各地に49発投下、模擬原爆の研究8年 大学院生が考える戦争と平和

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聞き手・構成 松尾一郎
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 なぜ、太平洋戦争であれほど多くの人々が犠牲になったのか。

 「戦争は絶対にやってはいけない」。今そう教えられても、あの戦争が起きただけでなく、世界各地で今も戦争がなくならないのはなぜか。

 神戸大大学院で、原爆にまつわる外交史を研究する西岡孔貴さん(27)が研究者を志す、原点となる問いだそうです。

 米軍が日本各地に投下した模擬原爆「パンプキン」に着目したなかで、原爆は広島・長崎だけでない、もっと身近な問題として捉えるべきだと考えるようになったといいます。

 原爆投下から、今年の夏で80年。歴史好きだった少年が抱いた問いの答えは出たのか――。その歩みと思いを聞きました。

神戸大学大学院生・西岡孔貴さんインタビュー

 「パンプキン」は、模擬原爆として投下訓練や弾道測定のため全国各地に49発投下された大型爆弾です。

 そのことを知ったのは、大学1年生だった2017年。その夏は広島の平和記念式典と長崎の平和祈念式典に参加することを決めていました。

 8月5日夕、広島平和記念資料館に入りました。リニューアルされた東館の新たな展示に、パンプキンが投下された49カ所を示す日本地図がありました。

 「原爆は広島・長崎に投下されたもの」

 そう思っていた私は、出身地である大阪や近くの神戸があるのを見たとき、衝撃を受けたんです。所属していた歴史研究会サークルで、学園祭の発表テーマにパンプキンを選びました。そして調べるほどに、さらに詳しく知りたいと思うようになりました。

 原爆の問題は、みんなが思っている以上に身近にある。

 模擬原爆49発のうち3発は、いまだ投下地点が特定されていません。その一つが神戸です。私は着弾地点を明らかにするため、研究を続けています。

 原爆投下に関心を持ったのは小学6年生だった2009年、やはり、広島平和記念資料館を訪れたことがきっかけでした。

 母親の教育方針で、歴史や戦争関連のテレビ番組を勧められて見るなど日常的に学んでいました。広島への原爆投下があった8月6日朝には、促されて一緒に黙禱(もくとう)していました。

 ただ、母もそうでしたが、振り返るとその頃の「平和教育」は、「戦争は絶対にやってはいけない」で止まっていたと思います。私にとっては、強い疑問を伴うものでした。

 「なんでやってはいけないこ…

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この記事を書いた人
松尾一郎
デジタル企画報道部|Re:Ron+データジャーナリズム担当
専門・関心分野
地方政治、旧ソ連、国連、民族問題、科学
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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2025年5月26日10時0分 投稿
    【視点】

    西岡孔貴さんの研究成果で一番重要なのは、 【これほど周到かつ大胆にコトを進めるようになった相手に勝てるはずがない】 【それは、戦力差のものすごい開きの表れであった】 という点で、本来、 【当時の日本政府および軍首脳は、この米軍による模擬原爆

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