SNSに出回る「がん情報」4割が誤り 医師がファクトチェック

構成・松本千聖
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 SNS上のがん情報を、医師がファクトチェックしたら――。名古屋市立大学病院の乳腺外科医、呉山菜梨さん(31)は、2023年にそんな論文を発表しました。不確かな情報もあるネット空間で、患者はどうすれば良いのでしょうか。

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 診療現場で、患者さんからSNSで入手された情報について尋ねられることがあります。正しいものもある一方で誤ったものもあり、治療に不安を抱かれています。

 研究では、旧ツイッター(現X)に22年8~9月に投稿された、がんにまつわる日本語の投稿を抽出しました。「いいね」の多い100の投稿を選び、がんを専門とする4人の医師がレビュアーとなって検証しました。すると、44%が誤り、31%には有害な情報が含まれていました。

 例えば「日本人は欧米で売れずに余った抗がん剤を使っている」といった趣旨のものがありました。厚生労働省が接種勧奨を再開したHPVワクチンについても、ワクチン関連とはわからない症状を「副作用」と強調した誤情報が拡散されていました。また、誤情報は正確な情報よりも有意に多く拡散されていたこともわかりました。

 情報の見極めは難しいですが、公式サイトで、公的機関や大学などが出す情報は信頼度が高いと言えます。ただ、SNS上ではこうした機関による発信が少なく、誤情報が多くなってしまうのが課題と感じます。

 SNSの情報で不安になった時は、ぜひ主治医に相談してほしいと思います。私も自分の診察時間では、質問しやすい雰囲気を作っていきたいと思います。

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この記事を書いた人
松本千聖
くらし科学医療部
専門・関心分野
医療、子どもや女性の健康、子育て