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前回のお話
今回は鳥が好きらしい実家の父のお話です。
実家をリフォームする前、庭には柿の木があり、小鳥用に父がいつも柿の実を残していました。
柿の実を食べ尽くした後、今度は千両(正月飾りによく使われる植物)を食べに来る小鳥たち。鳥さんたちにとって赤い千両の実より黄色の実の方が美味しいらしく、黄色の実からどんどん無くなっていっていきます。
雀以外にも、ウグイスやメジロ、シジュウカラ、ヒヨドリ等が、柿の木や梅の木等に止まりにきます。
「ポいもー、ウグイス来てるぞー」
「ウグイスにゃ?」
おじさんとねこさん、縁側で鳥を眺めてる…なんかほっこり。
と、思いきや。
鳥の気配を感じるたびに家の窓から、オペラグラスで小鳥たちを覗き込む父親。
道行く人から見れば、何をオペラグラスで見ているか分かったものじゃない。これでは変質者同然。
変質者といえば、前に出先で犬を見かけた父が、遊んで貰おうと犬に近寄って行ったんです。が、犬しか見えていない父は、自分と犬との間に若い娘さんが歩いていることにも気づかず。
若い娘さん、明らかに”自分のことを執拗に見つめてくる、変なおじさんが近寄って来ている”という怯えた目でうちの父を見ていました。
悲しいね。
ある日曜日の朝。
向かいの家の背の高い木に、キツツキが来ていました。
キツツキなんて後にも先にも、近所で見かけた事がないので、朝から父とポあねが騒いでいる…
声がする…
「コゲラかな?」
確かに聞こえる“カンカン、コンコン”という音。
「キツツキがこんなこと所に?!え~凄い!」
内心 ”初めて聞く音ー” と思いつつ日曜の朝、眠すぎて起きれないポいも。
「ポいもちゃん来てごらん。キツツキだって」
「うーん」
見たい…
でも眠い…
ポあねたちと一緒に見ていたらしいぽんちゃん。ポいものベッドに上がって来る気配がある。
キツツキがどんなだったかの報告でしょうか。
「うんちしてきた?」
ぽんちゃん、そのまま気持ちよさそうに寝ています。
「…起きようかな」
もうちょっと早くケツを向けてくれてれば、キツツキ見れたのに。
そうそう、ぽんちゃんも父と同じく鳥さん好きだったね。
「キツツキは可愛かったですか?」
「あのね、つかまえられなかったにゃ」
うーんそうか。それは残念。