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トランプ氏、対米投資への影響懸念 異例の配慮、日系企業に警戒感―米ジョージア工場の韓国人拘束

配信
米南部ジョージア州で建設中の韓国・現代自動車工場で取り締まりを行う当局者(アルコール・たばこ・銃器取締局のX(旧ツイッター)より)

米南部ジョージア州で建設中の韓国・現代自動車工場で取り締まりを行う当局者(アルコール・たばこ・銃器取締局のX(旧ツイッター)より)

  • 米シンクタンク「ブルッキングス研究所」のアンドリュー・ヨー上級研究員(同研究所提供・時事)

 【ワシントン、ニューヨーク、ソウル時事】米南部ジョージア州に韓国企業が建設中の工場で、韓国人や日本人の労働者ら300人以上が不法滞在の疑いで拘束、送還された問題で、トランプ米大統領が異例の配慮を見せている。「看板政策」の不法移民対策が、製造業復活に不可欠な対米投資に悪影響を及ぼすことを懸念しているためだ。米国内で外国人労働者へのまなざしが厳しさを増す中、日系企業にも警戒感が広がる。

米拘束の韓国人が帰国 チャーター機で、日本人も同乗

 ◇米高官が「遺憾」

 「米国への投資を脅かして遠ざけ、妨げるつもりはない。われわれは外国企業やその従業員を歓迎する」。トランプ氏は14日、対米投資の積極的な受け入れをSNSで表明した。「外国企業から学ぶべきだ」と語る言葉からは、「米国第一」とは異なる「謙虚さ」がにじみ出る。

 SNSへの投稿に先立ち、トランプ政権は韓国・ソウルにランドー米国務副長官を送り込んだ。ランドー氏は朴潤柱外務第1次官との会談で、韓国人拘束への「深い遺憾」を表明。再発防止や労働者へのビザ発給などの「制度改善」を確約し、韓国内に広がる不信感の払拭に努めた。

 米シンクタンク「ブルッキングス研究所」のアンドリュー・ヨー上級研究員はこうした米側の動きから「拘束への対応を誤ったことをトランプ政権が認識していることが分かる」と説明する。

 ◇支持者が通報

 ジョージア州の工場はバイデン前政権時、韓国の現代自動車が電気自動車(EV)やEV用電池の生産を目的に建設を開始。55億ドル(約8100億円)以上を投資し、8000人を超える雇用を生むとうたわれた。本国から労働者を呼び寄せ、建設作業が進められていた。

 だが、完成を急いだのか、労働者の多くが会議や契約交渉など商用訪問目的のB1ビザなどを利用し、就労ビザは取得していなかったことがあだとなった。摘発のきっかけは、トランプ支持者による移民税関捜査局(ICE)への通報だったと伝えられている。

 ◇身構える日系企業

 今回の摘発を受け、米国で事業を展開する日本のあるメーカーは請負先に対し、従業員のビザが適切なものかを確認するよう要請した。日本からの出張者にも、本来の目的と異なるビザで渡米しないよう改めて注意を呼び掛けている。

 担当者は「グレーなステータスでの入国はないはずだ」と言いながらも、一抹の不安をのぞかせる。一方で、「海外からの投資を促進しようという目標と矛盾するのではないか」と述べ、外国人労働者を狙った取り締まりに疑問を呈した。

 ヨー氏は、トランプ政権が「対米投資拡大と不法移民抑制の目標が相反しないよう、省庁間の政策調整を深める必要があるという貴重な教訓を得た」と語る。だが、トランプ氏の言動が予測不能なこともあり、「同様の事態が再発しない保証はない」と警告している。

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