NHK会長人事と政治的中立 籾井氏「数カ月前に政治家から打診」

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後藤洋平
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記者コラム「多事奏論」 編集委員・後藤洋平

 NHKの稲葉延雄会長が来年1月に任期満了を迎えることを受け、任免権を持つNHK経営委員会で人事の議論が始まった。

 2008年まで会長を務めた橋本元一氏以降はアサヒビール出身の福地茂雄氏、JR東海出身の松本正之氏、三井物産出身の籾井勝人氏、三菱商事出身の上田良一氏、みずほフィナンシャルグループ出身の前田晃伸氏、そして日銀出身の稲葉氏と、1期3年ごとに外部からの登用が続く。

 経営委12人はメンバーが代わりつつも、松本氏を選んだ11年以降の人事で「政治的に中立」など共通の「次期会長の資格要件」を掲げてきた。

 しかし、近年のNHK会長人事において「政治的に中立」という資質は本当に重視されてきたのだろうか。直近の3年前の決定直後には読売新聞に「(岸田文雄)首相は水面下で稲葉氏に接触して口説き落とし、自民の麻生副総裁や菅前首相ら総務省経験者へ根回しを行った」との記事が出た。

 私が放送取材班の現場責任者時代、会長は14年1月に就任した籾井氏だった。今は趣味のゴルフを楽しむ日々の籾井氏に先日久々に電話をかけ、会長就任までの経緯を尋ねると「正式決定の3~4カ月前、ある人に突然『NHK会長に興味はないか?』と言われた」という。

「政治家が決めているんだなと……」

 すかさず、「ある人とは?」…

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この記事を書いた人
後藤洋平
編集委員|ファッション・メディア・文化担当
専門・関心分野
ファッション、メディア、文化