念願の日本語対応を果たしても、ポンコツっぷりが消えないSiri。
先発リリースの英語圏ではさぞ盛り上がってるだろうにと思ったら、こっちも評判は今ひとつ。長年Apple(アップル)をひいきにしてきたブロガーのジョン・グラバー氏までもが、珍しくブチ切れてます。
「デモできる状態ですらないAIを、新iPhoneの目玉に据えてCM流すとかマジでありえない。
ジョブズ復帰前の、倒産寸前だったころのAppleみたいだ 」
発表から8カ月…未だに出ずじまい
Appleが独自開発のAI「Apple Intelligence」を発表したのは、昨年6月の開発者カンファレンスWWDCのステージで…でした。
音声アシスタントSiriもAIで賢く生まれ変わるって話だったのですが、リリースは遅れに遅れて、今年5月に予定された機能追加は大量のバグ発生で見送りに…。
「今年のWWDCで会話型Siri来るかも!」という期待ははかなく消え、今月7日にはAppleから「本格リリースは来年に持ち越しになる」と発表される事態となりました。
Apple株価は下向きになり、開発チームのテンションもダダ下がり中です。
飛ばしCMのとばっちり
これではいけないと思ったのか、Siri開発部門トップのロビー・ウォーカー氏は、チームの全員を集めてミーティングを開き、こう声をかけたとBloombergは報じています。
「みんな今の状況に憤りや屈辱を感じ、燃え尽き気味かと思う」
「周囲の同僚・家族・友人にどうなってんの?と聞かれて、これではまずいと感じている人もいるのではないか」
まあ、AI、AIの掛け声に乗せられて、できもしないことをできるかのように宣伝してハードル上げたApple自身のマーケティング手法にも問題ありますよね。Siri開発チームは、こうした見切り発車PRの犠牲になったともいえます。
Apple ran this iPhone 16 ad in September 2024 showing off the new AI Siri that understands personal context.
— Sam Kohl (@iupdate) March 7, 2025
It's now March 2025 and they just delayed the feature until sometime within the next year.
AI Siri is now an iPhone 17 feature that Apple promised for iPhone 16. pic.twitter.com/DnPnQonDgZ
これは去る9月に流れたSiriのCM。
今年6月登場予定というふれこみで、Apple IntelligenceのAI機能を、iPhone 16最大のセールスポイントとしていろいろ紹介してるのですが、来年iPhone 17のセールスポイントに持ち越しとなり、動画は何の説明もなくYouTubeから削除されてしまいました。
こんなふうに「Siri、2カ月前にカフェ〇〇のミーティングで会った男性の名前なんだっけ?」と聞いて答えられる機能は、Siriにはまだありません。単なるイメージ映像で、リリースはおろか、報道機関に触ってもらう段階にも達していないのです。
リリース時期はいつ?
いつ登場するのかについても、明確なタイムラインと呼べるものはありません。先のウォーカー氏も、社内ミーティングの席では「今夏リリースのiOS 19に組み込みたかったのだが、今夏出るという意味ではない」と言葉を濁すに留まっています。
SiriのAI機能の完成度は?
気になるAI統合型Siriの精度については、Bloombergによれば「制作側の意図通りに動作する頻度は、2/3から80%といったところ」だとのこと。これは使った人たちの感想とも一致しています。いずれにしても、まだ全然使いものにならないレベルってことですね。
世間はそんなにAIに期待していない
せめてもの救いは、ユーザーはAIにそんなに期待していないことです。
昨年12月に携帯転売ジャーナルのSellCellが行なったアンケートでは、「Apple最新のAI機能でスマホに加わる付加価値はゼロか微々たるもの」だと答えたiPhoneオーナーが全体の73%だったらしく、期待値はかなり低め。イギリスに至っては「毎日AIを使っている」と答えた人はわずか2%に留まっています。
ただAIを使うなら、Siriみたいな音声アシスタントで使うのが自然だし、その統合化にこんなに手間取るなんて、ある意味驚きではありますよね。
AIで遅れを取っているのはAppleだけではなくて、Amazon(アマゾン)もアレクサのAI化が遅れたりしてましたが、それでも一部端末限定で、少しずつリリースに漕ぎつけています。それだけにAppleの遅れが際立つ今日このごろ。
遅延の原因
Appleは秘密主義が災いして、社外のAI研究員との横のつながりがない。それで孤立して遅れてるっていう話もあるし、個人情報を大量に抱えすぎていて、下手なプロンプトかけると個人情報がダダ洩れになっちゃう。その対策で遅れているのでは?という声も、なんとな~く漏れ聞こえてきてはいます。なんとか他社に追いつければいいのですが…。