夫はインサイダー取引で「貯蓄2千万円」 打ち明けられた妻の決断は
西田有里
夫の様子がおかしかった。食欲もない。元気もない。心配した妻が具合をたずねると、こう言った。
「体調は悪くない……。だけど、実は……」
三井住友信託銀行の部長だった夫は、株のインサイダー取引という不正をした、と打ち明けた。
その後、この不正行為を東京地検に自ら伝え、証券取引等監視委員会の強制調査を受けた。会社は懲戒解雇された。
夫の片山肇被告(55)は2025年3月、金融商品取引法違反の罪で在宅起訴された。5月の初公判では、起訴内容を認めた。
金融機関の要職にありながら、なぜインサイダー取引をしたのか。
法廷での証言や証拠などからたどる。
企業500社を担当、重要情報を決裁
被告は合併前の中央信託銀行…
- 【視点】
個人に資産形成への努力を求める制度が、このような事件につながる。「老後(20~30年間で生活費が1300万~)2000万円不足する(から資産形成をしておくのがよい)」という内容に人々の目が向かい過ぎて社会の規範・価値観か化し、資産形成のあり
…続きを読む