ChatGPTの登場から数年。学術の世界では、AIツールが学生の不正行為をあまりにも簡単にしてしまうため、すっかり悪評が立ってしまいました。
しかし、だからといってAIツールが学問の世界で全く役に立たないわけではないのです。正しく使えば、実はもっと効率的に勉強する手助けとなってくれます。
ここでは、不正行為をすることなく、そして自分自身を欺くことなく、学業にAIを活用する5つの方法を紹介しましょう。
AI相手に「教える」ことで、自分の理解度が試される
私が以前おすすめした勉強法の一つに、研究テーマについて全く知らない人と会話をしてみる、というものがあります。
これは、自分の理解が足りない部分を特定するのに最適な方法です。誰かに説明しようと試みる過程で、概念と概念のつながりを自ら作り出す助けになり、専門家として説明できたときにはそのテーマに対する自信も深まります。
しかし、そんな「何も知らない素人役」になってくれる人がいつも周りにいるとは限りません。そんな時にこそ、ChatGPTが役立つのです。
私が大学院生だった頃、当時研究していた「地域ベースの健康介入」というテーマについて、ChatGPTに「教える」試みをしました。
そして、地域社会への関与の様々なレベルについて「議論」したのです。驚いたことに、ChatGPTは興味深い質問を投げかけてきました。それがきっかけで、自分の研究で調査できるような創造的な解決策を思いつくこともあったのです。
米国心理学会が指摘するように、このように言語モデルと対話を重ねることは、批判的かつ創造的に考える力を養うだけでなく、変化し続ける世界でテクノロジーを使いこなす練習にもなります。まさに一石二鳥と言えるでしょう。
大量の論文も一瞬!AIでサクッと要点をつかむ技
大量の論文やレポートを読まなければならない時、AIツールに要約させてみるのがおすすめです。
複数の研究の類似点や相違点を比較したり、論文をまとめるための要点を手早く集めたりする際に非常に便利。
試しに古い論文をChatGPTに読み込ませて要約を頼んだところ、わずか30秒ほどで61ページの文書を一つの重要な段落に凝縮してくれました。
私のお気に入りは「Google NotebookLM」
この作業で私のお気に入りのツールは、GoogleのNotebookLMです。AI全般に対しては少し慎重な私ですが、この無料ソフトウェアは知識の源というより「パーソナルアシスタント」に近い感覚で使えるため、頻繁に利用しています。
- ChatGPTとの違い: テキストボックスに質問を入力できる点は似ていますが、決定的に違うのは、自分が提供した資料からしか回答を生成しない点です。
- 使い方: PDF、リンク、YouTube動画など、ソースとしたいものをアップロードすれば、NotebookLMがその資料の整理を手伝ってくれます。
- 信頼性: ChatGPTはインターネット全体から回答を引っ張ってくるため、重大な間違いを犯すことがあります。一方、NotebookLMが生成する情報にはすべて引用元が付いており、クリック一つで資料のどの部分から情報を引き出したのかを正確に確認できます。
これはあなたに代わって作業をするのではなく、あくまであなたが集めた資料を理解し、整理するのを手助けしてくれるツールなのです。
カオスなメモが宝の山に?AIノート整理術
講義のメモが読みにくかったり、整理に困っていたりする場合も、ChatGPTが助けになります。
大学院時代、私は授業ごとにGoogleドキュメントを作成し、学期中のすべてのメモをそこに書き込んでいました。
しかし、学期末には必然的に各ドキュメントが乱雑でカオスな状態になり、見返すのがほぼ不可能になってしまったのです。
そこで実験として、「研究方法論」の授業で取った一学期分のメモを丸ごとChatGPTに投入し、最も重要な情報を抜き出すよう依頼してみました。
すると、中間試験の主要部分だった「研究計画と実施の9つのステップ」や「ベルモント・レポートの原則」を抽出してくれただけでなく、各試験の成績評価の割合まで思い出させてくれたのです。
自分に甘くならない!AI先生が作る最強の練習問題
単語カードや練習問題は、記憶から情報を引き出す「能動的想起(アクティブリコール)」を促すため、非常に優れた勉強法です。
これらの教材を自分で作ること自体、ノートを整理し、練習問題を書き出す過程がすでに勉強になっています。
しかし、自分でクイズを作るとなると、どうしても自分に甘くなりがちだと白状せざるを得ません(生徒と先生が自分自身だと、なぜかいつもA+が取れてしまう。不思議なものです)。
ここでも私がおすすめしたいのはNotebookLMです。こちらには、よりインタラクティブで使いやすい単語カードとクイズ機能が組み込まれています。
ボタン一つで、アップロードした資料に基づいた多肢選択式のクイズや単語カードのデッキを生成できます。
作成されたクイズやカードは、オンライン授業で受けるテストのようにクリック可能で、しかもあなたがアップロードしたものだけをソースとしています。
ここで2つの注意点
引用のでっち上げに注意
ChatGPTは時々、もっともらしい論文タイトルを作り、著名な出典元を偽って引用を「でっち上げる」ことで知られています。
これが、執筆やリサーチをAIに丸投げしてはいけない理由です。あくまで提案のソースとして利用し、自分で探し出して評価するようにしてください。
そうすれば、提示された文献が存在しないことにはすぐに気づくはずです。
URLの末尾をチェック
ChatGPTがソースへのリンクを提示する際、URLの末尾に/?utm_source=chatgpt.comというコードが追加されます。
たとえあなたが倫理的に、すべてのリンクをクリックして資料を熟読していたとしても、参考文献リストがChatGPTを使ったことが丸わかりのリンクで埋め尽くされているのは、非常に印象が悪いものです。
読者はAIがすべてを書いたとさえ思うかもしれません。ですから、課題を提出する前に、文書内で「chatgpt」という単語を検索し、URLに含まれるこの厄介なコードを削除することをおすすめします。
疑問符以降をすべて切り取ってもリンクは機能しますし、あらぬ疑いをかけられることもなくなるでしょう。


























