「石破カラー」11カ月の夢 夫婦別姓、政治とカネ…期待した人は
上地一姫 伊木緑 久保田一道
石破茂首相が、わずか11カ月あまりで退陣することになった。自民党内や野党との調整に力をそがれ、就任時に掲げた「石破カラー」の政策は宙に浮いたまま。進展を期待した人たちは何を思うのか。
熱心にメモを取っていた首相の姿
選択的夫婦別姓制度の実現をめざす一般社団法人「あすには」の井田奈穂代表理事は、首相就任前の石破氏の姿をよく覚えている。
自民党の「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」のメンバーとして、別姓カップルや別姓の家庭で育った子どもの話に耳を傾け、熱心にメモを取っていた。「政治は、困っている人の側に立つことが大切だ。そう分かっている人だと確信した。首相になったら進めてくれるはずと期待した」
しかし首相就任後すぐ、早期の実現を否定するようになった。保守系の団体が導入を阻止するよう自民党に圧力をかけている、と漏れ聞いていた。
もともと石破氏は党内の基盤が弱い。他の政策が進めにくくなるのを避けるため、選択的夫婦別姓の優先順位を落としたんだろう、と理解した。
「今回の参院選で、制度に後…