経営の予測は、もはや経験を踏まえた
“読み”では通用しない
市場環境の変化が加速している。地政学リスクやサステナビリティ対応に加え、AIに代表されるテクノロジーの進化も企業の意思決定を複雑にしている要因だ。日本の経済環境は激動の最中にあり、今後は企業の再編や淘汰が一層進むと予想される。
これまでのように「四半期ごとの見通し」や「中期経営計画」に頼るだけでは、経営の舵取りが難しくなっていると感じているファイナンス責任者も多いのではないだろうか。
実際、国内外の多くの企業が「予測精度の限界」に直面している。「四半期ごとの見通し作成に膨大な工数がかかる」「環境変化に対応しきれず、計画が形骸化する」「財務と非財務、事業部門と本社の情報が分断され、意思決定のスピードが落ちる」――。これらの課題は、単なる業務効率や財務面に閉じた問題ではない。継続的な企業価値の向上、ROIC(Return On Invested Capital:投下資本利益率)の改善、投資家との対話など、経営の根幹にかかわるテーマだといえる。
こうした課題に対して新たなアプローチによって最適解を見出そうとしている企業が味の素グループだ。同社では、「中期経営計画の廃止と新たな経営への転換」「ローリングフォーキャストへの移行」「管理会計の高度化」といった挑戦に舵を切った。
次ページ以降ではファイナンス責任者やキーパーソンのインタビューをもとに、同社の具体的な取り組みとその手段、成果について紹介したい。

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