英ロンドンで学び暮らす大学生が綴る、令和の留学体験記です。今どきの留学事情、学生の視点でみる海外生活、街の様子など日常での新たな発見や驚きをお伝えします。これから留学を考えている方も、ロンドン旅行を検討している方も、&Travelならではの留学記をお楽しみください!
街が持つ文化や多様性にひかれて
&読者のみなさん、初めまして! 2024年秋からロンドンで留学中の齊藤美咲と申します。初回は私がロンドンを留学先に選んだ理由、そして私が見て感じたこの街の実際の姿について触れてみたいと思います。
この都市を留学先に選んだ理由は、やはり“憧れ”でしょうか。様々な映画の舞台となり、美しい町並みも、美術館や博物館も魅力的。最初に驚いたのが電車など街の広告! ミュージカルや映画の広告が日本よりも多く、文化が生活に根付いているのを感じます。
美術館など多くの施設入場料は無料です。留学先の大学には「毎週ロンドンの文化施設を実際に巡り、展示物などの時代背景や、施設の存在意義などを考察する」といったユニークな講義もあります。私も日本ではあまり馴染みがなかったアート鑑賞が趣味になりました。
ストリートアートも盛んです。代表的なアーティストは日本でも知られるBanksy(バンクシー)をはじめ、STIK(スティック)、Ben Eine(ベン・アイン)など。路上アートは法的にグレーゾーンではありますが、パブリックな特性を持つため、常に更新されており、同じ場所でも訪れるたびに風景が変わっているのが魅力のひとつです。行くたびに新しい作品に出会える楽しさがあります。
ロンドンにおけるストリートアートはただの“落書き”ではありません。それらは都市文化やローカルな人々のコミュニティ形成、社会の「見えにくい声」を可視化する手段などと深く結びついています。日本ではあまり見かけないアートの役割を間近で体感できるのは、とても新鮮で興味深いと感じます。ロンドンを訪れる際は、ストリートアートの聖地として知られているイーストロンドンのShoreditchやBrick Laneといった場所にぜひ足を運んでみてください。
この街に広がる多様性も惹(ひ)かれた理由の一つです。私が通う大学では様々な国や地域から留学生を受け入れていて、授業でグループワークのたびに聞く自己紹介がいつも楽しみになっています。ロンドンは、人口の約4割がイギリス国外にルーツを持っているとも言われているそうです。
それも納得。だってこの街には、魔法使い(ハリー・ポッター)や才能ある探偵(シャーロック・ホームズ)、国を守るスパイ(007)、おっちょこちょいなクマさん(パディントン)まで暮らしているのだから! 連載のタイトルも、そんなロンドンの“住人たち”から着想を得ています。いろんな背景を持った人たちがいて、その中に自分もいて、新しい誰かと出会える街。文化や価値観の違いに戸惑うこともあるけれど、無理に“溶け込む”必要なんてないのかもしれません。そう考えられたのは、現在地元のレストランで働いている経験からです。そのエピソードについては後の回で詳しく書けたらと思っています。
物価高には学生ならではの節約法で
ロンドン留学生活の実情についてもご紹介します。まずは物価。もともとロンドンの物価は高いと言われていますが、円安が追い打ちをかけ、私を含め多くの留学生が苦しんでいるのが事実です。日本と比べるととても高く感じて、最初は何を購入するのにも躊躇してしまいました。感覚としては普通の外食1回で3千円くらい……。電車やバスの交通費も日本と比べて高めです。
ですが節約法もあります。例えば「student discount」(日本での「学割」)を使う。意外な場所(とくに服屋さん)で使えることが多く、ダメ元でもレジで聞いています。学食も頻繁に利用しています。そして「Too Good To Go(トゥー・グッド・トゥ・ゴー)」というスマホのアプリを使うこと。飲食店やスーパーなどが売れ残った食品を「お得な価格のサプライズバッグ」として出品し、私たちユーザーはそのバッグを予約・購入することで、安く食品を手に入れて食品廃棄を減らすこともできます。受け取りはお店の閉店時間ギリギリになりますが、かなりの割引価格で様々なお店の味を試すことができるのでよく使っています。スーパーはTescoやSainsbury’s(セインズベリーズ)など比較的安めのところに行くと、たまにうれしい値引きも。
主観ですが、イギリスは「おひとり様」を前提にしていない場面が多い気がします。日本では一人でも気軽に入れる飲食店がたくさんあるし、スーパーでも少量サイズの野菜やお肉、惣菜が当たり前のように並んでいますが、こちらでは何を買うにも量が多くて、学生寮で一人暮らしだと使いきれずに余らせてしまうこともしばしば。外食にしても、「二人以上でシェア」が前提のメニューが多く、一人でふらっとお店に入るにも勇気がいります。さらに社会的なイベントやお出かけも、基本的に“誰かと一緒に行くもの”とされている空気が……と感じているのは私だけなのでしょうか?
イギリスの食事、と聞くとあまり美味しくないイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。ですが、実際はそうでもありません。様々なジャンルの飲食店があり、飽きることはまずないです。少し値段は張りますがオーセンティックな日本食レストランも多く、母国の味を食べたくなったり友人に日本食を紹介したりしたい時に使えます。レストランの店内も目を見張るほど豪華な装飾や、シンプルながらも店内の構造がユニークな場所など視覚的に楽しいです。
イギリスというと、やっぱりスコーンの美味しさには触れずにいられません。温かくてホロッとしたスコーンに、クロテッドクリームとストロベリージャムをたっぷりのせて頬張ると、口いっぱいに広がるあの多幸感……。アフタヌーンティーは少しハードルが高いですが、こちらには「クリームティー」といって、スコーンを紅茶とともに気軽に楽しむティータイムもあります。私はそのクリームティーにすっかりハマってしまい、週に一度は通っています。私にとってちょっと贅沢で、自分を癒やす大切な時間です。
治安は想像より良いけど、スマホ盗難に注意!
最後に治安について。ロンドンは時間と場所にさえ気をつけていれば、今のところそこまで危険なことはないと感じています。日本と比べれば注意点は多いけれど、日常の中で怖い思いをすることはまずありません。ただ、スマートフォンを盗まれたという話は周囲の友人たちからよく耳にします。盗難防止におすすめなのは首から下げるスマホ用のストラップ。これをつけていれば絶対に安全とは言えませんが、私自身は効果を感じています。
大学の友人は、サッカーをしている間にそばに置いていたブランド物のジャケットを盗まれ、学生証も一緒になくしてしまって大変そうでした。そして夜の外出は基本的に控えるのが前提! 特に金曜の夜はパブが賑わい、酔っ払った人が繁華街に多く出没するので、たまに危険を感じることもあります。この記事を書く少し前にも、酔っ払いが街に設置されていたパディントンの像を壊したというニュースが……かわいそうなパディントン。無理せず、街とのちょうどいい距離感を保ちながら安全に暮らしていけたらいいなと思っています。
次回は大学生活についてご紹介します。

















