OSSAJセミナー「被災地におけるOSS」
    平成24年5月24日(木)
       豊嶋   茂一
      宮城県 多賀城市
OSSで構築した被災者管理システム

1. 多賀城市の紹介
2. 多賀城市が直面したICT課題
3. 被災者相談窓口の開設
4. 被災者管理システムの構築
5. 東日本大震災を振り返って
6. 震災から1年以上が経過して
2
1.多賀城市の紹介
  人口・面積・職員数



        仙台市と塩釜市・
        松島町の中間に位置



    多賀城市(歴史・文化財のまち)
    人 口:61,884 人
    世帯数:24,842 世帯
    面 積:19.65 平方キロメートル
    職員数:正職員471名・非常勤163名
    友好・姉妹都市:
    福岡県 太宰府市・山形県 天童市・奈良県 奈良市
3               (平成24年4月30日現在)
1.多賀城市の紹介
  名所・旧跡




↑多賀城跡


        多賀城碑→

4
1.多賀城市の紹介
  名所・旧跡




↑沖の井(沖の石)


            末の松山→

5
1.多賀城市の紹介
  被害状況:廃棄物・仮設住宅・支援
 災害廃棄物
    約29万立方メートル
    (25mプール約440杯分)
 仮設住宅
     入居戸数/総戸数            =      365/373
 支援
     人的:約15,900人
     物的:約1,420団体、約640人

           詳細はこちら
           http://www.city.tagajo.miyagi.jp/saigai/hisaizyouhou.html
6                                      (平成24年4月30日現在)
1.多賀城市の紹介
  被害状況:住家被害
             津波        地震          計
    全   壊    1,676       76       1,752
    大規模半壊    1,506      126       1,632
    半   壊        885   1,207      2,092
    一部損壊     1,070     4,874      5,944
    合   計    5,137     6,283     11,420
                               全世帯数:24,842




                       大規模半壊以上は津波による
     半壊以上:約22%         被害が90%超
7                        (平成24年4月30日現在)
1.多賀城市の紹介
  被害状況:津波規模
              津波の高さ
               仙台港:約7m
               市 内:約2~4m
              浸水面積
               約6.62平方キロメートル
               (市域の約3割)
              犠牲者
               188名
               (男112名、女76名)

              #   市域で海に面しているの
              #   は約300mだが、砂押川
              #   下流から上流へ逆流し、
              #   被害拡大

8             (平成24年4月30日現在)
1.多賀城市の紹介
  被害状況:浸水地域の記録
                                         至 塩釜・七ヶ浜
                                            松島・石巻




           至 仙台・名取・岩沼                   仙台港

(多賀城市HPにて動画・写真を公開中) http://www.city.tagajo.miyagi.jp
9
1.多賀城市の紹介
  被害状況:八幡




10
1.多賀城市の紹介
  被害状況:国道45号沿




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1.多賀城市の紹介
  被害状況:町前・仙台港付近




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1.多賀城市の紹介
  被害状況:桜木




13
1.多賀城市の紹介
  被害状況:大代




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2.多賀城市が直面したICT課題



①    情報発信手段がない!物資がない!
②    データ損失を防ぎ業務継続性を担保!
③    端末配備とネットワーク構築が困難!
④    情報共有手段を確立し混乱を防ぐ!
⑤    災害発生時点での住民データ保存!
⑥    災害時に利用できるシステムの準備!
                (OSSで構築)
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2.多賀城市が直面したICT課題

     日        月         火        水        木          金        土

                                                3/11     12
              復電
13       14        15       16       17         18       19
                                              インター
     ① 情報発信手段がない!物資がない!
                                              ネット復旧
     ② データ損失を防ぎ業務継続性を担保!

20       21        22       23       24         25       26
     ③ 端末配備とネットワーク構築が困難!
     ④ 情報共有手段を確立し混乱を防ぐ!

27       28        29       30       31         4/1
     ⑤ 災害発生時点での住民データ保存!
     ⑥ 災害時に利用できるシステムの準備!

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2.多賀城市が直面したICT課題
 ①情報発信手段がない!物資がない!
     背景               課題          震災時の対応
NTT交換局がダメージ      HPによる情報発信不可    仙台市内個人宅でHP更新
 電話、インターネット回     被害状況や支援物資     燃料確保、移動の必要
  線が不通(3/17復旧)     の呼びかけできず孤立     があり更新は1回/日
 携帯電話もつながり難      情報入手          回線復旧後、全国から
  い状態              テレビ、ラジオ、新聞     支援物資が続々到着


 現在:情報発信手段の二重化
 専用回線・衛星通信端末
 Webサーバの冗長化(未定)
 支援物資が全国から届くが…
 避難所への仕分け・配給作業に多数の従事者が必要
 昼夜問わず届く支援物資の保管場所確保・在庫管理
 負担軽減の手段が必要(POSシステム等)
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2.多賀城市が直面したICT課題
 ②データ損失を防ぎ業務継続性を担保!
     背景             課題             震災時の対応
データセンター利用済      特になし!           特になし!
 H22.10より、住基サー  インターネット回線不通    バックアップ機からデー
  バをデータセンターへ      の期間はシステムが使      タ抽出、加工
  移行              用できない          ハウジングによるシス
 汎用機からWebパッ     庁舎内サーバルームは      テム構築メリット再認識
  ケージシステム         免震床のため無事       業務継続性が第一

 現在:データセンター利用が原則
 業務継続性に大きく貢献
 年額コスト平滑化
 メリットばかりではない
 インターネット回線の利用前提
 バックアップ機をイントラ内に要準備
 緊急時を想定したバックアップ・リストア手順
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2.多賀城市が直面したICT課題
 ③端末配備とネットワーク構築が困難!
     背景             課題          震災時の対応
震災対応窓口の設置      端末配備とケーブル配線    無線LANの導入
 廊下、物置等を使用し    端末数に応じたLAN    端末数増やどんな場所
  た業務展開が必要       ケーブルとハブ、電源     にも柔軟に対応可能
 罹災証明、義援金申請     確保が困難         職員の負担軽減
 種々の臨時相談       ケーブル引き回し▲     要セキュリティ対策
                機器自体の枯渇

 現在:柔軟なネットワーク構築環境が可能
 無線LAN親機・子機
 LANケーブル、ハブ、電源ドラム
 水・食糧と同じく機器を『備蓄』
 無線LAN利用のために
 暗号化、セキュリティ対策
 常設は不要、設定知識を持つこと
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2.多賀城市が直面したICT課題
 ④情報共有手段を確立し混乱を防ぐ!
     背景             課題         震災時の対応
連絡手段が貧弱        情報格差         簡易メルマガ運用
 避難所への連絡手段     職員間で持つ情報に差  職員の携帯電話メール
  が携帯電話のみ        分があり、混乱      アドレス収集にQRコー
 本部会議の決定事項     特に避難所配置職員は   ド利用
  が全職員に情報展開さ     完全に孤立       本部決定事項
  れない           住民への説明責任▲    を手動送信

 現在:安否確認・情報配信システム導入予定
 非常時に職員を緊急招集する手段確立
 最新情報を正確、公平に職員へ展開
 初動の組織体制をいかに迅速に整え、どう維持するか
 職員ありきの復興 → 使い捨て・自己犠牲 → 負担軽減
 決定権を持つ経営層の意識改革
  (○○は会議室で起こってるんじゃない!)
20
2.多賀城市が直面したICT課題
 ⑤災害発生時点での住民データ保存!
     背景             課題            震災時の対応
支援制度の適用条件      異動処理してしまった       異動全件を加除
 3.11時点で登録されて  災害後は異動届が増       転出者を復元
  いる住民リストが基礎と    加               転入者も取り除く
  なる            3.11時点の住民リスト    バッチ処理では不完全、
 生活実態が確認できれ     を保存せず3.31まで放     要目視確認
  ば支援制度利用可       置

 現在:災害発生時の住民データを一元管理
 あらゆる支援制度の基礎データ(マスタ)
 関連システムを構築する際の材料
 システム復旧後に必ず保存
 電気→回線→システム復旧、その後の処理を忘れずに
 被災者生活再建支援制度 申請期間
   (基礎支援金 25ヶ月 / 加算支援金 85ヶ月)
21
2.多賀城市が直面したICT課題
 ⑥災害時に利用できるシステムの準備!
     背景             課題          震災時の対応
被災者相談窓口開設      対象が膨大かつ長期      職員負担を軽減するには
 支援制度の説明や相     相談者殺到が予想      相談内容を記録
  談受付業務         被災者生活再建支援     相談履歴を残す
 フロア全体を利用した     制度の申請は長期間     履歴確認しながら受付
  大規模運用         一元管理、情報共有す
                 る手段がない




被災者相談窓口の受付で使える
 『何らかのシステム』が必要

22
3.被災者相談窓口の開設
  目的と概要
 目的
   ヒアリング(input)
    • 罹災状況、避難所、現在の連絡先等
    • 上記以外にも話を聴き、相談者の不安を和らげる
   制度説明(output)
    • 被災者生活再建支援制度、義援金、仮設住宅等

 概要
   平成23年4月1日(金)から、現在まで継続中
   受付 31,140件(相談者一人当り平均3~4回)


23           (数値は延べ数、平成24年4月30日現在)
3.被災者相談窓口の開設
  会場レイアウト
       複合機                複合機

                                        (後衛)
       被災者生活   仮設住宅       仮設住宅    住宅の   専門
 弔慰金    再建支援     A          B    応急修理   ブース


       複合機                複合機
                                        (前衛)
                                        後衛へ
 義援金   一般窓口    一般窓口       一般窓口   一般窓口
                                        振り分け
申請受付     A       B          C      D
          混雑時は整理券を配布
          各窓口に職員2名、無線LAN接続のPC1台
          複合機4台(証書のコピー、資料の印刷等)
 義援金
申請受付      前衛は一次フィルタとして相談内容に基づき
          後衛の専門ブースへ振り分けを行う
                      進   路
24
3.被災者相談窓口の開設
  会場の様子




25
3.被災者相談窓口の開設
 窓口開設前の課題:猶予はたったの5日間
3/27(日)   3/28(月)   3/29(火)   3/30(水)   3/31(木)   4/1(金)

                    猶予5日間                         窓口開始



 窓口開設を知ったのは5日前
  『窓口業務に使えるシステムはないか』
  情報システム部門としては  寝耳に水
      職員間での情報共有不足
          (震災で庁内全体が混乱)
     どんな機能が必要なのか?
     5日間でどこまでできるのか?
26
3.被災者相談窓口の開設
 窓口開設前の課題:要求仕様
3/27(日)   3/28(月)   3/29(火)   3/30(水)   3/31(木)   4/1(金)

                    猶予5日間                         窓口開始

 窓口業務に求められる機能
    住基データに相談記録機能付加、一元管理
      ヒアリング(input)、制度説明(output)
      •   罹災状況、避難所、現在の連絡先
      •   被災者生活再建支援制度、各種貸付金
      •   義援金、仮設住宅、住宅の応急修理
    相談は複数回受付可能、履歴を残す
    複数の相談窓口から同時アクセス
    相談内容は機密情報、要利用者認証
    長期的な受付が可能なシステム
27
3.被災者相談窓口の開設
 窓口開設前の課題:やるしかない!
3/27(日)   3/28(月)   3/29(火)   3/30(水)   3/31(木)   4/1(金)

                    猶予5日間                         窓口開始

 『相談内容の記録』『履歴を残す』
  相談履歴のデータベース化に特化した
     『被災者管理システム』の必要性
           ないものねだり。
      ノウハウ、時間、依頼先、お金・・。
      窓口業務に必須だが、資源は人員だけ。
             どうする?
 5日間でやるしかない!やりきる!
28
4.被災者管理システムの構築
  調査
3/27(日)    3/28(月)   3/29(火)   3/30(水)   3/31(木)   4/1(金)
 調査        評価・レビュー・選定           構築・開発・テスト          窓口開始

 システムの要求仕様と実現手段
  複数の窓口から同時アクセス、相談履歴記録
        CSS:クライアントサーバシステム
        DBMS:データベース管理システム
  時間ない!依頼先なし!イチから開発無理!
        既存システム・パッケージ組合せ、派生開発
        オープンソースだとベター(ライセンスフリー)
             やるしかない!とは言ったものの…

               『藁をも掴む思い』
29
4.被災者管理システムの構築
  調査
3/27(日)    3/28(月)   3/29(火)   3/30(水)   3/31(木)   4/1(金)
 調査         評価・レビュー・選定          構築・開発・テスト          窓口開始

 できたらいいな
            サーバ
            住基データをベースに
              • 相談履歴の記録機能を追加
              • 避難先、各種支援制度の申込状況更新

          Read/Write、利用者認証


                         クライアント:窓口端末
                         • 複数の窓口から同時アクセス
                                    30
4.被災者管理システムの構築
  評価・レビュー・選定
3/27(日)   3/28(月)   3/29(火)   3/30(水)   3/31(木)   4/1(金)
 調査       評価・レビュー・選定           構築・開発・テスト          窓口開始

 調査結果:いずれもオープンソース
      被災者支援システム(NICC:西宮市情報センター)
       1995 M7.3 阪神・淡路大震災
      Sahana (Sahana Japan Team)
       2004 M9.1 スマトラ島沖地震

          → 物資、家屋被害、仮設住宅、罹災証明
            ボランティア、地図連動等、充実した機能
     しかし…『相談履歴記録』の機能は持たない!
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4.被災者管理システムの構築
  評価・レビュー・選定
3/27(日)   3/28(月)   3/29(火)   3/30(水)   3/31(木)   4/1(金)
 調査       評価・レビュー・選定           構築・開発・テスト          窓口開始

 様々なアクションをトリガにその結果を記録す
 ることは、どこにでもある一般的な業務
  例1:小売業
      商品の販売履歴、営業活動の進捗状況管理
  例2:行政
      収納・生活保護・介護支援・障害福祉・訪問
要求仕様を満たすのは
「顧客関係管理システム:CRMシステム」
             (CRM:Customer Relationship Management)
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4.被災者管理システムの構築
  評価・レビュー・選定
3/27(日)   3/28(月)   3/29(火)   3/30(水)   3/31(木)   4/1(金)
 調査       評価・レビュー・選定           構築・開発・テスト          窓口開始

 SugarCRM:オープンソースCRMシステム
   Webブラウザで動作、問合せ管理・営業支援ツール




取引先・顧客に対して、いつどんな営業活動・商談を行ったか等
の全ての記録を履歴として一元管理する機能を持つ。
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4.被災者管理システムの構築
  評価・レビュー・選定
3/27(日)      3/28(月)   3/29(火)   3/30(水)   3/31(木)   4/1(金)
    調査       評価・レビュー・選定           構築・開発・テスト          窓口開始


       方針決定:SugarCRMのサブセット
           標準では多機能さ故に誤操作を誘発
           必要な要素は次の通り
           取引先 :相談窓口を訪れた被災者
           営業担当:応対職員(要利用者認証)
           営業活動:相談内容(input/outupt)
            最小限の機能にカスタマイズ
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4.被災者管理システムの構築
  構築・開発・テスト
3/27(日)     3/28(月)   3/29(火)    3/30(水)   3/31(木)   4/1(金)
 調査         評価・レビュー・選定             構築・開発・テスト         窓口開始

 環境構築
    S/W
      SugarCRM(SugarCE         5.2.0k)
      XAMPP(v1.7.4)
         PHP(v5.3.5), Apache(v2.2.17), MySQL(v5.5.8),
          phpMyAdmin(v3.3.9)
      デバッグ:Eclipse(v3.7,Indigo)+PDT / Pleiades
      Ver.管理:Apache Subversion(v1.6)
    H/W
      PentiumE2160(1.80GHz), Memory2GB, RAID5
      Windows 2003 Server, ApacheBenchで負荷試験
35
4.被災者管理システムの構築
  構築・開発・テスト
3/27(日)   3/28(月)   3/29(火)   3/30(水)   3/31(木)   4/1(金)
 調査       評価・レビュー・選定           構築・開発・テスト          窓口開始

 住基データをインポートしたものの…
   基本的な設計構造・仕様が把握仕切れず
   コメントアウトするコードを探すのに四苦八苦
   GREP, コメントアウト, 動作確認の試行錯誤
 条件が整っていたためチャレンジできた
   電源、ネット回線は復旧済(2011/3/14)
   サーバルームは免震床だったため無事
他の職員が体を動かしている間、ずっと画面とにら
めっこ。(災害と戦うための武器を精製)
36
4.被災者管理システムの構築
  動作環境・開発・デバッグ環境概要図
        WindowsServer2003(既存、免震床設置)
        SugarCRM(サブセット)
        Apache:Webサーバ(クライアントサーバシステム)
               PHPソースを設置(ブラウザ動作)
        MySQL:データーベース管理
               住基データ取込、属性追加
  Read/Write、利用者認証   デバッグ後にソース更新
                     データベースのメンテナンス




 クライアント:窓口端末          開発・デバッグ端末
ブラウザ動作, OS不問.          WindowsXP以上
数世代前のPCでもOK.         Eclipse:統合開発環境
4.被災者管理システムの構築
  構築・開発・テスト
3/27(日)   3/28(月)   3/29(火)   3/30(水)   3/31(木)   4/1(金)
 調査       評価・レビュー・選定           構築・開発・テスト          窓口開始


 操作は3ステップ!
 1.検索
   相談開始時:名前、住所、生年月日等で検索
 2.相談履歴追加:複数回の相談に対応
      ヒアリング(input)、制度説明(output)
 3.相談内容の写しを渡す:相談者の安心
      次回以降、以前と異なる職員が対応
       →履歴参照しながら相談受付、負担抑制
38
4.被災者管理システムの構築
  デモンストレーション

    被災者管理システム デモ環境(ダミーデータ)

    動作環境:下記ブラウザで確認済
        Internet Explorer 7.0以上
        Google Chorome 10.0以上




    39
4.被災者管理システムの構築
  被災者相談窓口開始
3/27(日)   3/28(月)   3/29(火)   3/30(水)   3/31(木)   4/1(金)
 調査       評価・レビュー・選定           構築・開発・テスト          窓口開始


 窓口開始初日:波乱の幕開け
  次々に押し寄せる被災者
  整理券を配布したが底をつく
  被災ストレス、不満爆発、怒号
  応対職員:ローテーションしていた
 が特殊な窓口業務で疲弊
新たな混乱を招いてしまった…
      窓口開設が最適解だったのか?
40
4.被災者管理システムの構築
  被災者相談窓口開始
3/27(日)   3/28(月)   3/29(火)   3/30(水)   3/31(木)   4/1(金)
 調査       評価・レビュー・選定           構築・開発・テスト          窓口開始


 最適解とするための武器:被災者管理システム
  応対職員への操作説明(開始前1.0h)
  一切のトラブルなく安定稼働
  機能改善、追加はカスタマイズ対応
 もしシステムがなかったら・・・大混乱
  相談内容をメモ?(紙かオフィスソフト)
  共有・一元管理できず、信頼性の低い記録
  履歴を残せず、何度も同じ話を聴く
41
4.被災者管理システムの構築
  現在の稼働状況
 被災者管理システム                  照会

   # 相談履歴                   更新
               データ取込
罹災証明発行システム      義援金管理システム
                                 職員

被災者生活再建支援制度     仮設住宅、応急修理   •ブラウザ動作
      # 申込・進捗状況を固有番号で紐付け
                            •利用者認証

被災者の総合照会ツールとして活躍
 • 情報共有、一元管理、職員負担軽減
 • 被災住民に対するサービスの質向上
 42
4.被災者管理システムの構築
  OSSで構築したことのメリット
 ライセンスフリー
 クライアントの急な増設にも柔軟対応
 商用ソフト:要ライセンス管理で負担増
 情報入手が容易
 先駆者がネット上で情報を公開
 商用ソフト:サポートを受けられる状況では
     なかった
 動作環境を選ばない
 ブラウザ動作:特別なソフトの個別インス
     トールが不要で運用負担減、数世代前のPC
     でもサクサク動作
43
4.被災者管理システムの構築
  稼働後の課題
 相談履歴以外のデータが最新でない
    義援金, 各種貸付金, 仮設住宅, 応急修理等
     →これらのシステムは、別管理システムで運用中
      回避:定期的に最新データをシステムに取込む

 住民登録外の取り扱い
    そもそも取り込んだデータ内に存在しない
        回避:システムに相談対象者の新規追加機能を追加
        →住民登録外データの固有番号管理が未だ問題
 住基連携できない
   転入・転出をリアルタイム反映できず、本人か
     らの申告がなければ最新の情報が不明
稼働後もデータの新鮮さを
    保つためのメンテナンスが必要
44
4.被災者管理システムの構築
    被災者相談窓口のあるべき姿
 当時100点、振り返れば60点
    4/1開設は早過ぎ
      制度理解不足で玉虫色の回答
      体制未整備で混乱(誰が何をいつまでに)
        一元管理・情報共有のための管理手段を提案
 100点に近付くには?今だから言えること
    情報システム部署の役割:情報展開リーダー!
      現場で臨機応変かつ最適な提案・指示を出す
    公平, 正確, 迅速:知らない・知らせないは大罪
        デマ・誤った情報が広まることを抑制
    45
5.東日本大震災を振り返って
     災害を相手にした戦争(本部)
 『災害』を相手にした戦争
   情報戦が肝要、受け身では勝てない
      分からないからできない、は甘え
      「できないからやらない」「できるけどやらない」
      本当に勝ちたいなら自分から打って出る
    目の前の敵だけと戦っていては勝てない
        裏に潜む新たな敵・問題から目を逸らさない
    武器・道具を準備した事前訓練、本番で発揮
      予算とりました、導入しました、それで終わり?
      避難訓練?消火訓練?それで終わり?
      使わない武器・道具なんて金食い虫、負の資産
      武器・道具を使えない・使おうと努力しない職員
46
       なんて…
5.東日本大震災を振り返って
     災害を相手にした戦争(本部)
 指揮系統を明確・強固に
   リーダー、一般兵の役割を明確に
      決定・周知:誰が、いつ、どうやって
      現場を鈍化させ混乱を呼ぶリーダーは失格
      普段のプロセスをショートカットする体制も必要
    現場を知る頭脳労働者が必要
        力仕事だけではNG、焼畑農業はナンセンス
        目標は何か、ゴールはどこか、周囲を誘導
    自己犠牲が美徳は大きな間違い
      しっかり食わせる、休ませる、ローテーション
      リーダーがチーム内の負荷分散管理、意識強化
      監視し合う体制は崩壊を招く、人に優しく
47
5.東日本大震災を振り返って
     災害を相手にした戦争(避難所)
 連携強化:自衛隊、消防、警察、自治体職員
   水・食料・備品の備蓄
      避難者が殺到、必ず不足する、配給にも限界
      熱源、毛布、生理用品、離乳食、アレルギー
    衛生環境を整備すること
      トイレは流れない、紙もない、電気もない
      居住エリアは土足厳禁
    弱者への配慮(弱者の定義も重要)
      乳幼児:可能であれば限定エリアを設ける
      高齢者:指定福祉避難所への引き渡しも視野に
48
5.東日本大震災を振り返って
  災害を相手にした戦争(罹災証明)
 罹災証明発行には家屋調査が必要
    家屋被害判定の明確な根拠
        調査依頼:「来るのが遅い!」
          人が足りず、1か月待ちがザラ
          その間に自分で修理できてしまう、写真判定

        判定結果:「厳し過ぎる!」
          不服申し立て→再調査の繰り返し
          表に出ないけれど…ゴネ得

プロフェッショナルの職員を大量投入しない
とさばききれず、早期に応援が欲しい業務
49
6.震災から1年以上が経過して
    復興元年の体制・動き
 震災復興関連の部署新設
  生活再建支援室:被災者への支援
  復興建設課:公共施設や道路の整備
 自治法派遣職員の受け入れ
  26名、北は秋田県、南は沖縄県、雰囲気一新
 非常勤職員・臨時職員の大量任用
  前年度ベース   50%増
     大量の復興業務に対応
50                 (平成24年4月30日現在)
6.震災から1年以上が経過して
    復興期におけるICT課題
 課題1:操作端末の不足
  業務量増加に伴い、パソコンの配備台数が急
   激に増加
  ソフトウェアライセンスも同じく不足
 対策
  補正予算等で費用捻出
  耐用年数を過ぎた端末も再利用
  ICT支援を要請(OpenOfficeでも何とかなるが、
   可能であれば商用ライセンスも…)
  基幹システムの動作に必要なライセンスと現在
   の保有数を確認すること!
51
6.震災から1年以上が経過して
    復興期におけるICT課題
 課題2:情報資産の増加
  業務データ(紙媒体含む)が急激に増加
  特にファイルサーバの容量が不足
  ファイルサーバ負荷、ネットワークトラフィック増
 対策(電子データ限定)
  ファイルサーバリプレース(負荷・容量)
      RAID5/660GB   → RAID6/1.80TB
                        → RAID5/5.40TB (現在)
  ネットワーク見直し(トラフィック)
      未解決:1000BASE-T/100BASE-TX混在
52
6.震災から1年以上が経過して
     復興期におけるICT課題
 課題3:情報セキュリティモラルの維持
   種々の申請受付データの所管が不明確
   個人情報を扱う機会急増(正規職員に限定しない)
 対策
  注意喚起:機密情報の取り扱い、閲覧範囲
  利用制限:USBフラッシュメモリ等、外部記憶媒体
  セキュリティポリシー見直し
      非常時だから…は既に通用しない時期

      非常時であっても、個人情報の取り扱いは明確なガイ
     ドラインがなく、判断は困難を極めた
53
【参考】稼働中の災害支援システム

                     稼働日
     業務名等            (H23)     ソフト等            開発
罹災証明発行                4/20   Access       (株)パスコ様
義援金管理                 4月末    Access       日本電気(株)様
災害援護資金貸付              未定     Access       (株)東北電子計
                                          算センター様
仮設住宅受付                4/1    Excel        職員
住宅の応急修理               4/25   Excel        職員
被災者相談窓口               4/1    SugarCRM     職員
職員向け                  6/1    Limesurvey   職員
ストレス評価アンケート
 その他、評価中のOSS
 ファイル転送(OpenUpload) 、PHPLIST(メール配信)、CMS(JoruriCMS)
 オフィスソフト(OpenOffice)
54
【参考】震災前・震災後の課題比較

        課題        判定         備考
       防災無線       ◎    13機→53機、ディジタル化

                       キャリアはNTT docomo
       エリアメール     △
                       限定

職員の安否確認・情報連絡ツール   ×    予算確保できず

                       Webサーバはホスティング
     ホームページ公開手段   ○
                       衛星携帯電話

                       免震床サーバルーム
       サーバ移設      ○
                       データセンター


55
【参考】いざという時のために

 ひと(採用・配置)
    専門性を持った人間がいれば何とかなる!適材適所!
 もの(機器、ネットワーク、システム)
    いざと言う時の設備、使えるシステムは事前に要準備!
    導入しっぱなしは論外!使い方を訓練し、非常時に活用!
 かね(どこにお金をかけるか)
    情報システム部門は金食い虫?仕分け対象?ナンセンス!
    業務継続性担保のためには、必要な費用をかける!

     経営者のリスクマネジメント
56
連絡先

 宮城県     多賀城市
     総務部 総務課 情報化推進係
 TEL    :022-368-1141
 E-mail : joho@city.tagajo.miyagi.jp
 http://www.city.tagajo.miyagi.jp




57
御礼


全国の皆様から、物資、人員派遣、応
援、ボランティア、数々の御支援を頂
きました。
震災後、短期間でここまで復旧・復興
できたのは皆様のおかげです。
多賀城市を代表して心より御礼申し
上げます。
58

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OSSで構築した被災者管理システム

  • 1. OSSAJセミナー「被災地におけるOSS」 平成24年5月24日(木) 豊嶋 茂一 宮城県 多賀城市
  • 2. OSSで構築した被災者管理システム 1. 多賀城市の紹介 2. 多賀城市が直面したICT課題 3. 被災者相談窓口の開設 4. 被災者管理システムの構築 5. 東日本大震災を振り返って 6. 震災から1年以上が経過して 2
  • 3. 1.多賀城市の紹介 人口・面積・職員数 仙台市と塩釜市・ 松島町の中間に位置 多賀城市(歴史・文化財のまち) 人 口:61,884 人 世帯数:24,842 世帯 面 積:19.65 平方キロメートル 職員数:正職員471名・非常勤163名 友好・姉妹都市: 福岡県 太宰府市・山形県 天童市・奈良県 奈良市 3 (平成24年4月30日現在)
  • 6. 1.多賀城市の紹介 被害状況:廃棄物・仮設住宅・支援  災害廃棄物 約29万立方メートル (25mプール約440杯分)  仮設住宅  入居戸数/総戸数 = 365/373  支援  人的:約15,900人  物的:約1,420団体、約640人 詳細はこちら http://www.city.tagajo.miyagi.jp/saigai/hisaizyouhou.html 6 (平成24年4月30日現在)
  • 7. 1.多賀城市の紹介 被害状況:住家被害 津波 地震 計 全 壊 1,676 76 1,752 大規模半壊 1,506 126 1,632 半 壊 885 1,207 2,092 一部損壊 1,070 4,874 5,944 合 計 5,137 6,283 11,420 全世帯数:24,842 大規模半壊以上は津波による 半壊以上:約22% 被害が90%超 7 (平成24年4月30日現在)
  • 8. 1.多賀城市の紹介 被害状況:津波規模 津波の高さ 仙台港:約7m 市 内:約2~4m 浸水面積 約6.62平方キロメートル (市域の約3割) 犠牲者 188名 (男112名、女76名) # 市域で海に面しているの # は約300mだが、砂押川 # 下流から上流へ逆流し、 # 被害拡大 8 (平成24年4月30日現在)
  • 9. 1.多賀城市の紹介 被害状況:浸水地域の記録 至 塩釜・七ヶ浜 松島・石巻 至 仙台・名取・岩沼 仙台港 (多賀城市HPにて動画・写真を公開中) http://www.city.tagajo.miyagi.jp 9
  • 15. 2.多賀城市が直面したICT課題 ① 情報発信手段がない!物資がない! ② データ損失を防ぎ業務継続性を担保! ③ 端末配備とネットワーク構築が困難! ④ 情報共有手段を確立し混乱を防ぐ! ⑤ 災害発生時点での住民データ保存! ⑥ 災害時に利用できるシステムの準備! (OSSで構築) 15
  • 16. 2.多賀城市が直面したICT課題 日 月 火 水 木 金 土 3/11 12 復電 13 14 15 16 17 18 19 インター ① 情報発信手段がない!物資がない! ネット復旧 ② データ損失を防ぎ業務継続性を担保! 20 21 22 23 24 25 26 ③ 端末配備とネットワーク構築が困難! ④ 情報共有手段を確立し混乱を防ぐ! 27 28 29 30 31 4/1 ⑤ 災害発生時点での住民データ保存! ⑥ 災害時に利用できるシステムの準備! 16
  • 17. 2.多賀城市が直面したICT課題 ①情報発信手段がない!物資がない! 背景 課題 震災時の対応 NTT交換局がダメージ HPによる情報発信不可 仙台市内個人宅でHP更新  電話、インターネット回  被害状況や支援物資  燃料確保、移動の必要 線が不通(3/17復旧) の呼びかけできず孤立 があり更新は1回/日  携帯電話もつながり難  情報入手  回線復旧後、全国から い状態 テレビ、ラジオ、新聞 支援物資が続々到着  現在:情報発信手段の二重化  専用回線・衛星通信端末  Webサーバの冗長化(未定)  支援物資が全国から届くが…  避難所への仕分け・配給作業に多数の従事者が必要  昼夜問わず届く支援物資の保管場所確保・在庫管理  負担軽減の手段が必要(POSシステム等) 17
  • 18. 2.多賀城市が直面したICT課題 ②データ損失を防ぎ業務継続性を担保! 背景 課題 震災時の対応 データセンター利用済 特になし! 特になし!  H22.10より、住基サー  インターネット回線不通  バックアップ機からデー バをデータセンターへ の期間はシステムが使 タ抽出、加工 移行 用できない  ハウジングによるシス  汎用機からWebパッ  庁舎内サーバルームは テム構築メリット再認識 ケージシステム 免震床のため無事  業務継続性が第一  現在:データセンター利用が原則  業務継続性に大きく貢献  年額コスト平滑化  メリットばかりではない  インターネット回線の利用前提  バックアップ機をイントラ内に要準備  緊急時を想定したバックアップ・リストア手順 18
  • 19. 2.多賀城市が直面したICT課題 ③端末配備とネットワーク構築が困難! 背景 課題 震災時の対応 震災対応窓口の設置 端末配備とケーブル配線 無線LANの導入  廊下、物置等を使用し  端末数に応じたLAN  端末数増やどんな場所 た業務展開が必要 ケーブルとハブ、電源 にも柔軟に対応可能  罹災証明、義援金申請 確保が困難  職員の負担軽減  種々の臨時相談  ケーブル引き回し▲  要セキュリティ対策  機器自体の枯渇  現在:柔軟なネットワーク構築環境が可能  無線LAN親機・子機  LANケーブル、ハブ、電源ドラム  水・食糧と同じく機器を『備蓄』  無線LAN利用のために  暗号化、セキュリティ対策  常設は不要、設定知識を持つこと 19
  • 20. 2.多賀城市が直面したICT課題 ④情報共有手段を確立し混乱を防ぐ! 背景 課題 震災時の対応 連絡手段が貧弱 情報格差 簡易メルマガ運用  避難所への連絡手段  職員間で持つ情報に差  職員の携帯電話メール が携帯電話のみ 分があり、混乱 アドレス収集にQRコー  本部会議の決定事項  特に避難所配置職員は ド利用 が全職員に情報展開さ 完全に孤立  本部決定事項 れない  住民への説明責任▲ を手動送信  現在:安否確認・情報配信システム導入予定  非常時に職員を緊急招集する手段確立  最新情報を正確、公平に職員へ展開  初動の組織体制をいかに迅速に整え、どう維持するか  職員ありきの復興 → 使い捨て・自己犠牲 → 負担軽減  決定権を持つ経営層の意識改革 (○○は会議室で起こってるんじゃない!) 20
  • 21. 2.多賀城市が直面したICT課題 ⑤災害発生時点での住民データ保存! 背景 課題 震災時の対応 支援制度の適用条件 異動処理してしまった 異動全件を加除  3.11時点で登録されて  災害後は異動届が増  転出者を復元 いる住民リストが基礎と 加  転入者も取り除く なる  3.11時点の住民リスト  バッチ処理では不完全、  生活実態が確認できれ を保存せず3.31まで放 要目視確認 ば支援制度利用可 置  現在:災害発生時の住民データを一元管理  あらゆる支援制度の基礎データ(マスタ)  関連システムを構築する際の材料  システム復旧後に必ず保存  電気→回線→システム復旧、その後の処理を忘れずに  被災者生活再建支援制度 申請期間 (基礎支援金 25ヶ月 / 加算支援金 85ヶ月) 21
  • 22. 2.多賀城市が直面したICT課題 ⑥災害時に利用できるシステムの準備! 背景 課題 震災時の対応 被災者相談窓口開設 対象が膨大かつ長期 職員負担を軽減するには  支援制度の説明や相  相談者殺到が予想  相談内容を記録 談受付業務  被災者生活再建支援  相談履歴を残す  フロア全体を利用した 制度の申請は長期間  履歴確認しながら受付 大規模運用  一元管理、情報共有す る手段がない 被災者相談窓口の受付で使える 『何らかのシステム』が必要 22
  • 23. 3.被災者相談窓口の開設 目的と概要  目的  ヒアリング(input) • 罹災状況、避難所、現在の連絡先等 • 上記以外にも話を聴き、相談者の不安を和らげる  制度説明(output) • 被災者生活再建支援制度、義援金、仮設住宅等  概要  平成23年4月1日(金)から、現在まで継続中  受付 31,140件(相談者一人当り平均3~4回) 23 (数値は延べ数、平成24年4月30日現在)
  • 24. 3.被災者相談窓口の開設 会場レイアウト 複合機 複合機 (後衛) 被災者生活 仮設住宅 仮設住宅 住宅の 専門 弔慰金 再建支援 A B 応急修理 ブース 複合機 複合機 (前衛) 後衛へ 義援金 一般窓口 一般窓口 一般窓口 一般窓口 振り分け 申請受付 A B C D 混雑時は整理券を配布 各窓口に職員2名、無線LAN接続のPC1台 複合機4台(証書のコピー、資料の印刷等) 義援金 申請受付 前衛は一次フィルタとして相談内容に基づき 後衛の専門ブースへ振り分けを行う 進 路 24
  • 26. 3.被災者相談窓口の開設 窓口開設前の課題:猶予はたったの5日間 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 猶予5日間 窓口開始  窓口開設を知ったのは5日前  『窓口業務に使えるシステムはないか』  情報システム部門としては 寝耳に水 職員間での情報共有不足 (震災で庁内全体が混乱) どんな機能が必要なのか? 5日間でどこまでできるのか? 26
  • 27. 3.被災者相談窓口の開設 窓口開設前の課題:要求仕様 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 猶予5日間 窓口開始  窓口業務に求められる機能  住基データに相談記録機能付加、一元管理  ヒアリング(input)、制度説明(output) • 罹災状況、避難所、現在の連絡先 • 被災者生活再建支援制度、各種貸付金 • 義援金、仮設住宅、住宅の応急修理  相談は複数回受付可能、履歴を残す  複数の相談窓口から同時アクセス  相談内容は機密情報、要利用者認証  長期的な受付が可能なシステム 27
  • 28. 3.被災者相談窓口の開設 窓口開設前の課題:やるしかない! 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 猶予5日間 窓口開始  『相談内容の記録』『履歴を残す』 相談履歴のデータベース化に特化した 『被災者管理システム』の必要性 ないものねだり。 ノウハウ、時間、依頼先、お金・・。 窓口業務に必須だが、資源は人員だけ。 どうする? 5日間でやるしかない!やりきる! 28
  • 29. 4.被災者管理システムの構築 調査 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 調査 評価・レビュー・選定 構築・開発・テスト 窓口開始  システムの要求仕様と実現手段  複数の窓口から同時アクセス、相談履歴記録  CSS:クライアントサーバシステム  DBMS:データベース管理システム  時間ない!依頼先なし!イチから開発無理!  既存システム・パッケージ組合せ、派生開発  オープンソースだとベター(ライセンスフリー) やるしかない!とは言ったものの… 『藁をも掴む思い』 29
  • 30. 4.被災者管理システムの構築 調査 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 調査 評価・レビュー・選定 構築・開発・テスト 窓口開始  できたらいいな サーバ 住基データをベースに • 相談履歴の記録機能を追加 • 避難先、各種支援制度の申込状況更新 Read/Write、利用者認証 クライアント:窓口端末 • 複数の窓口から同時アクセス 30
  • 31. 4.被災者管理システムの構築 評価・レビュー・選定 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 調査 評価・レビュー・選定 構築・開発・テスト 窓口開始  調査結果:いずれもオープンソース  被災者支援システム(NICC:西宮市情報センター) 1995 M7.3 阪神・淡路大震災  Sahana (Sahana Japan Team) 2004 M9.1 スマトラ島沖地震 → 物資、家屋被害、仮設住宅、罹災証明 ボランティア、地図連動等、充実した機能 しかし…『相談履歴記録』の機能は持たない! 31
  • 32. 4.被災者管理システムの構築 評価・レビュー・選定 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 調査 評価・レビュー・選定 構築・開発・テスト 窓口開始  様々なアクションをトリガにその結果を記録す ることは、どこにでもある一般的な業務  例1:小売業  商品の販売履歴、営業活動の進捗状況管理  例2:行政  収納・生活保護・介護支援・障害福祉・訪問 要求仕様を満たすのは 「顧客関係管理システム:CRMシステム」 (CRM:Customer Relationship Management) 32
  • 33. 4.被災者管理システムの構築 評価・レビュー・選定 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 調査 評価・レビュー・選定 構築・開発・テスト 窓口開始  SugarCRM:オープンソースCRMシステム  Webブラウザで動作、問合せ管理・営業支援ツール 取引先・顧客に対して、いつどんな営業活動・商談を行ったか等 の全ての記録を履歴として一元管理する機能を持つ。 33
  • 34. 4.被災者管理システムの構築 評価・レビュー・選定 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 調査 評価・レビュー・選定 構築・開発・テスト 窓口開始  方針決定:SugarCRMのサブセット  標準では多機能さ故に誤操作を誘発  必要な要素は次の通り  取引先 :相談窓口を訪れた被災者  営業担当:応対職員(要利用者認証)  営業活動:相談内容(input/outupt) 最小限の機能にカスタマイズ 34
  • 35. 4.被災者管理システムの構築 構築・開発・テスト 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 調査 評価・レビュー・選定 構築・開発・テスト 窓口開始  環境構築  S/W  SugarCRM(SugarCE 5.2.0k)  XAMPP(v1.7.4)  PHP(v5.3.5), Apache(v2.2.17), MySQL(v5.5.8), phpMyAdmin(v3.3.9)  デバッグ:Eclipse(v3.7,Indigo)+PDT / Pleiades  Ver.管理:Apache Subversion(v1.6)  H/W  PentiumE2160(1.80GHz), Memory2GB, RAID5  Windows 2003 Server, ApacheBenchで負荷試験 35
  • 36. 4.被災者管理システムの構築 構築・開発・テスト 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 調査 評価・レビュー・選定 構築・開発・テスト 窓口開始  住基データをインポートしたものの…  基本的な設計構造・仕様が把握仕切れず  コメントアウトするコードを探すのに四苦八苦  GREP, コメントアウト, 動作確認の試行錯誤  条件が整っていたためチャレンジできた  電源、ネット回線は復旧済(2011/3/14)  サーバルームは免震床だったため無事 他の職員が体を動かしている間、ずっと画面とにら めっこ。(災害と戦うための武器を精製) 36
  • 37. 4.被災者管理システムの構築 動作環境・開発・デバッグ環境概要図 WindowsServer2003(既存、免震床設置) SugarCRM(サブセット) Apache:Webサーバ(クライアントサーバシステム) PHPソースを設置(ブラウザ動作) MySQL:データーベース管理 住基データ取込、属性追加 Read/Write、利用者認証 デバッグ後にソース更新 データベースのメンテナンス クライアント:窓口端末 開発・デバッグ端末 ブラウザ動作, OS不問. WindowsXP以上 数世代前のPCでもOK. Eclipse:統合開発環境
  • 38. 4.被災者管理システムの構築 構築・開発・テスト 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 調査 評価・レビュー・選定 構築・開発・テスト 窓口開始  操作は3ステップ! 1.検索 相談開始時:名前、住所、生年月日等で検索 2.相談履歴追加:複数回の相談に対応 ヒアリング(input)、制度説明(output) 3.相談内容の写しを渡す:相談者の安心 次回以降、以前と異なる職員が対応 →履歴参照しながら相談受付、負担抑制 38
  • 39. 4.被災者管理システムの構築 デモンストレーション  被災者管理システム デモ環境(ダミーデータ)  動作環境:下記ブラウザで確認済  Internet Explorer 7.0以上  Google Chorome 10.0以上 39
  • 40. 4.被災者管理システムの構築 被災者相談窓口開始 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 調査 評価・レビュー・選定 構築・開発・テスト 窓口開始  窓口開始初日:波乱の幕開け  次々に押し寄せる被災者  整理券を配布したが底をつく  被災ストレス、不満爆発、怒号  応対職員:ローテーションしていた が特殊な窓口業務で疲弊 新たな混乱を招いてしまった… 窓口開設が最適解だったのか? 40
  • 41. 4.被災者管理システムの構築 被災者相談窓口開始 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 調査 評価・レビュー・選定 構築・開発・テスト 窓口開始  最適解とするための武器:被災者管理システム  応対職員への操作説明(開始前1.0h)  一切のトラブルなく安定稼働  機能改善、追加はカスタマイズ対応  もしシステムがなかったら・・・大混乱  相談内容をメモ?(紙かオフィスソフト)  共有・一元管理できず、信頼性の低い記録  履歴を残せず、何度も同じ話を聴く 41
  • 42. 4.被災者管理システムの構築 現在の稼働状況 被災者管理システム 照会 # 相談履歴 更新 データ取込 罹災証明発行システム 義援金管理システム 職員 被災者生活再建支援制度 仮設住宅、応急修理 •ブラウザ動作 # 申込・進捗状況を固有番号で紐付け •利用者認証 被災者の総合照会ツールとして活躍 • 情報共有、一元管理、職員負担軽減 • 被災住民に対するサービスの質向上 42
  • 43. 4.被災者管理システムの構築 OSSで構築したことのメリット  ライセンスフリー  クライアントの急な増設にも柔軟対応  商用ソフト:要ライセンス管理で負担増  情報入手が容易  先駆者がネット上で情報を公開  商用ソフト:サポートを受けられる状況では なかった  動作環境を選ばない  ブラウザ動作:特別なソフトの個別インス トールが不要で運用負担減、数世代前のPC でもサクサク動作 43
  • 44. 4.被災者管理システムの構築 稼働後の課題  相談履歴以外のデータが最新でない  義援金, 各種貸付金, 仮設住宅, 応急修理等 →これらのシステムは、別管理システムで運用中  回避:定期的に最新データをシステムに取込む  住民登録外の取り扱い  そもそも取り込んだデータ内に存在しない  回避:システムに相談対象者の新規追加機能を追加  →住民登録外データの固有番号管理が未だ問題  住基連携できない  転入・転出をリアルタイム反映できず、本人か らの申告がなければ最新の情報が不明 稼働後もデータの新鮮さを 保つためのメンテナンスが必要 44
  • 45. 4.被災者管理システムの構築 被災者相談窓口のあるべき姿  当時100点、振り返れば60点  4/1開設は早過ぎ  制度理解不足で玉虫色の回答  体制未整備で混乱(誰が何をいつまでに)  一元管理・情報共有のための管理手段を提案  100点に近付くには?今だから言えること  情報システム部署の役割:情報展開リーダー!  現場で臨機応変かつ最適な提案・指示を出す  公平, 正確, 迅速:知らない・知らせないは大罪  デマ・誤った情報が広まることを抑制 45
  • 46. 5.東日本大震災を振り返って 災害を相手にした戦争(本部)  『災害』を相手にした戦争  情報戦が肝要、受け身では勝てない  分からないからできない、は甘え  「できないからやらない」「できるけどやらない」  本当に勝ちたいなら自分から打って出る  目の前の敵だけと戦っていては勝てない  裏に潜む新たな敵・問題から目を逸らさない  武器・道具を準備した事前訓練、本番で発揮  予算とりました、導入しました、それで終わり?  避難訓練?消火訓練?それで終わり?  使わない武器・道具なんて金食い虫、負の資産  武器・道具を使えない・使おうと努力しない職員 46 なんて…
  • 47. 5.東日本大震災を振り返って 災害を相手にした戦争(本部)  指揮系統を明確・強固に  リーダー、一般兵の役割を明確に  決定・周知:誰が、いつ、どうやって  現場を鈍化させ混乱を呼ぶリーダーは失格  普段のプロセスをショートカットする体制も必要  現場を知る頭脳労働者が必要  力仕事だけではNG、焼畑農業はナンセンス  目標は何か、ゴールはどこか、周囲を誘導  自己犠牲が美徳は大きな間違い  しっかり食わせる、休ませる、ローテーション  リーダーがチーム内の負荷分散管理、意識強化  監視し合う体制は崩壊を招く、人に優しく 47
  • 48. 5.東日本大震災を振り返って 災害を相手にした戦争(避難所)  連携強化:自衛隊、消防、警察、自治体職員  水・食料・備品の備蓄  避難者が殺到、必ず不足する、配給にも限界  熱源、毛布、生理用品、離乳食、アレルギー  衛生環境を整備すること  トイレは流れない、紙もない、電気もない  居住エリアは土足厳禁  弱者への配慮(弱者の定義も重要)  乳幼児:可能であれば限定エリアを設ける  高齢者:指定福祉避難所への引き渡しも視野に 48
  • 49. 5.東日本大震災を振り返って 災害を相手にした戦争(罹災証明)  罹災証明発行には家屋調査が必要  家屋被害判定の明確な根拠  調査依頼:「来るのが遅い!」  人が足りず、1か月待ちがザラ  その間に自分で修理できてしまう、写真判定  判定結果:「厳し過ぎる!」  不服申し立て→再調査の繰り返し  表に出ないけれど…ゴネ得 プロフェッショナルの職員を大量投入しない とさばききれず、早期に応援が欲しい業務 49
  • 50. 6.震災から1年以上が経過して 復興元年の体制・動き  震災復興関連の部署新設  生活再建支援室:被災者への支援  復興建設課:公共施設や道路の整備  自治法派遣職員の受け入れ  26名、北は秋田県、南は沖縄県、雰囲気一新  非常勤職員・臨時職員の大量任用  前年度ベース 50%増 大量の復興業務に対応 50 (平成24年4月30日現在)
  • 51. 6.震災から1年以上が経過して 復興期におけるICT課題  課題1:操作端末の不足  業務量増加に伴い、パソコンの配備台数が急 激に増加  ソフトウェアライセンスも同じく不足  対策  補正予算等で費用捻出  耐用年数を過ぎた端末も再利用  ICT支援を要請(OpenOfficeでも何とかなるが、 可能であれば商用ライセンスも…)  基幹システムの動作に必要なライセンスと現在 の保有数を確認すること! 51
  • 52. 6.震災から1年以上が経過して 復興期におけるICT課題  課題2:情報資産の増加  業務データ(紙媒体含む)が急激に増加  特にファイルサーバの容量が不足  ファイルサーバ負荷、ネットワークトラフィック増  対策(電子データ限定)  ファイルサーバリプレース(負荷・容量)  RAID5/660GB → RAID6/1.80TB → RAID5/5.40TB (現在)  ネットワーク見直し(トラフィック)  未解決:1000BASE-T/100BASE-TX混在 52
  • 53. 6.震災から1年以上が経過して 復興期におけるICT課題  課題3:情報セキュリティモラルの維持  種々の申請受付データの所管が不明確  個人情報を扱う機会急増(正規職員に限定しない)  対策  注意喚起:機密情報の取り扱い、閲覧範囲  利用制限:USBフラッシュメモリ等、外部記憶媒体  セキュリティポリシー見直し  非常時だから…は既に通用しない時期  非常時であっても、個人情報の取り扱いは明確なガイ ドラインがなく、判断は困難を極めた 53
  • 54. 【参考】稼働中の災害支援システム 稼働日 業務名等 (H23) ソフト等 開発 罹災証明発行 4/20 Access (株)パスコ様 義援金管理 4月末 Access 日本電気(株)様 災害援護資金貸付 未定 Access (株)東北電子計 算センター様 仮設住宅受付 4/1 Excel 職員 住宅の応急修理 4/25 Excel 職員 被災者相談窓口 4/1 SugarCRM 職員 職員向け 6/1 Limesurvey 職員 ストレス評価アンケート その他、評価中のOSS ファイル転送(OpenUpload) 、PHPLIST(メール配信)、CMS(JoruriCMS) オフィスソフト(OpenOffice) 54
  • 55. 【参考】震災前・震災後の課題比較 課題 判定 備考 防災無線 ◎ 13機→53機、ディジタル化 キャリアはNTT docomo エリアメール △ 限定 職員の安否確認・情報連絡ツール × 予算確保できず Webサーバはホスティング ホームページ公開手段 ○ 衛星携帯電話 免震床サーバルーム サーバ移設 ○ データセンター 55
  • 56. 【参考】いざという時のために  ひと(採用・配置)  専門性を持った人間がいれば何とかなる!適材適所!  もの(機器、ネットワーク、システム)  いざと言う時の設備、使えるシステムは事前に要準備!  導入しっぱなしは論外!使い方を訓練し、非常時に活用!  かね(どこにお金をかけるか)  情報システム部門は金食い虫?仕分け対象?ナンセンス!  業務継続性担保のためには、必要な費用をかける! 経営者のリスクマネジメント 56
  • 57. 連絡先  宮城県 多賀城市 総務部 総務課 情報化推進係  TEL :022-368-1141  E-mail : [email protected]  http://www.city.tagajo.miyagi.jp 57