夫はインサイダー取引で「貯蓄2千万円」 打ち明けられた妻の決断は

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西田有里
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 夫の様子がおかしかった。食欲もない。元気もない。心配した妻が具合をたずねると、こう言った。

「体調は悪くない……。だけど、実は……」

 三井住友信託銀行の部長だった夫は、株のインサイダー取引という不正をした、と打ち明けた。

 その後、この不正行為を東京地検に自ら伝え、証券取引等監視委員会の強制調査を受けた。会社は懲戒解雇された。

 夫の片山肇被告(55)は2025年3月、金融商品取引法違反の罪で在宅起訴された。5月の初公判では、起訴内容を認めた。

 金融機関の要職にありながら、なぜインサイダー取引をしたのか。

 法廷での証言や証拠などからたどる。

企業500社を担当、重要情報を決裁

 被告は合併前の中央信託銀行…

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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2025年7月4日13時11分 投稿
    【視点】

    個人に資産形成への努力を求める制度が、このような事件につながる。「老後(20~30年間で生活費が1300万~)2000万円不足する(から資産形成をしておくのがよい)」という内容に人々の目が向かい過ぎて社会の規範・価値観か化し、資産形成のあり

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