旭化成ホームズ

企業価値を高める
不動産活用、課題は?
独自のCREソリューションで
価値に貢献

旭化成ホームズは戸建住宅「ヘーベルハウス」で有名だが、賃貸住宅「ヘーベルメゾン」や中高層ビルディング「ヘーベルビルズ」も棟数を伸ばす。近年は企業の不動産活用課題を、CRE(企業不動産)ソリューションで解決する案件が増加。さらなる成長に向け、法人事業統括本部を2025年4月に立ち上げ、様々な要望に応えられる体制を整えた。防災性の高い建物、独自色の強い商品力と提案を武器に事業を強化。同社がCREソリューションで重視することとは?

小柴 一輝氏
旭化成ホームズ 法人事業統括本部 本部長 小柴 一輝氏

企業不動産の課題を
チーム力で解決する

旭化成ホームズのCREソリューションは、チーム力を結集して企業不動産の課題を解決する提案力が特徴です。所有不動産の有効活用や見直し、新たな不動産投資による事業拡大や事業承継対策などを検討し、企業価値の向上を目指します。その中で賃貸住宅経営を提案する際には、コミュニティ形成を重視した賃貸住宅や、ライフスタイルに特化した賃貸住宅など、ご入居者の高い満足が長期にわたり続く、安定した不動産賃貸事業を提供します。

なぜ企業のCRE活用が
注目されているのか?

2023年度には国内で600兆円を突破※1した企業の内部留保。これをCREソリューションを活用した有益な不動産投資につなげる動きが増えている。「近年、中堅中小企業では、社員寮・社宅を充実させることで、人材獲得に結び付ける動きも出ています」と旭化成ホームズ法人事業統括本部長の小柴一輝氏は説明する。

 一方で内部留保の資金で土地、建物を購入し、資産を圧縮して、オーナー企業の相続対策とするケースも多いという。

 加えて不動産を活用した安定的な収入源を本業とは別に確保したいというニーズや、インフレ対策として金融資産を不動産に移す動きも増えている。様々な事情を背景に、ここ数年で法人による土地購入が伸長。土地を所有している法人の割合は約37%※2に達した。

 他方、大企業には所有していた社宅や土地を整理する動きもある。そうした土地の売却や、有効活用などの様々なニーズへの対応も重要だ。

顧客ニーズに寄り添った
提案が成功事例を生む

主軸は同社が強みを持つロングライフな賃貸住宅の提案だ。2つの事例から、ニーズを掘り下げた同社のユニークな提案力に迫ってみよう。

 1つ目は、老舗呉服業A社の事例。建て貸し※3をしていた企業から撤退の連絡が入り、その土地をどうするかを検討することになった。エリア性を分析した結果、通常の賃貸住宅はリスクがあると考え、長期的な安定経営を目指し、“元気なシニア向け”がコンセプトの旭化成ホームズのシニア向け賃貸住宅「ヘーベルVillage(ヴィレッジ)」を採用した。入居費用が高額な介護施設と異なり、敷金・礼金と毎月の家賃で入居できる。

 以前の建物は先代社長の個人名義で建てられていたが、法人名義で建てることで、税金対策になり、相続対策としても有効であるという。A社は社長が50代で、ご自身も母親とヘーベルVillageのモデルルームを見学したところ、安全に配慮した住まいに母親からも「住みやすそう」と気に入ってもらえたという。

 今までのシニア住宅市場は、「自宅」か「介護施設」かの二者択一で、元気なシニアが安心して暮らせる「住まい」がなかった。ヘーベルVillageはそこに第3の選択肢を与える。

110年続く老舗企業が、コロナ禍の本業の不振から不動産賃貸業にシフト。シニア住宅の第3の選択肢として注目されるヘーベルVillageでサブリースによる安定収入を確保した

110年続く老舗企業が、コロナ禍の本業の不振から不動産賃貸業にシフト。シニア住宅の第3の選択肢として注目されるヘーベルVillageでサブリースによる安定収入を確保した

バリアフリーで防犯性に配慮した設計や定期的な面談による見守り、設備による見守り・駆けつけなどの安心・安全への取り組みのほか、活動・交流を促す元気になるしかけや定期的な面談など、健康長寿への取り組みも行う旭化成ホームズ独自の賃貸住宅。サブリース契約で物件を旭化成ホームズが一括で借り上げ、企業オーナーに安定した家賃収入を保証する。

 「不足する元気なシニア向けの住まいで、子世代の近居や呼び寄せのニーズに対応できています。社会的意義に共感していただき、企業様に選んでいただくことも多い商品です」(小柴氏)

 2つ目の事例は、食品物流業B社。人材採用促進のため社員寮を建設したいという要望で「大切な社員の命を守り、地域の防災拠点としての役割を担い、長きにわたり、資産価値を維持する」というコンセプトで提案した。ヘーベルメゾンは耐震性・耐火性などの防災性能が高く、それに加えて太陽光発電や蓄電池、防災情報表示用のサイネージなどを備え、地域の防災拠点としても機能するようにした。「社員の命を守るソリューションが企業価値の向上に繋がります」(小柴氏)

人材採用の促進に向け社員寮を建設した食品物流業の事例。充実の防災対策により社員の安全確保、防災拠点としての活用を見据えた地域貢献に寄与する

人材採用の促進に向け社員寮を建設した食品物流業の事例。充実の防災対策により社員の安全確保、防災拠点としての活用を見据えた地域貢献に寄与する

ヘーベルメゾンは投資案件に求められる支出の安定性にも優れている。「RC(鉄筋コンクリート)造などの一般在来建築と比べ、ヘーベルメゾンはプレハブ住宅のため、コスト安定性が高い点も評価されています」(小柴氏)

ロングライフを標榜し
顧客と半永久的に向き合う

法人事業統括本部の新設に伴い、全国規模で活動することも可能になった。従来、エリアごとに顧客開拓を目指すのが一般的であるが、その壁を越えて顧客企業の話を聞き、課題を解決する。

 顧客への姿勢も変わった。かつては用意した内容を顧客に理解してもらう、一方的な「提案」が基本。今では顧客の悩みを「対話」によってまずは聞き取り、その解決策を多様なキャリアを持つメンバーの知見を集約し、提案に磨き上げる形に進化している。

 「ロングライフを標榜する当社は、60年無料点検を実施しており、お客様と建物に半永久的に向き合い続ける立場にあります。『お客様ファースト』から逃げない姿勢を維持し、お客様の未来を共に創り上げたいと思います」(小柴氏)

※1 出所:財務省「法人企業統計調査(令和5年度)」 ※2 出所:国土交通省「2024年土地保有・動態調査」
※3 土地の所有者がその土地に建物を建設し、土地と建物を貸す方法