ケイスケの音響学

言語聴覚士に必要な音響学の解説をします。

音響学の基礎396 声道と閉管の共鳴①

声道と閉管の共鳴①

声道は、口唇を閉管の口、

声帯を底とする閉管に近似して考えることができる。

 

しかし、声道は単純な閉管に比べて形状が複雑な上、

唇、舌、顎の動きによって大きく形を変えられるため、

その共鳴周波数は固定的ではない。

 

そこで、とくに声道に狭めや広めのない中性母音で

共鳴する周波数を概算する。

成人の声道の長さは概ね17cmなので、

この値を使って声道を太さの変わらない閉管として、

閉管の共鳴の基本振動数(基本振動の周波数)を計算してみる。

 

 \rm{f_n=\dfrac {nc}{4L}}

上式に、

n=1、

c=340 [m/s]、

L=17×10-2 [m]、

を代入する。

 

 \rm{f_1=\dfrac {1×340}{4×17×10^{-2}}}

  \rm{=\dfrac {340×10^2}{4×17}}

  \rm{=\dfrac {20×10^2}{4}}

  \rm{=\dfrac {5×10^2}{1}}

  \rm{=500}

500 Hzと求めることができる。

 

3倍振動の周波数は基本振動の周波数の3倍なので、

1500Hzと求められる。

5倍振動の周波数は基本振動の周波数の5倍なので、

2500Hzと求められる。