⚫︎本物語を最初からご覧になりたい方はこちら
⚫︎物語の概要をご覧になりたい方はこちら
「Wi-Fi使わせて欲しいんですけど、パスワード教えてもらえます？」
「はい？」
Wi-Fi？
買い物帰り、家に入ろうとしたときに、突然見知らぬ男性に声をかけられたポいも。
「はあ」
「半年前に」
（半年前？けっこう前だな）
「いえ、はは」
ごめんなさい。
荷物置いてまで、あなたと長話するつもりはなくて…
「このマンションって、Wi-Fiの設備の有無がどうなっているのか分からないんですけど」
ポいもが住む場所は、隣人との交流がほとんどない地域。不動産屋にも隣人への引越しの挨拶は、不要と言われていました。なので分からないことがあれば、顔も見たことのない隣人に聞くよりは、管理会社に聞くのが普通。
少々前に某人気俳優が酔っ払って隣人の家に侵入し、警察に通報されたというトイレ事件。
当時「隣人の顔も知らないの？」的なことが世間で話題になっていましたが、私も本当に隣人のことは知りませんでした。隣人、及びマンション内の住人を覚える時は、よほどインパクトがある人か、危険な香りがする人の時など…
「Wi-Fiですか？わたしはプロバイダーに連絡しました。ルーターとかが送られてきたので自分で設置して…」
「自分でですか。金額ってどのくらいでした？」
「わたしの場合は無料でしたけど」
「そうですか。わたしはWi-Fiがなくて困っていまして」
「でしたら、プロバイダーの方に連絡してみたらどうでしょう」
「連絡してみたんですけど、2週間かかると言われまして」
半年前に引っ越してきたのに、今頃？
じゃあ今までどうしてたんだろうか？ってか半年我慢したなら、2週間くらい待てばいいのに。連絡済みなら、値段だってすでに知っていたのでは？
それにWi-Fiはなくても、携帯は使えるはず。初めましての隣人に図々しめのお願いをするよりは、おとなしく待っていればいいのに。ポいももiPadとかWi-Fi下でないと使えない設定にしてるけどその場合、半年も使えないまま放置しないよね？
「とりあえず荷物置いてもらって」
「それでWi-Fiのほう使わせていただけないでしょうか？隣ならパスワード教えてもらえれば、使えると思うので」
「え？えっとー。それはちょっと」
「お金は払わせてもらいますから」
「いえ、お金とかは別に良いんですけど」
他人にWi-Fiを使わせるデメリット
・セキュリティリスク
他人にWi-Fiネットワークにアクセスされることで、ネットワークセキュリティが脅かされる可能性がある。
・速度の低下
多くのデバイスを同時に接続させると、インターネット速度が低下することがある。
・法的責任
他人が違法ダウンロードなどを行った場合、その責任がWi-Fi所有者に問われる可能性がある。
「申し訳ないんですけど、パスワードを教えるのは…」
「困ったな。使わせてもらえないですか？」
「すいません」
「お金はきちんと払うので」
「すいません」
「いやあ、困った…」
「申し訳ないです」
少ししつこめに、困ったをアピールしてくる隣人男性。
っていうかさ、思ってたんだけどあなた。
その人なに？お友だち？その人に色々聞けばいいんじゃないの？
高性能なルーターとかなら、上の階の人でも使えるらしいよ？なのになんで初めましてのわたしに？
あと、他にも思っていたことがある。
初めましては初めましてなんだけど
わたし
あなたの顔
みたことあるかも。
ドアスコープ越しに。
2023年7月の記事 「町の治安 その２」参照
町の治安 ・その1 ・その2 ・その3
ある夜のこと。
９時過ぎたころかな。
のんびりテレビを見ていたら、ドアをガンガンと叩く音が聞こえてきました。
インターホンがあるのに。
物騒な世の中なので、宅配の人でもない限り出ないことにしているポいも。でも一応どんな人が来たのか、そーっとドアスコープから覗いて見ることに。
気配を消していたのにしゃべりだしている。
「お聞きしたいことがありまして」
「…」
そのまま気配を消して、黙っていたらようやく去っていった隣人と名乗る人物。その隣人は、ドアスコープ越しでチラ見したのが最後。本当に隣人だったのかどうかすら分からぬまま、今日に至ったのでした。
で…
「お前あの時のあいつだよね？」
わたしこっそり見てた、あなたの顔。
あれ、半年前の話じゃないですよね？
今2024年11月だけど、きみが訪ねてきたのは2023年の6月ごろ。
何を聞きたかったんだろうと思ってたんだけど、まさかWi－Fiのこと？当時も今も？
ポいもの隣人。
本当にWi-Fiが使えず、純粋に困っていたのかもしれない。
優しい人ならWi-Fiくらい無料だし、貸してあげていたのかもしれない。
わたしは自分が不親切なのか…それとも用心深いだけなのか…
なんだかよく分からない世の中になりました。
