中村会長の近況についてのお知らせ

代表の吉田です。
COMITIA152は沢山のご来場ありがとうございました!

さて、今回の『ティアズマガジンVol.152』の中村会長のコラム「コミティア的日常」でも公表されたのですが、中村会長は昨年末より闘病中で、体調が思わしくない状態が続いています。こちらのブログも更新頻度が下がっており、申し訳ありません。
より多くの方に状況を知ってもらいたく、本ブログにて全文を引用します。

会長中村公彦のコミティア的日常
第9回:ただいま病気療養中です。

 昨年末より病気療養のために仕事をほぼお休みしています。この連載も前号は休載しました。
 いまここで自分が何を伝えるべきなのか頭を捻りつつ、まずはその経緯から書き始めようと思います。

 昨年2024年は怒涛のコミティア40周年記念YEARでした。一年を通しての記念企画や関連作業をやり終えた11月末、私は積年の肩の荷を降ろした気分でホッとしていました。今から思えば、この区切りを待つようなタイミングで病気が判明したのですから、皮肉なものです。
 明けて12月初旬。月一で受診している病院で血液検査したところ、前月と今月の間で数値が激しく悪化しており、即日入院して翌日には手術を行いました。そのまま2週間入院して精密検査した結果、消化器系の内臓に腫瘍が発見され、手術による切除は難しいとの判断で、医師と相談して自宅療養しながら抗がん剤治療をすることになりました。それが12月末の話です。わずか1ヶ月の間にこんなに症状が進むのか、と我が身のことながら驚きました。
 治療は週1回、点滴により抗がん剤を注入し、それを3週間行って1週間休むというサイクル。毎週水曜日に抗がん剤の点滴を行うと、その日の夜には発熱してダウン。翌日、翌々日と少しづつ回復しますが、ほぼ3日間寝込んでいる状態です。そうするとまず体力が落ちます。発熱が落ち着いて外に出歩けるようになっても、すぐに息が切れたり、足元がおぼつかずゆっくりとしか歩けません。体重も10kg以上減って、久しぶりに会う人には気付かれないほどです。足や腕の筋肉も落ちているので、見本誌が詰まった段ボールを運ぶのも辛くなりました。
 それでも抗がん剤治療では腫瘍そのものの根治は難しく、これ以上の進行を食い止めるのが主目的となります。時折急に体調が崩れたりするので、タイトロープを渡っている実感はあります。けれど少しでも今の状態を維持しようと辛くとも治療を続けています。

 昨年末のコミケット105は、10代の頃から45年振りに不参加にしました。けれど年明けの体調が良い時に、『ぱふ』時代の盟友だった「イワエもん」こと岩田次夫さんの墓参りに行きました。昨年『ぱふ』50周年を記念して刊行した関係者の証言集『ぱふの記憶』を墓前に供える、という名目で事務所ブログにも書きましたが、本当は私の病気の報告が目的でした。岩田さんは20年も前に50歳の若さで肺がんで亡くなりましたが、WEBに遺されている彼の入院日記を読み返し、最後まで希望を失わない意志の強さにあらためて励まされます。
 もう一つ、大きな病院に入院していて感じたのは、病院は命のゲンバであること。そこには様々な病気を抱えた患者さんがいて、医師や看護師の皆さんはその治療のために役割をきっちり果たしてスムーズに連携し、回復に向けて最大限のサポートをしてくれる。まさにプロフェッショナルの世界でした。患者各人の痛みや苦しみは外からは分からないけれど、皆が懸命に生きよう・生かそうとしている空間に身を置いて、自分もまた頑張ろうと思えたのです。
 こうして命に関わる病気に罹ると、「残された時間」を強く意識するようになります。もちろん、誰しもそれぞれの命の時間は限られていて、運命の時がいつ訪れるのかは誰にもわかりません。あまりに急な展開過ぎて受け止め切れない感情もありますが、自分の場合はあまり長くないかもしれない、という自覚はあります。それがあと1年なのか、3年なのか、5年なのか分からないけれど、いつか訪れるその時に向けて、目の前にある時間を慈しみつつ、生きることと向き合おうと思います。

 今の自分の治療に向けての何よりのモチベーションは、毎回のコミティアに参加して、新しい作品と出会うこと。そして事後に見本誌を読むこと。気になる作家の新作や続きが楽しみな作品をもっと読みたい、新しい才能を見つけたい、それが今の私の大切な生き甲斐になっています。私のことなど気にせず、作家の皆さんには自由に描いてもらいたいけれど、あなたの作品を待っている読者がここに一人生きていることは、心のどこかに置いてもらえたらと思います。
 こんな体調ですので、この連載も不定期掲載となりますが、また近況をお伝えできたらと考えています。私は不在でも、きちんとコミティアを運営・開催してくれる代表とスタッフのみんなに感謝。私も元気のある限り会場に行きます。もしお会いできたら、笑ってそれぞれの近況報告ができたらうれしいです。その時を心から楽しみに。
(コミティア実行委員会会長・中村公彦)

引用は以上となります。※こちらの原稿は2025年4月に書かれたものです。
このような状況もあり、中村会長にはできるだけ治療とやりたい事に専念して貰えるよう、この数ヶ月の間にさまざまな仕事の整理を進めていました。

そうした対応の一環として、中村会長は2025年6月3日付で有限会社コミティアの代表取締役を退任することになりましたので、あわせてお知らせいたします。参加者そして関係者の皆さまの長年にわたるご厚情とご支援に、心より御礼申し上げます。

後任には現・コミティア実行委員会 代表の私、吉田雄平が就任いたします。
これまでの経験を活かし、同人誌および関連業界のために一層精励いたしますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。

なお、コミティア実行委員会としての体制は変わらず、中村会長も「会長」のままであることには変わりません。
今回の152も開会宣言を行い(COMITIA143より開会宣言は中村、閉会宣言は吉田が担当しています)、コミティアの会場も元気にまわっていました。
書いている通り、コミティア会場などで会う機会があれば気軽にお声がけいただけると喜ぶと思います。

また、中村会長のお知り合いで状況を知らない方がいるようであれば、本記事のURLを共有いただけると助かります。

2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  
最新記事