
自民党トップである総裁を決める総裁選。これまでは本命候補に多くの議員がなびく「無風型」が多かったですが、派閥の激突や思わぬ波乱が起きたケースもありました。過去の大勝負をキーワードとともにイラストで振り返ります。
- 2024/09/11
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- 立候補は、岸信介、石橋湛山、石井光次郎の3氏。第1回投票では岸氏が72票差でトップをとるが過半数に届かず、上位2名の決選投票へ。すると石橋氏258、岸氏251で石橋氏が逆転勝利しました。
- 石橋氏と石井氏は決選投票を見据え、3位候補が2位候補を支援する「2位3位連合」で合意していたのが勝利のカギとなりました。
- 石橋氏は首相に就任したが病に倒れ、2カ月後に退陣。岸氏が後継に就きました。
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- 立候補は、安倍晋三、石破茂、町村信孝、石原伸晃、林芳正の5氏。第1回投票は党員らによる地方票と国会議員票が投じられ、石破氏199、安倍氏141、石原氏96、町村氏34、林氏27。地方票165を得た石破氏が、地方票87の安倍氏を上回りました。
- しかし、決選投票では地方票は考慮されず、国会議員票だけで決まります。町村氏、石原氏を支持した議員が安倍氏支持にまわり、安倍氏108、石破氏89で安倍氏が逆転勝利となりました。
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- 立候補は、現職で首相の福田赳夫、大平正芳、中曽根康弘、河本敏夫の4氏。
- この総裁選では、党員らによる「予備選」で上位2人に候補者を絞ったうえで、国会議員による本選挙を行う仕組みを導入しました。
- 予備選の結果は、大平748、福田638、中曽根93、河本46。予備選で2位となった福田は本選挙を辞退しました。
- 現職の首相が総裁選で敗れたのはこの時だけです。
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- 立候補は、3選を目指す池田勇人氏、佐藤栄作氏、藤山愛一郎氏、他1名。
- 派手な金権選挙が繰り広げられ、様々な隠語が生まれました。対立する派から1人ずつ買収する「一本釣り」、一人の国会議員が2派からカネをもらう「ニッカ」、3派から声がかかる「サントリー」、全部の派からもらう「オールドパー」などです。
- 投票結果は池田氏242、佐藤氏160、藤山氏72。現職の池田氏が3選しましたが、同年秋に病に倒れて辞意表明。後継の佐藤栄作氏が話し合いで選ばれたのは、何億というカネをつかった金権選挙を繰り返すわけにいかなかったからとされています。
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- 立候補は、小渕恵三、梶山静六、小泉純一郎の3氏。
- 田中真紀子・元科学技術庁長官はこれを「凡人、軍人、変人」と評しました。地味な小渕氏、陸軍航空士官学校出身の梶山氏、異端児の小泉氏をうまく表現して流行語大賞にもなりました。
- 投票結果は小渕氏225、梶山氏102、小泉氏84。
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- 立候補は、小渕恵三、加藤紘一、山崎拓の3氏。投票結果は小渕氏350、加藤氏113、山崎氏51。
- 加藤氏は「さわやかな政策論争」と述べて立候補しましたが、「柔らかな人当たり」とされる小渕氏は「俺を追い落とそうとした」と激怒。党内では加藤氏に対して「昨年の総裁選で、真っ先に小渕支持を表明したのに、なぜ対抗して出馬するのか」との批判が強まりました。
- 翌2000年には「加藤の乱」が発生。野党提出の森喜朗内閣に対する不信任案に同調する構えを見せましたが、執行部から切り崩しにあい失敗しました。
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- 2000年4月2日、小渕恵三首相が脳梗塞(こうそく)で倒れ、緊急入院したことを受け、東京都内のホテルの一室に5人が集まりました。集まったのは、青木幹雄官房長官、森喜朗幹事長、野中広務幹事長代理、亀井静香政調会長、村上正邦参院議員会長の5人。ここで、後継を森氏にすることが事実上決まりました。
- 彼らは「五人組」と呼ばれ、「密室政治」の象徴として世論の強い批判を招くことになります。
- しかし、森首相は不人気で、1年余りで退陣を余儀なくされました。
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- 立候補は、小泉純一郎、橋本龍太郎、麻生太郎、亀井静香の4氏。
- 投票結果は小泉氏298、橋本氏155、麻生氏31(亀井氏は辞退)。
- もともと党員らの投票では橋本氏が有利とされていましたが、「自民党の派閥論理をぶっ壊す」と叫んだ小泉氏が、党員らからの圧倒的な支持を受けて勝利。派閥力学から世論の支持を重視する転換点となりました。