多すぎる「報連相」はNG? 結果を出す人が実践する"最小限コミュニケーション"の技術

吹き出しを手に持ち、話し合う様子を表現した画像

「報連相のメールやチャットが次々と届く。部下から話しかけられることも多く、自分の仕事に集中できない……」

「“報連相を徹底しろ” が上司の口癖。正直面倒で、むしろ仕事の妨げになっているような……」

報告・連絡・相談は、ビジネスの基本とされています。

しかし、チャットやメールなど連絡手段が多様化し、リモートワークなど働き方も変化したいま、こまめすぎる報連相は生産性を下げてしまう可能性も。

話し手と聞き手の両方が疲弊してしまい、貴重な時間が奪われかねません。

そこで本記事では、コミュニケーションを最小限に抑えながらも、必要な情報はしっかり伝えるためのポイントを3つご紹介します。

どれもすぐに実践できる内容ですので、ぜひ積極的に取り入れてみてください。

過剰な報連相がもたらす生産性低下の実態

忙しいときに何度も報連相を求められ、「いまそれどころじゃないのに…」と感じたことはありませんか?

報連相は大切ですが、やりすぎることでかえって時間のロス主体性の低下といった問題が生じることがあります。

1on1ツール「コチーム」を提供する株式会社O: (オー) のCEO、谷本潤哉氏は「現代ではスピード感や業務効率性が何よりも求められる」傾向があると述べています。

そのため「ことあるごとにいちいち『報連相』を行っていると、時間のロスや進捗の停滞を招いてしまう」というのです。*1

たしかにタスクが山積みのときには、ほんの数分でも惜しいもの。

話しかけられれば手を止める必要がありますし、メールやチャットには返信やリアクションが求められます。

こうしたやりとりが積み重なることで、本来の業務に使える時間が削られてしまうのです。

また谷本氏は「『個性・主体性』は、『報連相』に頼りすぎると育ちにくくなる」という点も問題視し、理由を次のように説明しています。

もちろん仕事を行う上で、客観的なアドバイスを貰うことにより自分では気づけないような欠陥やミスを発見できたり、より最良の選択や判断が可能になることは言うまでもありません。

しかし、他の人の意見や知見を反映させながら進める仕事というのは、当事者本人の個性や主体性の発揮・成長を妨げてしまうという側面もあることに注意しなければなりません。 *1

つまり、自分で考える前に相談してしまうことで、意思決定の力や自主性が育ちにくくなるということです。

些細なことでも相談してくる部下に、上司が困ってしまう……というのは、よくある話ではないでしょうか。

無駄なやりとりを減らし、自ら考えて動ける人材を育てるためにも、報連相のやりすぎには注意が必要です。

必要な情報だけが適切に共有される状態を目指すことが、これからの時代のコミュニケーションスタイルと言えるでしょう。

作業中の上司に話しかけるビジネスパーソン

高パフォーマーが実践する最小限コミュニケーションの3つの原則

ここからは、コミュニケーションを最小限に留めながらも、正確で質の良い報連相をするためのポイントを3つご紹介します。

原則1. 報連相すべき内容を見極める

報連相が過剰にならないようにするには、共有すべき情報を厳選する必要があります。

何でも情報共有するのではなく、上司やチームメンバーなどが知っておくべき内容だけを伝えるのです。

人材育成などを行なうアトワジャパン株式会社の取締役、江田泰高氏は「共有すべきか悩んだ際は、『相手にとって、知っていないとリスクがあるか?』を自分自身に問うてみる」方法をすすめます。

目安として「業務上のトラブルや他部署からの突発的な依頼などはなるべく早い段階で共有」したほうがいいと述べています。*2

具体例として、ビジネスシーンでよくある状況のうち、報連相すべき内容とそうでないものを以下のように仕分けしてみました。

報連相すべき・必要なし

【報連相すべき】

・取引先からのクレーム
・他部署からの急な仕様変更の依頼
・重要なシステムの不具合
・ほかの社員に影響が出るようなミス

【報連相の必要なし】

・備品発注の進捗
・メールを「送った」報告
・アイデア段階の話
・確定していないスケジュールの話

報連相すべき内容は、重要度と緊急度が両方とも高い傾向にあります。

これらは先延ばしにせず情報共有を行ない、それ以外の内容は一度自分で考え、やってみる。

このようにルールを決めておけば、必要以上に報連相に時間をとられず、自主性も高められるでしょう。

オフィスの席で話し合うビジネスパーソンたち

原則2. タイミングは「お・し・と・や・か」

ことあるごとに情報共有を行なっていては伝える側も受け取る側も疲れてしまうため、報連相のタイミングも重要です。

人財育成プロデューサーの藤井美保代氏は、報連相をすべきタイミングは5つだと言います。

=「終わらないとき」
=「終了したとき」
=「トラブルがあったとき」
=「やりづらいとき」
=「変えざるを得ないとき」 *3

これらのタイミングは、上司と部下のそれぞれにメリットがあるという藤井氏。

上司は「部下に必要なサポートを与え、仕事の進捗状態を管理する」ことができ、部下は「適切なタイミングで適切なサポートを受けることで、作業効率を高める」効果が期待できます。*3

つまり「お・し・と・や・か」は、必要な時に必要な情報を共有してサポートを受けたり与えたりできるという、報連相が最も効率よく機能するタイミングなのです。

もちろん「プリンターのインクを変えました」のような些細な報連相は不要なので、先述の「報連相すべき内容か否か」を組み合わせながら実践しましょう。

親指を立てたグッドサインの上に電球が描かれ、ひらめきを表現した画像

原則3. 5W1Hを意識する

コミュニケーションを最小限に留めるには、一度の報連相で過不足なく情報を伝えることも大切。抜け漏れがなく、簡潔に伝えるために意識したいのが5W1Hです。

5W1Hとは、次の要素を指します。

5W1Hとは

When(いつ)
Where(どこで)
Who(誰が)
What(何を)
Why(なぜ)
How(どのように)

日本コミュニケーション能力認定協会は「的確な報連相には、より具体的な情報伝達が必須」だとし、その基本要素として「5W1Hの情報が適切に入っていること」を挙げています。

5W1Hを適切に使わなければ「お互いの解釈の違いや認識の違い」が生まれ、「予期せぬ結果を招いてしまったり」「足りない情報をいちいち確認する手間が増え」たりする可能性があるからです。*4

具体例で考えてみましょう。

5W1Hの情報が適切に入っているかどうか

NG例

会議日程を変える必要が出てきたので、変更してもよいでしょうか?

OK例

When:来週の火曜日14時に予定している企画会議ですが、
Where:会議室の予約が取れなかったと
Who:商品企画部の○○さんから連絡がありました。
Why:別件の重要会議とバッティングし会議室の予約が取れなかったため、
What:会議を別日に移動したいとのことです。
How:候補として、翌日の水曜日15時なら関係者全員の都合がつきそうですが、日時を変更してもよいでしょうか?

NG例ではなぜ、どのように変更するのかがわからず、聞き手は混乱してしまうでしょう。

しかし5W1Hを取り入れたOK例では、必要な情報を簡潔に伝えられています。

報連相が必要な場合には、ぜひ5W1Hで情報を整理してから伝えるようにしてください。

オフィスで同僚と気軽に話す場面

***
ともすれば厄介な「報連相」。内容やタイミング、伝え方を工夫することでスマートに報連相ができるようになります。端的な情報伝達を身につければ時間の無駄がなくなり、生産性も高まるはずです。

※引用の太字は編集部が施した

【ライタープロフィール】
藤真唯

大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいて分かりやすく伝えることを得意とする。

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