笑。ここが一番この花器の難しいところでしょう。

枝先、モルセラの先端を上向きで仕上げたのはさすがです。極小さなところですが、これがもし下を向いていたならば折角のダイナミックで伸びやかな作品が台無しになっていました。バレエダンサーや器械体操の選手が指先にまで神経を張り巡らせて美を追求するように、枝先には緊張感をもたせて仕上げることがとても大切です。

 

Sさん:シジミバナ、糸菊、モルセラ、スプレー菊

 

ところで、菊は金気を嫌うため、鋏で切るよりも手で折る方が良いなどと言われます。(草月では特に気にせず鋏を使いますが、母はいつも手折りしていました)

今回は鉄花器を使用することから気になって少し調べてみたところ、菊に多く含まれる酸化酵素が鉄と反応して変色(酸化)することからきている話しのようです。花持ちに影響はなさそうなので安心しました。