左と右の話

2014/9/20 Cryolite
Boost.勉強会#16 大阪
1
左と右の話

2
左と右の区別は大事です
※画像はイメージです

3
左辺値・右辺値とは何か？
i = 42;
左辺値右辺値
式の値を格納した場所
Cf. “Location value”
式の値

i
int &f(); f() 全て規格に
4
左辺値・右辺値とは
全ての式がおのおの持つ属性
左辺値となる式
右辺値となる式
42, i + j
int g(); g()
MyClass(arg)
書いてある

5
代入演算子における
左辺値・右辺値の例
i = 42;
変数“i” からなる式
“i” の値を格納した場所（左辺値）

6
i = 42;
リテラル“42” からなる式
“42” の値（右辺値）

7
i = 42;
“i” という式の値を格納した場所
（左辺値）に， “42” という式の値
（右辺値）を代入する

8
i = 42;
“i = 42” という式の値を
格納した場所（左辺値）

9
代入演算子の右辺に
左辺値が来たらどうなるの？
j = i
“j” という式の値を格納した場所
（左辺値）に， “i” という式の値を
格納した場所（左辺値）を代入する？

10
代入演算子の右辺に
左辺値が来たらどうなるの？
j = i
（左辺値）に， “i” という式の値を
格納した場所（左辺値）を代入する？

11
代入演算子は
右辺に右辺値が欲しい！
=
右辺には右辺値が欲しい
左辺には左辺値が欲しい

12
代入演算子は
左辺に期待通り左辺値が来た！問題無し！
j =

13
代入演算子は
右辺に右辺値が欲しいのに左辺値が来た！
欲しいのと違う！
j = i

14
代入演算子は
j = i
左辺値を右辺値として解釈しなおそう！
j = i

左辺値から
右辺値への変換
lvalue-to-rvalue
15
代入演算子は
j = i
j = i
conversion

値が格納された場所（左辺値）
から値（右辺値）を取り出す
左辺値から
lvalue-to-rvalue
16
代入演算子は
j = i
j = i
conversion

（左辺値）に， “i” という式の値
（右辺値）を代入する
左辺値から
lvalue-to-rvalue
17
代入演算子は
j = i
j = i
conversion

他の組み込み演算子, statement
等は左右どちらが欲しい？
R + R -R &L L = R
int i = R;
全て規格に
int &ri = L;
書いてある
if (R) {…
18

ある式が，出現する文脈で左辺値・右辺値の
19
式の左辺値・右辺値に
関する2つの視点
式自身が左辺値なのか右辺値なのか
i 42
どちらであることを要求されるのか
左辺値が欲しい=
右辺値が欲しい

20
式の左辺値・右辺値に関する
2つの視点とL-to-R 変換
ある式が左辺値
である
右辺値
である
出現して
いる文脈
で
左辺値である
ことが要求さ
れている
そのま
まで
O.K.
コンパ
イルエ
ラー
右辺値である
ことが要求さ
れている
L-to-R
変換が
起きる
そのま
まで
O.K.

21
式の左辺値・右辺値に関する
2つの視点とL-to-R 変換
ある式が左辺値
である
右辺値
である
出現して
いる文脈
で
左辺値である
ことが要求さ
れている
そのま
まで
O.K.
コンパ
イルエ
ラー
右辺値である
ことが要求さ
れている
L-to-R
変換が
起きる
そのま
まで
O.K.
&42
42=0

22
全ては規格のシナリオ通りに
• 式自身が左辺値か右辺値か
⇒全て規格に書いてある
• 個々の文脈で式に左辺値・
右辺値のどちらが要求されるか
⇒全て規格に書いてある
• いつ左辺値から右辺値への
変換が起きるか
⇒全て上2つから判断できる

左辺値から右辺値への変換が
起きる場所は全て規格に書いてある
23

全てのコーナーケースは
左辺値から右辺値への変換に通ず
24

全てのコーナーケースは
左辺値から右辺値への変換に通ず
25

例：オブジェクトが未構築な
領域にどんな操作が許されるか？
26
オブジェクトに対して左辺値から
右辺値への変換が起きたらアウト
void *p = std::malloc(sizeof(int
int &ri = *p;
セーフ
&ri;
ri + 1;
アウト
int *pi = new (p) int(42);

27
例：未初期化な変数に
どんな操作が許されるか？
変数に対して左辺値から右辺値への
変換が起きないようにすればセーフ
void f(int &);
void g(int);
int i;
f(i);
セーフ
g(i);アウト

28
例：型の完全な定義が
いつ必要になるか？
左辺値から右辺値への変換が起きた
オブジェクトの型は完全でなければならない
class X;
void f(X &x) {
セーフ
&x;
static_cast<X>(x);
} アウト

29
例：変数の定義がいつ必要に
なる（odr-usedされる）か？
変数がコード中に出現すればodr-used
ただし，変数がconstant expression であり
即座にL-to-R 変換が起きる場合は対象外
Template<typename T>
struct X {
static constexpr int i = 42;
};
int j = i + 1;
int *p = &i;
アウト
セーフ

xvalue, prvalue,
glvalue の話はどこに行った？
現在のC++ の左辺値・右辺値の
区別は実は3種類
• lvalue
• xvalue
• prvalue

xvalue, prvalue,
“Location” の
意味を持つか
寿命が短い
lvaue Yes No
xvalue Yes Yes
prvalue No Yes

xvalue, prvalue,
“Location” の
意味を持つか
寿命が短い
lvaue Yes No
xvalue Yes Yes
prvalue No Yes
今日の発表の
左と右の境界

xvalue, prvalue,
“Location” の
意味を持つか
寿命が短い
lvaue Yes No
xvalue Yes Yes
prvalue No Yes
move semantics, 右辺値参照で
重要な左と右の境界

まとめ：
• 左辺値とは何か，右辺値とは何か
• 左辺値から右辺値への変換とは何か，それは
いつ起きるのか
• 左辺値から右辺値への変換がいつ起きるのか
は様々なコーナーケースでの判断に重要
• 左辺値と右辺値の区別はmove semantics，
右辺値参照の話でも重要だが，本発表での左
辺値と右辺値の区別の場合と境界線が異なる
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