さて、みんなは職場で出会った異性と交際したり結婚したことがあるだろうか。今日の記事は、自然に出会って恋愛や結婚をすることが難しくなってきている世の中の状況を踏まえ、一つの提言をする内容となっている。
なお、この記事内容がどんな形で役に立つかは、少々難しいかもしれない。なぜなら、“会社や事業所などを経営する立場”の人に対して提言する内容だからだ。しかし、生きていれば様々な立場に置かれることは経験するものだし、物事の見方は一面的ではない。経営者、社長などにとどまらず、あらゆる集団における特別な役割というものは多数存在し、一時的にそういう立場になることはそう珍しいものではない。例えば、学校に通っていて、一つの授業で一時的に班分けをして一人リーダーを決めて発表をしたりすることがあるだろう。そういう身近な経験も含め、今回の記事が何らかの役に立てば幸いだ。
現代は、自然に異性と出会って恋愛や結婚をするのが難しい世の中だと言われる。この“自然に出会う”という形はいくつかの形があるが、従来は職場や学校で出会う形が特に多くを占めていた。しかし、職場や学校で特定の異性と恋愛関係になると、特に関係性が悪化した時に、人間関係や仕事や学業に大きな支障をきたすことになる。特に若い世代において、職場や学校で恋愛をするのを敬遠する傾向が強くなっている。
こうなることは、世の中の状況を見れば必然だろう。なぜなら、日本社会は『失敗を許さない』『失敗を嘲り笑う』風潮が非常に強いからだ。学校を卒業して学歴を得て、仕事をして一定の収入を得るまでには、長い時間と労力がかかる。その間、大きな失敗をすれば、“まともに生きていけない”という立場に転落することに直結してしまう以上、リスクを伴う恋愛や結婚を敬遠するのは当然であるといえる。
しかし、この状況はあまりにも望ましくない。マッチングアプリや街コンなどの現代型の出会いはまだ未成熟で問題が多く、多くの人が活用できる状況ではない。元々、自然に異性と出会う場の圧倒的多数は学校と職場であり、この最頻箇所である場の“出会いの可能性”を完全に潰してしまうのは、人間が生きていく上であまりにも損失が大きいと考える必要がある。(これと同時に、学校と職場の第一目的は学業と仕事なのは言うまでもない)
ここからは主に、職場を統括する立場に立った視点になる。現代の状況を踏まえて何が必要かといえば、職場のリーダーの姿勢だ。以下は、具体的な言葉の一例である。
『うちの職場は、社内恋愛に関しては特に禁止する規定はないよ。基本は、好きにしていい。ただし、社会人である以上、以下のことは必ず覚えておいてほしい。
まずは、仕事に支障がないよう、睡眠はよく取って生活リズムには気をつけるんだ。デートで夜更かしして、仕事の日に遅刻したりしないようにね。
そして、社内で恋愛がうまくいかなくても、なるべく早く気持ちを切り替えて仕事をするよう心掛けるんだ。故意に誰かを攻撃したり傷つけるようなことは絶対にしてはいけない。恋愛している他の人のことを無暗にからかったりするのもしてはいけない。私達は君たちが仕事をしやすい環境作りに努めるから、君たちは大人として分別ある行動をするんだよ』
営利を目的とする会社にとって一番避けたいことは、『恋愛によって従業員のパフォーマンスが落ち、業績低下に響くこと』である。そのために、従業員同士の人間関係の、トラブルを招くリスクになることは避けたいものだ。しかし、働くのは、感情を持った人間である。完全に男性100%、あるいは女性100%の職場でない限り、異性としての感情はいつでも起こり得るのは自然なことでもある。
そこで、代表者(責任者)がはっきりと事前に“意思表示”しておくことは、一つの有効な指標になる。雇用される側の立場に立つと、「好きにしていいけど、大人としての節度は忘れるなよ」という強いメッセージを事前に聞くことで、安心感も生まれ、同時に気が引き締まる作用もある。
人間の感情は様々な形でもつれ合う。恋愛に限らず、常にトラブルは付き物だが、人の集団の質は、代表者の姿勢と心構えで大きく左右される。
そして、「自分の行動に責任を持つ」「故意に人を傷つけるようなことはしない」この二つさえ心がけていれば、集団の中で致命的に居心地が悪くなるようなことはそうそうない。これから先、職場や学校で少しでも恋愛や結婚がしやすくなれば、現代よりも生きやすい社会に変わっていくことも可能だろう。
(作・イキルちえ)
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<参考文献>
山田昌弘著『結婚不要社会』(朝日新書)